学会受賞者
2010 EULAR abstract award/travel award受賞報告


第11回欧州リウマチ学会・年次集会(EULAR 2010)が6月15日〜20日の間イタリア・ローマで開催されました。昨年同様、約120カ国から約15000人が参加して開催されました。昨年も同様の受賞報告を致しましたが、なんと今年は、EULAR award受賞者のみならずtravel award受賞者が3人も誕生致しました。第一内科訪問研究員である前島圭佑先生が、新規抗リウマチ薬となることが最も期待されているJAK阻害薬の作用機序に関する研究でabstract awardを受賞しました。今年は、約3500の演題の中から採点により、臨床部門と基礎部門のそれぞれ上位6名、計12名が選出され、前島先生は基礎部門で受賞しました。昨年の田中良哉教授と中野和久助教に引き続く快挙です。前島先生の研究の特徴は、健常人からの検体のみならず、RA患者の末梢血と、患者滑膜より各種細胞を分離し、JAK阻害薬の作用機序を解明した点にあります。また、通常は滑膜細胞をin vitroで解析するところを、免疫不全マウスに移入することでex vivoにて滑膜炎を持続させ、JAK阻害薬の生体内における効果を解析しました。

その結果、リンパ球に主に作用することによりインターフェロン-γとインターロイキン-17の産生を抑制し、強い抗炎症作用を発揮していることが明らかとなりました。Travel awardには岩田先生、園本先生、前島先生が選ばれ、前島先生はabsract awardとあわせてダブル受賞でした。岩田先生はB細胞を標的とした生物学的製剤であるリツキシマブをSLE患者に投与した際のT細胞への影響と長期寛解の機序を解明しただけでなく、再燃の際には異なる機序が存在することを明らかとしました。また、園本先生は間葉系幹細胞が炎症の環境下において骨芽細胞に強く誘導されることから、骨修復を視野に入れた新規細胞療法であることを発表しました。何れの演題も多くの質問者が訪れ海外の大規模な学会で3人が4つの賞を受賞したことの名誉と共に、今後の成果を期待されていること、競争が激しいことを皆、肌で感じ、今後の更なる精進をイタリア・ローマの空の下で誓い帰国してまいりました。

(産業医科大学医学部第1内科学講座講師 山岡邦宏)

  文責:第1内科学講座 中山田 真吾 更新日:2011年01月26日
 
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