第65回日本職業・災害医学会の開催(ラマツィーニ宣言)

大久保元学長(切り抜き).jpg東学長(切り抜き).jpg 第65回日本職業・災害医学会が、平成29年11月25日(土)、26日(日)に小倉の国際会議場で開かれました。第50回大会を重松昭生元病院長が開催されてから、15年ぶりの産業医科大学主催です。

 職業医学と災害医学の本流を組み込まなければなりませんので、産業保健、(治療と就労の)両立支援・ストレスチェック、熊本災害・福島第一原発事例等のセッションを用意しました。また、本流ではありませんが、職業医学・災害医学にとても重要となる領域を入れ込みました。例えば、日本におけるがん診療の最前線・新専門医制度・非専門医のためのヒヤリハット症例等です。平成27年5月に第1回の学会準備委員会を16名の委員で開始して、合計14回の委員会を開催いたしました。内部・外部の委員の方々のアイデア・努力で多彩なセッションを組むことができました。YIA発表6・ポスター発表110・薬剤関連の口演発表7と合計123演題の発表をいただき、基調講演1・特別講演7・教育講演11・シンポジウム23等の活発な発表・質疑応答をいただきました。
 東 敏昭学長のアイデアでJAXAの古川 聡医師・宇宙飛行士(森本泰夫先生の研究仲間)を招き、「宇宙ステーションでの生活・日本から火星に人を送る近未来計画・宇宙での創薬」等の夢のある講演をいただき、また、産業医学の人材育成をテーマにシンポジウムを組み、ラマツィーニ先生の足跡から現代の課題を考察した上で、「2017年日本職業・災害医学会北九州ラマツィー日本職業災害医学会(最後の写真).JPGニ宣言」を行いました。さらに、大久保利晃元学長が特別講演「東電福島第一原発緊急作業従事者に対する疫学研究」を発表され、問題の大きさを改めて知った人も多かったようです。
 参加された方から「職業・災害医学を中心に多様で幅広い関連トピックスの勉強ができる」と評価していただき、参加者も786名と、本学会としては比較的盛況であったようでひと安心しています。産業医大には、職業医学・保健衛生・災害医学・その他関連の医学に関して幅広いアイデアを持つ人材が多数いることを実感いたしました。内外のご協力していただいた方々、本当にありがとうございました。

 

 

2017年日本職業・災害医学会北九州ラマツィーニ宣言

前文

 高齢化と生産年齢人口の減少が進行する我が国において、健康寿命の延伸と労働力の確保は喫緊の課題である。働く人の健康を保持・増進することにより労働力を確保するのみならず、多くの人にとって働くことが精神的、身体的、および、社会的健康への最大の貢献となることを共有し、安心して自ら望むまで働くことができる職場をつくっていくことが必要である。働く人の健康や、安全で健康に働くことができる職場づくりを目的に、職業医学および災害医学の研究および教育を行っている本学会の社会的責任が大きいことを自覚する。
 医療・介護に医療専門職の人材がさらに必要な状況下で、職業医学および災害医学における人材は充足に程遠い状況である。限られた専門職に対して継続的な教育を行いサービスの質を確保すること、また、多職種連携をさらに推進し、効果的な活動を行っていくことが重要である。今後、産業保健分野に携わる人材を増やし、継続的に優れた人材を育成するために、以下のことを宣言する。 

   

 1

 

職業医学および災害医学に対する社会のニーズに常に注意を払い、学会が取組むべき事項の検討を継続的に行います。

 2

 

疾病・災害予防や治療と仕事の両立支援を行う職場の医療職・事務職等の専門性を高める教育機会を提供します。

 3

 

医療機関において、患者の就学・就業を含めたそれぞれの人にとって質の高い生活に常に配慮して診療をおこなう医療職を育成します。

 4

職場等と医療機関との専門職が密に連携し、治療と就学・仕事の両立支援ができる環境を整えます。

 5

 

災害による1次性疾患、災害後の特殊環境下による2次性疾患をふまえた医療や生活・労働管理を提供できる人材を育成します。
 6

医療機関や医療系大学等に向けて、職業・災害医学のやりがい・魅力を発信します。

 

 

 (産業医科大学病院長 尾辻 豊)

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