産業医科大学医学部 第2内科学 産業医科大学
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産業医科大学第2内科学教室便り 2010年度 第4号

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研究紹介

研究紹介(心血管インターベンショングループ)


1)臨床研究

冠動脈インターベンションに関連して、心血管イメージング【心臓CT・MRI,血管内超音波(IVUS),光干渉断層法(OCT)】やプレッシャーワイヤー・ドップラーフローワイヤーを用いた生理的冠動脈重症度評価を積極的に行い、冠動脈狭窄に対して形態的、組織学的、機能的なアプローチをしている。これらの解析から様々な臨床研究を行っており、特に心腎連関として慢性腎臓病や透析症例における冠動脈インターベンション治療に関する研究では科研費も獲得している。また、冠動脈疾患のリスクファクターであるメタボリック症候群の病態・治療に関しての研究も行っている。研究成果は国内だけでなく海外の主要学会や英文ジャーナル誌において毎年発表を行っている。多施設共同研究にも積極的に参加しており、当院の質の高いデータを国内だけでなく海外にも発信し、成果を挙げている。
末梢血管領域の治療では、特に腎血管性高血圧に対して当院腎臓グループと協力して診断治療を行い、その病態や治療に関しての臨床研究も行っている。

2)基礎研究

血管内の主要な抗酸化ストレス酵素である細胞外superoxide dismutase (ECSOD) の機能や臨床応用への基礎実験を行ってきています。血管の内皮細胞や平滑筋細胞培養、動脈リング収縮拡張実験、組み換えアデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療などの手法を使用してきています。最近、ECSOD 組み込みアデノによりLDL酸化の抑制が可能であることや in vivo モデルでの動脈硬化抑制、肺高血圧症抑制などを報告しています。

3) 教 育

1.医学部教育
3-4年次の系統講義において、心臓カテーテル法、心筋シンチ法などの画像診断、高血圧症と高脂血症の冠危険因子、虚血性心臓病の各論などを担当している。

2.卒後教育
後期臨床研修(専門修練医)では、心臓カテーテル法の基礎的な診断手技や解析方法を学ぶ。特に、待機的な心臓カテーテルにおいては、術者として多数例の経験を積むことを目標にしている。また、緊急カテにおける診断手技も出来る限り術者として参加させるように配慮している。血管形成術について、助手として間近な経験を積むことが出来る。特に、急患の取り扱いについては、搬入連絡時から指導医とともに初期診断、治療を経験し、緊急心臓カテーテル法への一連の過程に習熟できるように配慮している。また血管形成術に関しては、シュミレーターを用いた教育を年1-2回、症例検討や座学教育セッションを開催し、積極的に参加してもらうようにしている。

3.大学院教育
希望者は大学院に入学し、臨床データの研究・解析を進めて論文を作成して学位を取得している。また基礎医学教室との連携も盛んであり、専門領域の基礎研究を行うことも可能である。

研究紹介(心不全・心エコーグループ)


1)臨床研究

臨床例の心エコー検査の解析から多くの研究を行っている。心機能・弁膜症・経胸壁エコーによる冠動脈血流評価等、幅広い分野での臨床研究を行っている。心機能の評価や弁膜症の病態生理に関して多くの研究を行っている。特に、心不全例は心筋梗塞例に見られる僧帽弁逆流(虚血性僧帽弁逆流)に関する研究では、科研費も獲得し、Circulation誌を始めとするトップジャーナルに研究結果が掲載されている。虚血性僧帽弁逆流の基本機序が「左室拡大により乳頭筋が外側へ変位し、その乳頭筋が弁尖を異常に強く牽引する(tethering)」であることを解明し、現在は治療が困難とされているこの病態の外科治療の確立へ向けての研究につながっている。

2) 教 育

1)卒前教育
学生講義に心エコーのデジタル動画を用いて効果のある教育を実践している。ポリクリでは、心エコーの総論と各論をそれぞれ90分かけて、多くの動画を使い、質疑応答を通して効率よく教育している。また、エコー実習も行い、学生が心エコー検査をより深く理解できるようにしている。

2)卒後教育
臨床カンファレンスでは、問題となる症例の心エコー図所見を検討し、画像解釈や症例の病態に関して深く議論を行っている。毎週心エコーカンファレンスも行い、その週に画像解釈等で問題となった症例を見直し、検討を進めている。専門修練医は、経胸壁エコー・血管エコー・経食道エコー・負荷エコーに携わり、知識・臨床経験ともに研鑽を重ねている。

3)大学院教育

希望者は、大学院に入学し、臨床検査の中から解析・研究を進めて、論文を作成し、学位を取得している。また、基礎医学教室との連携でエコーを用いた基礎研究を行っている。


研究紹介(不整脈グループ)

臨床研究・基礎研究のみならず産業医学的研究も行なっている。これらの研究は、厚生労働科学研究費補助金・労働安全衛生総合研究事業や文部科学省科学研究費補助金・基盤研究によって多くの研究費を獲得している。

(1)臨床医学的研究

1) ペーシング部位と血行動態に関する研究
ペーシング治療に関する大規模臨床研究により、従来からなされてきた右室心尖部ペーシングが、左室のdessynchronyをもたらし、心不全をきたすことが明らかとなってきた。当科では2003年より右室心尖部から中隔ペーシングに変更し、血行動態に及ぼす有益性を非観血的測定により検討している。これらの研究結果は、米国Heart Rhythm Society、Cardiostim、CardiRhythmや日本不整脈学会、日本循環器学会等で数多く報告しているのみならず、国際学術誌にも多く研究成果が掲載されている。(厚生労働科学研究)

2) ペースメーカ症候群の発症機序
ペーシング部位と絡めて非生理的ペーシングモードで発生するペースメーカ症候群の機序を検討している。(厚生労働科学研究)

3) 無症候性心房細動の研究
ペースメーカメモリー機能を用いて無症候性心房細動の発生頻度や要因についての研究を行なっている。

4) 神経調節性失神患者のトレーニング治療
神経調節性失神は失神の原因疾患として最も多いが、当科では非薬物治療として患者さまが自宅や職場において自分で行なうことが出来るトレーニング治療法を開発し、高い治療効果を得ている。神経調節性失神のトレーニング治療は国内では当科が最も進んでいる。本トレーニング治療の効果については国内外の一流紙に数多くの研究結果を報告している。(文部科学省基盤研究、厚生労働科学研究)

5) 重症起立性低血圧患者に対するペーシング治療
重症起立性低血圧患者には極めて有効な治療法がないのが現状である。当科では、これらの患者にペーシング治療をおこなうことで、症状の改善効果が得られることを内外の学会のみならず一流国際専門誌にも報告している。(厚生労働科学研究)

6) ICD患者の就労に関する調査研究
国内におけるICD患者の就労に関する実態調査を日本不整脈学会ICD委員会と合同で行なっている。(厚生労働科学研究)

7) 生体内デバイス患者と電磁干渉
生体内植込みデバイスに及ぼす電磁干渉や放射線CTの及ぼす影響について実験的に研究を行なっている。(厚生労働科学研究)

8) 失神患者の予後と就労
失神患者の予後と就労に関する調査研究を多施設協同研究で行なっている。(厚生労働科学研究、文部科学省科研費研究)


(2)基礎医学的研究
1) 心臓突然死の原因となる致死性不整脈の発症メカニズムについて、心筋細胞レベルでの研究を行なっている。QT延長症候群やBrugada症候群などの遺伝学的素因を持つ不整脈について、電気生理学的手法を用いてイオンチャネルの機能解析を行ない、臨床像に結びつく潜在的内因性機序を検討している。また、薬剤性QT延長症候群の機序解明も分誌レベルで行なっている(文部科学省研究)。


(3)教育
1) 医学部教育
 医学部教育は3〜4年時における循環器講義のなかで、心電図、負荷心電図、虚血性心疾患の心電図診断、徐脈性不整脈、頻脈性不整脈の5コマを担当する。6年時性には総合講義として「心臓突然死と失神発作」を担当している。

2) 卒後教育

 後期臨床修練医に対して、循環器疾患特に不整脈疾患に関しては、院内で施行された心電図、ホルター心電図、運動負荷心電図の判読を通して理解を深め、正確な心電図判読が出来るように指導している。また、ペースメーカ植込み手術やプログラマーの管理・操作、カテーテル心筋焼灼術における心内心電図の判読や、ICDやCRT-Dの手技・管理等を積極的に行なわせ、理解させる。失神患者のhead-up tilt検査も担当させ、失神の診断・治療が一人で行なえるように指導している。また、興味ある症例や臨床研究の一部は積極的に学会発表を行なわせ、学術論文作成を指導している。臨床研究からは、PACE誌、J Cardiovasc Electrophysiol誌、Circulation J誌、J Cardiovasc Pharmacol誌等に多くの論文を掲載し、これらの研究により多くの修練医が学位取得を行なっている。また、文科省科研費研究や厚生労働科学研究にも積極的に参加させ、最先端臨床研究のみならず産業医学的研究にも参加させている。専門修練医終了時点での循環器専門医と学位取得を目指して指導している。

3) 大学院教育
 不整脈グループに所属し、大学院を希望する医師には、臨床研究のみならず基礎研究も行なわせている。循環器専門医としての臨床能力を身につけた上で、専門領域をさらに深めることが出来るような基礎医学的研究を行なわせている。電気生理学的手法(パッチクランプ法)や分子生物学的手法を用いて不整脈の成因を検討しており、これまでCardiovascular Research誌やBritish J Pharmacology誌等の一流誌に数多くの研究成果を報告している。

研究業績

最新の業績は第2内科学教室便りをご覧下さい。
>>第2内科学教室便りはこちら。

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冠疾患・動脈硬化グループ.pdf
(1997年〜2008年)冠疾患・動脈硬化グループ.pdf [ ダウンロード ]

心不全・心エコーグループ.pdf
(1997年〜2008年)心不全・心エコーグループ.pdf [ ダウンロード ]

不整脈グループ.pdf
(1997年〜2008年)不整脈グループ.pdf [ ダウンロード ]

産業医科大学医学部第2内科学講座 更新日:2016年7月1日 文責:穴井 玲央


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