輸血情報 9609−29 【輸血用血液製剤と薬剤の混注は避けてください】
なぜ混注はいけないのでしょうか?
薬剤によっては凝固や凝集、溶血、タンパク変性等を起こすからです。また、
外観上変化が見られなくても品質が低下していることがあります。期待した
輸血効果が得られないばかりでなく副作用の原因になることもあります。
これまで質問のあった主なものについて、ご紹介します。質問1.輸血用血液製剤の希釈液として輸液を使用したいのですがどのようなものがよいですか。 回答.
通常、輸血用血液製剤を希釈する必要はありません。赤血球M-A-P 「日赤」のヘマトクリットは約60%です。何らかの理由で希釈する場合は、生理食塩液のみが使用可能ですが、 腎不全、心不全等の患者についてはナトリウム負荷にご注意ください。
下記の「各種薬剤の混注が輸血用血液製剤に及ぼす影響について」をご覧ください。質問2.輸血によるアレルギー反応を予防するために抗ヒスタミン剤を混注するのはよいでしょうか。 回答.
蕁麻疹など軽症のアレルギー性皮膚反応には抗ヒスタミン剤の予防投与が有効なことがあります。
しかし、混注は製剤に変化を及ぼす可能性があります。また、抗ヒスタミン剤は拮抗阻害剤であり、輸血開始30分前に事前投与するのが最も効果的で輸血と同時に投与するのでは有効ではありません。
また、同剤の使用により、アナフィラキシーの初期症状の把握が困難になることから、血圧低下や呼吸困難、意識障害といったショック症状が急激に現れる可能性がありますので、患者の十分な観察が必要となります。質問3.薬物点滴ライン側管からの輸血はできますか。 回答.
輸血は単独ラインで行うことが原則です。しかし、血管確保が不可能な場合等にやむを得ず留置針を介して点滴ライン側管から輸血する場合は、次の点に注意してください。
・輸血開始前後には、生理食塩液でラインをリンスします。
・点滴ライン合流部(三方活栓部等)から留置針までのラインを短くします。
更新日:2002.12.22 文責:輸血部
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