産業医学の卓越した教育研究拠点を目指して

   学  長  重松 昭生  

  

 産業医科大学は優れた産業医の養成と産業医学の振興を目的として昭和53年に設立されました。 そして第一期生の卒業する昭和59年には大学院医学研究科が設置され今日にいたっております。 開設以来、 大学院はわが国における産業医学研究の中核的機関としてその機能を果たし、 現在までに博士 (医学) の学位授与は甲号 (博士課程修了によるもの) 266名、 乙号 (論文提出によるもの) 306名となっています。

 産業医学は基礎医学、 臨床医学、 社会医学は言うに及ばず、広く自然科学、 人文科学を包括した総合科学に発展しています。 医学を 「病気の科学」 としてのみではなく 「健康の科学」 としても把握し、 労働と働く人々の健康の関係を解析することにその基礎をおいています。

 このような観点から大学院は、 産業医学における@学術研究の高度化と優れた研究者の養成機能の強化、 A高度専門職業人の養成機能、 社会人の再学習機能の強化、 B教育研究を通じた社会貢献、 国際貢献をその目的としています。

 このような目的を効率よく達成するため、 基礎医学、 臨床医学、 社会医学という区分を設けることなく、 研究内容により専攻系を形成するという機動性に富んだスクランブル方式の編成をとっています。 複数の講座、 研究室よりなる部門構成は、 専門知識の交流を可能にし、真に独創的な研究の展開を約束するものであります。また、平成16年度より本大学院の目的達成をより効果的にするため、夕方から夜間の開講を始めましたので、社会人入学が可能となりました。これにより昼間定職に就きながら大学院課程を修めることが可能になり、志のある諸君がさらに広範囲から集まることが可能になりました。 

 研究に従事する人材の面からは、 それぞれ異なったバックグラウンドをもつ人達が、 グループを形成して研究を行うことが卓越した研究業績に結びつくものであります。 従いまして本学では医学部卒業生のみではなく、 広く理学、 工学、 農学、 薬学、 さらには心理学、 経済学など人文・社会系の修士課程修了者にも門戸を開いています。 大学院は最先端の研究を推進する主体となるものです。 働く人々の健康を確保し増進していくという確固たる目的に関心をよせ21世紀の新進気鋭の産業医学研究者・実践者を目指す意欲のある方々の入学を期待します。

[文責:教務第1課 更新日:平成17年12月21日]