輸血関連 NEWS EYE   2003.04.10

「輸血による重篤な副作用の調査」についての報道がありました.

[共同通信ニュース速報]
重い副作用2千人に1人 輸血後、肺水腫で死亡も[2003-03-25-17:55]

 輸血後に血圧低下や呼吸困難などの重い副作用が約2000人に1人の割合で起き、中には肺水腫で死亡するケースもあったことが25日、「全国国立大病院輸血部会議」の調査で分かった。
 1998−2000年度に44の国立大病院から報告された重い副作用症例のうち、詳しい臨床経過が明らかになったのは56例。この期間の輸血患者総数は約20万人とみられ、発生頻度は2143人に1人だった。
 患者のほとんどは回復したが、肺水腫を起こして死亡したケースが2例、呼吸困難のため輸血ができなくなって失血死したケースが1例あった。
 輸血後の副作用は、血しょうや白血球に対する免疫反応が主な原因の一つと考えられている。
 全国国立大病院輸血部会議は、肺水腫について「副作用として臨床医に広く認識されていない」とし、国による医師への情報提供や実態調査を求める声明を発表。厚生労働省は「対応を検討したい」としている。


[読売新聞ニュース速報]
輸血の副作用で過去2人死亡 [2003-03-26-10:22]

 輸血の副作用で急性肺障害を起こした患者が、国内で最近4年間に少なくとも7人おり、うち2人が死亡していたことが25日わかりました。
 全国国立大学医学部付属病院輸血部会議の調査によるもので、ほかに輸血後の呼吸困難が29例報告されていました。


コメント急性の輸血副作用は輸血開始から5−15分以内に発生することが多いようです,「輸血療法の実施に関する指針」(厚生省医薬安全局長通知 平成11年)にも「輸血開始後5分間はベッドサイドで患者の状態を観察」「輸血開始後15分程度経過した時点で再度患者の状態を観察する」ように通知されています.輸血前検査で予防できるのは主に溶血性副作用であり,その他の副作用には対応できません.副作用の早期発見と対処はベッドサイドでの患者様の観察にかかっています.


 第51回日本輸血学会総会が北九州市で開催されます
 第51回日本輸血学会総会(総会長:坂本久浩,産業医大輸血部)が平成15年5月29日−30日の3日間に渡り,北九州国際会議場,リーガロイヤルホテル小倉で「血液の国内自給と安全な輸血療法への取り組み」「輸血部門と臨床各科との連携を目指して」をテーマに開催されます.
 公開企画として,坂口 厚生労働大臣をお招きし,今年7月に施行される血液新法「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律について」の講演や「薬剤誤投与と輸血ミス防止のためのリスクマネジメント」を看護,薬剤,輸血部門の立場から考える公開シンポジウムを準備しています.その他にも臨床各科との連携のシンポジウムも盛りだくさん.輸血学会員だけでなく興味のある方には是非ご参加をお願い致します.
 総会の詳細は大学ホームページの新着情報か以下のURLでご覧下さい.

 第51回日本輸血学会総会
 URL:http://www.uoeh-u.ac.jp/kouza/yuketu/jsbt51/index.html        


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更新日:2003.4.10 文責:輸血部