20世紀に遺伝物質がDNAと同定され、1953年にその二重らせん構造がワトソンとクリックにより明らかにされた。その後も制限酵素、逆転写酵素、塩基配列決定法など重要な発見が続き、分子生物学の黎明期がスタートした。生物のもつ遺伝子がどの様なしくみで複製され、どの様なしくみで転写・翻訳され、蛋白質がつくられるのかが明らかにされた。さらに、PCRや遺伝子改変個体の作成法なども確立し、発生から個体形成におけるしくみを示し、生命科学の発展に大きく寄与した。20世紀末から21世紀にかけて、ヒトを含めてさまざまな生物のゲノム解読がすすみ、分子生物学は全盛期を迎えている。ゲノム解読は生物に対する新しい見方や考え方を提起し、自然科学全体に深く関与している。21世紀は生命科学の世紀になると予想される。今後、医学部においても、ヒトの疾病の病因・病態の理解と診断・治療にゲノム情報を基盤にした分子生物学がますます重要になってくると考えられる。 |