
起立性調節障害 orthostatic dysregulation(OD)は,思春期によくみられる自律神経失調症です.朝だるくて起きれない等,下表にみられるような様々な症状がみられます.基本は起立時の循環調節機能不全ですが,しばしば自律神経中枢の機能不全に関連した症状(睡眠障害,体温調節異常,精神症状)がみられます.中学生の約10%にみられ,小児科外来を訪れる心身症の約半数はODであるという報告もあるほど,よくみられる病気です.この病気は血液検査では異常は見つかりませんが仮病ではありません.むしろ患者本人にとっては身体症状は深刻で,自分では学校に行きたいと思っていてもOD症状のために学校に遅刻したり,不登校になったりすることがあります.
| 起立性調節障害の診断基準 | |
| 大症状 |
A) 立ちくらみあるいは目まいを起こしやすい |
| 小症状 |
a)顔色が悪い |
| 判定:大1+小3,大2+小1,または大3以上で器質性疾患を除外できた場合を,起立性調節障害とする | |
表にODの診断基準を示しますが,自覚症状だけから安易にODという診断を下すことはできません.なぜならこれらの症状は,うつ病や,単に学校に行きたくない場合にも見られるからです.ODであれば腹部バンドや弾性ストッキングで下半身に血液が停滞しないようにしたり,昇圧薬(血圧をあげる薬)や自律神経調整薬,漢方薬で治療を行ないます.もしこれらの症状がうつ病による場合は,昇圧剤だけでは良くなりません.逆にOD患者にうつ病の薬を投与するとOD症状を悪化させることがあります.したがって,このような症状がみられたら心身症を専門とする医師に相談することをお勧めします.
また,ODは循環調節機能の問題が主であっても,病態は学校や家庭でのストレスによって修飾されていることが多く,まさに心身両面から診断,治療してゆく必要がある病気です.
(なお上述の通り,ODは多くの病態を含むために,専門家の間では,ODという病名に関しては再検討されています)