研究テーマ

当研究室の主な研究テーマは副腎髄質細胞におけるシグナル伝達機構である。副腎髄質細胞は発生学的には神経提由来であるが、カテコールアミンを分泌する内分泌細胞に分化している。この細胞は交感神経節前線維の神経支配を受けると同時に、副腎内門脈系を介して高濃度の副腎皮質ホルモンの影響を受けている。我々はこれまで神経終末から放出されるAChおよび神経ペプチドPACAP、および皮質ホルモンと考えられるウアバインがどのような機序により分泌を誘発するのかを解明してきた。さらに最近、副腎髄質細胞が低酸素を迅速に感知して、分泌を誘発することを明らかにした。この低酸素感受にはミトコンドリアの呼吸鎖の酵素の関与が示唆されている。今後は、@副腎髄質細胞の呼吸鎖の酵素の特殊性の分子レベルでの解明、Aムスカリン受容体により活性化されるNSチャネルの分子実体の解明、Bそのシグナル伝達機構の解明、Cアドレナリン細胞の分化過程の解明に取り組んでいきたいと考えている。これらの研究により、生体における副腎髄質細胞の役割を分子レベルから明らかにしたいと考えている。



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[文責: 第2生理 T. HATAMA/ 更新日: 2007. 4. 5]