緩和ケア・血液腫瘍科

 産業医科大学若松病院緩和ケア・精神腫瘍科は名称を緩和ケア・血液腫瘍科に変更しました。その理由は、現在当科には常勤の精神科専門医が不在であることと、血液専門医師(専門分野:血液腫瘍、がん化学療法、内科一般、緩和ケア)による積極的な血液腫瘍に対する治療が若松区・戸畑区を中心として確実に普及しており実績が上がっているからです。

現在、血液専門医師と緩和・ペインクリニック専門医師(専門分野:緩和ケア、ペインクリニック、麻酔)の2名体制で24時間365日オンコール体制にて対応しております。一般的に緩和ケア科というと、がんの患者様の看取りの医療のイメージが強いと思います。しかし、日本緩和医療学会も提言しておりますが、いつでも、どこでも、切れ目ない緩和医療(下記の図)を目指して、がんと診断された時から治療とともに緩和医療を始めることが現在の主流となっております。当科が他の病院の緩和ケア科にない特徴としては化学療法も併用して行っているということです。血液専門医師は血液腫瘍を専門としており、白血病や多発性骨髄腫等の治療を積極的に行いながらも、全てのがんに対して診断、治療、そして緩和医療も行うことが可能です。

 また緩和・ペインクリニック専門医師も麻酔・ペインクリニックを経て緩和医療を行っており、がんの痛みや精神的苦痛のみならず、慢性疼痛の治療にも積極的に行っており、入院治療にも対応しております。以下に簡単ですが当科の特徴や目指している緩和医療を述べたいと思います。

 

1 治すための治療

現在の緩和医療の主流

  治すための治療/緩和ケア

 

(1) 血液腫瘍を中心とした積極的な化学療法(血液専門外来)
 当院は2013年3月より2室の無菌室を開設し、若松区、戸畑区を中心として、八幡西区や小倉北区までの患者様も受け入れております。その方の病状から社会生活まで全面的に考慮してエビデンスに基づいた適切で安全性が高く副作用を最小限にした化学療法を行っております。無菌室の稼働率は90%を超えることもあります。これも当科の血液専門医師が若松区・戸畑区で唯一の血液内科学会認定専門医であるとともに、がん薬物療法認定医であることが言えると思います。血液専門外来を水曜日、木曜日に行っておりますので、紹介状やお電話をいただき、ご予約していただければと思います。また急速に症状が悪化する場合は紹介状があれば緊急入院もできる限り受け入れる体制をとっております。こちらは当科の血液専門医師が主にマネージメントをしており、緩和ケア・ペインクリニック専門医師はサポートに徹しております。外来化学療法も積極的に行っており、外来化学療法室はベッド6床、リクライニングシート2席で対応しております。

 

(2) 終末期における緩和医療
 当院はいわゆるホスピス病棟、緩和ケア病棟などの専門の病棟がありません。主に一般病棟の有料個室を利用してがんの終末期の方の最期を看取らせていただきます。状態が悪化した場合や、最期の数日となった場合は有料個室をお願いしておりますが、それ以外は4人部屋で過ごすこともできます。またベッドが空いていて、紹介状があれば、2つの条件(最期の数日は有料個室で、一日7000-10000円患者様負担をお願いしていることと、御本人様ががんであることをできれば知っていただきたいこと)を満たせば病状に応じて即座に引き受けさせていただくこともできます。
 他の緩和ケア病棟と比較して設備の面では不足している所もありますが、できる限り敷居を低くし病棟ベッドの空きがあれば、対応させていただいております。化学療法を希望される方には担当医師がメニューを考えて緩和的化学療法を行いながらできる限り患者様・御家族の希望に沿った医療を行っております。また新しいオキシコンチンの注射薬を早期に取り入れて苦痛なく、御家族とのコミュニケーションを最期までできる限り取れるように対応させていただいております。金銭的にも他の緩和ケア病棟より安価で、スピーディーに対応をしております。がんの終末期は病状が日々変化しますが、患者様だけでなく、御家族に対しても質が高く、心のこもったケアができる診療科を目指しております。
 原則新患患者様は火・水・木の午前中ですが、外来は2名の常勤医師のどちらかが毎日午前中・午後月~金まで出ておりますのでお気軽にご相談ください。こちらは両医師が協力し合って主治医もその都度考慮しながら決めており、緩和ケア認定看護師も随時介入してトータルケアを行なっています。

 

(3) 慢性疼痛の治療

 現在、日本全国には1000万人を超える慢性痛で悩んでいる方がおられます。現在トラマールやリリカ等非常に優れた内服薬が発売されており、漢方薬も見直されております。若松区唯一の日本ペインクリニック学会専門医の緩和ケア・ペインクリニック専門医師が内服治療・支持的傾聴、リハビリテーションを行い、密に他業種の方と連携を取り合い対応しております。術後痛、慢性疼痛(帯状疱疹後神経痛、慢性的な腰痛症等)を適切な治療を行っております。NSAIDsの適正使用やトラマールの早期からの導入などで北九州中でも引けを取らない慢性疼痛の治療を行っております。神経ブロックも行っておりますが、体に負担をかけるので症例を見極めて最小限行っております。これは緩和・ペインクリニック専門医師が主にマネージメントを行っており、血液専門医師がサポートという体制をとっております。
 現在、緩和ケア病棟やホスピスは入院待ちの方も多く、有料個室の面からも敷居が高いと言えます。また付添等の面からも御家族の負担は少なくありません。当科は患者様のご希望に沿った緩和医療を行っております。また御家族のサポートも最大限行っております。看病疲れしないようにできる限り泊まってくださいなどとは言いません。ただ、我々医療従事者では埋められないところもあると思いますのでその際は御家族の協力をお願いしております。実際核家族化が進んでおり、仕事を抱えられて、いつも付き添うことは現実的に困難です。当院スタッフや緩和ケア認定看護師もできる限り患者様、御家族に寄り添うように対応させていただいております。
 先ほども申しましたが、24時間365日どちらかが必ず30分以内で駆け付けられる体制をとっておりますので安心されてください。その分病棟スタッフ、緩和ケア認定看護師には相当の負担がかかっておりますが、病院全体の緩和医療に対するモチベーションは非常に高いと思っております。
 ただ、当科は開設してからまだ4年です。皆様の御指導・御鞭撻、そして時には厳しいご意見がないと発展していかないと思っております。何卒当科並びに若松病院を宜しくお願い申し上げます。


血液専門医師の資格
日本血液学会専門医
日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法認定医
日本内科学会認定内科専門医
緩和ケアの基本境域に関する指導者研修受講

 

緩和ケア・ペインクリニック医師の資格
日本麻酔科学会専門医
日本ペインクリニック学会専門医
緩和ケアの基本境域に関する指導者研修受講

 

 ● 緩和ケア・血液腫瘍科 スタッフ