令和2年度 事業報告

 令和2年度事業運営の基本方針 

 令和2年度は、新型コロナウイルス感染症に対して全学を挙げて取り組み、第3次中期目標・中期計画(平成28年度~令和3年度)に基づき、医科大学としての教育・研究・診療の基盤を強化し、産業医学及び産業保健の中核を担う豊かな人間性に富む人材を養成するとともに、産業医学の振興及び産業保健の推進の更なる発展に努め、医療の提供においては、地域に密着し、かつ先進的な機能の充実を図った。

 このため、特に以下の事項について重点的に取り組んだ。

 1 教育 産業医学・産業保健の中核を担う人材や次世代の研究リーダーの養成、産業医学・産業保健分野を目指す学生の確

   保、国家試験の高い合格率の維持

 2 研究 社会の求める課題の解決に寄与する産業医学・産業保健の研究

 3 産業医及び産業保健専門職の養成「人材育成プラン」に基づく積極的な養成、本学卒業生の70名以上の産業医従事、産業

   保健専門職の養成、産業医学に関する様々な研修会の充実及び首都圏専門的産業医養成支援事業の実施等

 4 病院運営 大学病院については、高度急性期医療の推進、若松病院については、地域に信頼される医療の提供

 5 社会貢献及び情報発信 本学の知見や研究成果を社会還元し、情報発信を推進

 6 業務運営 長期ビジョンの策定、第4次中期目標・中期計画の策定へ着手、私立学校法等の改正に伴う対応、機能的な組

   織、財政基盤の安定化・収益性の確保、働き方改革への対応、提案制度の再構築、大学機関別認証評価の受審、施設整備、

   大学病院耐震工事の着手、急性期診療棟建設工事の業者の選定

 7 コンプライアンスの徹底 コンプライアンス意識の定着、法令及び学内規則等を遵守する取組


Ⅱ 令和2年度事業の具体的内容

 1 教育

    医学部、産業保健学部及び大学院の教育については、新型コロナウイルス感染症防止対策に係る政府の緊急事態宣言の発

    令及び福岡県の要請に基づき、本学における対策を適宜適切に行ったうえで授業を行った。

    ・ 4月からオンライン講義を実施するとともに、授業科目の実施方法等を策定し、講義・実習を年度内に終了させ、教 

     育の質の維持に努めた。

  (1) 学部教育

   ① 医学部

     高い倫理観及びコミュニケーション能力を備えた人間性豊かな医師を養成するとともに、6年間を通じ系統的な産業医

     学教育を実施し、優れた産業医の養成を図った。

    ・ 令和元年度に見直した卒業認定・学位授与方針及び教育課程の編成・実施方針に基づき、医学教育の質的向上を図った。

    ・ 総合教育セミナー、基礎研究室配属等の少人数対話型教育を通じて、課題探求・問題解決能力、コミュニケーション能力

     の涵養を図るとともに、実効性のある医学教育の円滑な実施と効果的な教育目標の達成を図った。

    ・ 医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂)及び医学教育分野別評価基準に対応した医学教育カリキュラ

     ムを確立するため、平成31年度入学者から適用となった新カリキュラムと旧カリキュラム(3年次~6年次適用)の円

     滑な実施を図った。

   ② 産業保健学部

     高度な知識・技術と幅広い教養を身に付けた看護師、産業保健師及び労働安全衛生専門職を養成する教育を行った。

    ・ 令和元年度に見直した卒業認定・学位授与方針、教育課程の編成・実施方針に基づき、産業保健教育の質的向上を図っ

     た。


    ・ 環境マネジメント学科において学科の目的及び将来の職業をわかりやすくするため、令和2年4月入学者から学科名称を

     産業衛生科学科に変更した。また、看護学科及び産業衛生科学科において、社会の要請に応える専門職を養成するため、令

     和2年4月入学者から適用される新カリキュラムの円滑な実施と効果的な教育目標の達成を図った。

  (2) 大学院教育

    高度な研究能力と豊かな学識を有した人材を養成する教育を行うとともに、産業医学の発展に貢献した。

    ・ 令和元年度に見直した各専攻における学位授与方針及び教育課程の編成・実施方針に基づき、大学院教育の質的向上を図

     った。

    ・ 学位授与状況は、以下のとおりとなった。

     【学位授与状況】〔括弧内は令和元年度実績〕

          博士(医学)課程修了による者 25名〔22名〕

                論文提出による者 16名〔15名〕

          博士(産業衛生学)      6名〔7名〕

          修士(産業衛生学)      9名〔7名〕

          修士(看護学)        4名〔4名〕

  (3) 学生の受入れ

   ① 学部

     本学の設置目的及び入学者受入方針を十分に理解し、明確な使命感及び目的意識を持つ、将来、産業医や産業保健専門職と  

    して活躍できる優秀な学生を全国から更に多く確保するよう努めた。

    ・ 学校推薦型選抜(旧称:推薦入試)及び一般選抜(旧称:一般入試)について、新型コロナウイルス感染症防止対策を行 

     ったうえで、適切に実施した。

    ・ 志願者は、コロナ禍において高校及び予備校訪問、入試説明会が中止されるなど十分に実施できず、減少する結果となっ

     た。

    ・ 受験生に向けては、大学入学共通テストへの移行(高大接続改革)に係る入試広報に努め、共通テスト仕様に沿った入試シ

     ステムの改修を行った。

      入試結果は、以下のとおりとなった。

      【入試結果】〔括弧内は令和元年度実績〕

       医学部(募集人員105名のうち推薦入試20名以内)

        学校推薦型選抜 志願者数   69名〔  92名〕から20名選抜

        一般選抜    志願者数 1,248名〔1,616名〕から85名選抜

       産業保健学部看護学科(募集人員70名のうち推薦入試35名以内)

        学校推薦型選抜 志願者数   63名〔  79名〕から35名選抜

        一般選抜    志願者数  177名〔 185名〕から35名選抜

       同 産業衛生科学科(募集人員20名のうち推薦入試5名以内)

        学校推薦型選抜 志願者数    6名〔   6名〕から 5名選抜

        一般選抜    志願者数    33名〔  31名〕から14名選抜

   ② 大学院

     大学院の目的及び各専攻における入学者受入方針を十分に理解し、自らが主体的かつ積極的に課題に取り組み、解決する能

    力を有する学生の確保を図った。

     入学者選抜は、新型コロナウイルス感染症防止対策を行ったうえで実施し、その結果は、以下のとおりとなった。

    【大学院入学者選抜結果】〔括弧内は令和元年度実績〕

      医学専攻(博士課程)       22名〔24名〕

      (うち社会人15名、留学生3名)

      産業衛生学専攻(博士前期課程)  8名〔8名〕

      (うち社会人3名)

      産業衛生学専攻(博士後期課程)  6名〔5名〕

      (うち社会人4名)

      看護学専攻(修士課程)      2名〔3名〕

      (うち社会人2名)

  (4) 国家試験

   ① 医学部

     医師国家試験の合格率は、教育効果を示す重要な指標の一つであることから、引き続き他大学の情報を収集するとともに、

    模擬試験結果を検証し成績下位者へは徹底した学習指導を実施した結果、目標の合格率95%以上を達成することができた。

    【第115回医師国家試験結果】〔括弧内は前回実績〕

     令和2年度新卒者  88名中 85名合格 

          合格率   96.6% (全国平均 91.4%)  全国80校中9位

         〔第114回 100.0% (全国平均 92.1%)  全国80校中1位〕

   ② 産業保健学部

     看護師及び保健師国家試験の情報を把握し共有化するとともに、教育方法及び模擬試験結果を検証し、徹底した学習指導の

    実施に努め、全員合格を目指し、その実現を図った結果、合格率100%となり、全員が合格した。

    【第107回保健師国家試験結果】(括弧内は前回実績)

      看護学科卒業生68名のうち保健師教育課程選択者18名が受験し18名合格

          合格率  100.0% (全国平均 97.4%)

         〔第106回 100.0% (全国平均 96.3%)〕 

    【第110回看護師国家試験結果】(括弧内は前回実績)

       看護学科卒業生68名のうち68名合格

           合格率  100.0% (全国平均 95.4%)

          〔第109回  98.5% (全国平均 94.7%)〕

  (5) 教育の質の向上

    教育研究に係る内部質保証の方針に基づき、教育研究質保証推進委員会において、各学部等の教育研究活動の改善及び向上を

   着実に推進した。

   ・ 令和2年4月に設置したIR推進センターについては、全学的な教育研究活動における適切なPDCA推進を支援するた

    め、大学の教育研究活動に関するあらゆる情報を収集・蓄積・分析し、分析結果の提供を行う統合データベースを令和3年2

    月に導入し、3月から試行的に分析を開始した。

   ・ 学修成果を可視化するためのツール「学修評価システム(eポートフォリオ)」を有効利用し、医学部2年次生の「早期臨床

    体験実習」及び産業保健学部1年次生の講義等において活用し、評価を行った。

   ・ 医学・看護学・労働安全衛生学教育を取り巻く新たな課題への理解を深めるとともに、教育内容及び方法の組織的改善と教

    員の教育能力の向上を図るための、ファカルティ・ディベロップメント(FD)を実施した。

  (6) 学生への支援

    学生指導については、学生部長のもと学内関係者一体となって、学生生活全般に関する相談及び指導等の充実を図った。

   ・ 教員と学生との関わりを深め、指導教員制度の充実を図り、産業医、産業保健専門職への就業の動機付けを行うための情報

    の提供を行った。

   ・ 新たに創設した本学独自の修学援助奨学金制度及び緊急学業支援貸付金制度により、更なる学生支援の充実を図った。ま

    た、新型コロナウイルス感染症拡大により、学業継続に支障のある学生に対しては、緊急学業支援貸付金制度の審査基準を緩

    和して支援するとともに、文部科学省の学生支援緊急給付金給付事業(「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』)に

    ついても取りまとめを行い当該学生を推薦した。

 (7) その他教育全般

   ・ 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、学生に対して、感染予防対策内容を迅速に周知するなど、感染防止対策を行っ

    た。

 

 2 研究

    英国の高等教育専門誌「THE世界大学ランキング2021年版」において、本学の研究力が評価され、被引用論文(研究影響

   力)で世界第1位となり、国内総合で第5位〔7位〕、私立大学で第1位〔1位〕にランクされた。 (括弧内は前回実績)

    産業生態科学研究所が、世界保健機関の産業保健分野における指定協力機関(WHO-CC)として、4年ごとの厳格な要件

   審査の結果、昭和63年以降8期連続で指定された(令和3年3月現在、日本に34施設)。

  (1) 産業医学・産業保健の研究

    職業性疾病の予防と労働適応能力の向上に資する研究課題を探究した。

   ・ 産業医学に関する諸課題(労働者の能力向上、産業保健体制・経営改善、様々な有害要因の解析と改善、新規化学物質の有

    害性評価等)に取り組んだ。

   ・ 職業適性を推進する横断的な研究を進めるため、令和3年度からの「高年齢労働者産業保健研究センター」設置に向け、必

    要な整備を行った。

   ・ 災害産業保健に関する研究、教育コンテンツやマニュアル等の作成、人材育成に取り組むため、令和3年度からの「災害産

    業保健センター」設置に向け、必要な整備を行った。

  (2) 研究の質の向上

   ① 研究の活性化

     本学が戦略的に取り組むべき研究課題を明確にし、重点分野に資源を注入することにより、他大学・研究機関に先駆け、研

    究成果の向上を図った。

   ② 産学官連携の推進

     産業界、行政機関等との連携・協力を推進し、共同研究・受託研究等を積極的に推進した。

   ③ 国際交流の実施

     世界規模での新型コロナウイルス感染症拡大により、国際交流センターが計画していた多くの活動について中止又は延期を

    余儀なくされた中、例年実施されている国際遠隔講義については、令和2年度も本学より4名の教員が講義を担当するなど積

    極的な支援を行った。

     また、世界保健機関西太平洋地域事務所(WHO WPRO)の主催により開催された地域・職域における新型コロナウイ

    ルス感染症予防の取組に関するオンラインワークショップには、世界保健機関指定協力機関(WHO-CC)である産業生態  

    科学研究所が参加した。

   ④ 産業保健データの活用

     産業保健データサイエンスセンターにおいて、企業、健康保険組合等が保有する産業保健のデータ収集を行い、情報を統計

    学的に分析し、データ提供企業等に対して、分析結果をフィードバックを行った。

  (3) 教育研究環境整備

    教育研究支援施設各センター間の緊密な連携を図るとともに、施設の基盤整備及び適切な管理運営により、一層の教育研究支

   援を行った。

 

 3 産業医及び産業保健専門職の養成等

    国における産業医・産業保健機能強化の動きを受け、本学において新たに策定した「産業医科大学における今後の産業保健分

   野の人材育成プラン(以下「人材育成プラン」という。)」に基づき、優秀な産業医・産業保健人材の育成について更なる教育   

   機能の充実を図るため、次の取組を行った。

  (1) 産業医の養成

   ・ 医学部については、産業医への就職支援を充実させ、70名以上を産業医に従事させる目標達成の実現を図るとともに、社

    会全体の産業医に対する期待と需要が高まる中、「人材育成プラン」に基づき、更に多くの産業医の輩出を図り、各講座等と

    進路指導担当部署等が連携を密にし、求人の確保、情報の提供並びに産業医への就職促進に取り組んだ結果、令和2年度は新

    たに78名が常勤の産業医として従事した。

   ・ 医学教育プログラムの改革に合わせ、産業医学教育において1年次から6年次まで基礎専門・実習の的確な配置と十分な時

    間的な確保を図った。特に産業医学現場実習を充実させるとともに、産業医実務に活かせる臨床能力の向上を図った。

   ・ 学部生及び卒業生に対して、産業医学・産業保健関係業務に関する情報提供等を行い、産業医学・産業保健関係業務への就

    労支援を行った。

   ・ 産業医業務に必要な修練を充実させた産業医学卒後修練課程について、専門産業医コースⅠに関しては、社会医学系専門医

    研修プログラムを引き続き実施した。専門産業医コースⅡに関しては、診療領域における基本18領域の専門研修プログラム

    を組込んだ後期課程修練を実施し、各コースの円滑な運営を行うことにより、それぞれの専門医資格要件を有する優れた産業 

    医を養成した。

   ・ 産業医資格の取得に係る産業医学基本講座、産業医学総合実習及び産業医学基礎研修会集中講座を新型コロナウイルス感染

    症防止対策を行ったうえで実施し、他学卒業生の産業医の養成に貢献した。なお、産業医学基本講座については、他大学卒業  

    生に対する広報活動を推進し、受講生の積極的な受入れを図った。

   ・ 産業医学修練医等に対して、産業医実務に関する知識及び技術を実地に研修させる産業医学実務講座を、令和2年度は新型

    コロナウイルス感染症拡大防止のため、一部の実習を除きWeb開催とし、本学修練医のみを対象として、80名が受講し、71 

    名の修了認定を行った。

    【受講状況】〔括弧内は令和元年度実績〕

    産業医学基本講座 北九州開催分  受講者   51名(修了者   51名)

                  〔 受講者    45名(修了者   42名)〕

    産業医学基本講座 東京開催分    中止

                  〔 受講者   14名(修了者   12名)〕

    産業医学基礎研修会 北九州開催分 受講者   289名(修了者   285名)

                  〔 受講者   970名(修了者   963名)〕

    産業医学基礎研修会 東京開催分  受講者   234名(修了者   231名)

                  〔 受講者   289名(修了者   280名)〕

  (2) 産業保健専門職の養成

    産業保健学部については、産業保健専門職への進路支援を充実させ、関連職場への就職を促進した結果、就職を希望する者

   85名のうち80名(94.1%)が関連職場に就職した。

   ・ 企業の産業看護職へのニーズの高まりに併せ、産業看護関連科目に関する講義及び実習の充実に努めた。

   ・ 企業に勤務する先輩産業看護職との交流会等を充実させ、産業看護職志向を高める機会の増加に努めた。

   ・ リスクアセスメントの実施等、化学物質管理の強化に対応できる教育を充実させるとともに、衛生管理者教育の強化を図っ

    た。

  (3) 産業医及び産業保健専門職の能力向上

   ・ 産業医等のキャリアに応じた研修の一環として、産業保健コアカリキュラム及び産業看護実務研修を実施する予定であった

    が、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、令和2年度は中止した。

   ・ 本学で蓄えられた教育・研究成果を活用し、全国各地で産業保健専門職への専門的研修(産業医学実践研修)を、コロナ禍

    のため、大幅に回数及び定員を減少し、5プログラムを実施し、119名が受講した。

   ・ ストレス関連疾患予防センターにおいて、過重労働対策を推進するための研究及び研修教材の開発を行うとともに、関連分

    野の科学及び社会政策について幅広い知識を有する特命講師が全国の都市において産業保健専門職を対象とした研修会を9回

    実施し、計573名が受講した。

   ・ 産業医及び産業保健専門職への情報提供を行い、産業医の臨床的な悩み相談などを行う「病産連携窓口」を新設し、産業

    医・産業保健機能の強化を図った。

   ・ メンタルヘルスサービス機関の機能認定の更新を行い、当該機関の産業保健サービスの向上を図った。

  (4) 首都圏専門的産業医養成支援事業(東京プロジェクト)

    首都圏において、質の保証された産業医学に関する教育・研修事業及び産業保健関連分野のネットワークを構築・展開し、わ

   が国における産業医学分野の人材の更なる育成と情報の収集・発信を図るための事業については、新型コロナウイルス感染症拡

   大により、一部事業の中止、計画変更を行い実施した。

  •  事業Ⅰ(教育・研修事業)

    首都圏において、他大学卒業の医師で専門的な産業医を目指す者に対して実施する産業医学基本講座(東京開催)について

   は、新型コロナウイルス感染症拡大により中止となったが、令和2年度の受講予定者及び過去の修了者を対象としてWebによ

   る「産業医学基本講座(東京開催)フォローアップ研修」を全6回開催し、延べ134名が参加した。

  •  事業Ⅱ(就職促進事業)

    継続的な産業医の供給という社会的な要請に応えるため、大学関連会社と連携協定を締結し、事業Ⅰ修了者のうち産業医への

   就職を希望する者への産業医活動に関する相談対応等の支援策として、就職促進事業の紹介及び就職希望者とのマッチングを行

   った。

    また、事業Ⅰ修了者に対する専門的産業医実地研修について、令和3年度からの実施に向け、検討を進めるとともに、研修予

   定機関と研修生受入れに関する調整を行った。

  •  事業Ⅲ(情報発信・啓発事業)

    産業医学・産業保健に関する情報収集、発信拠点としての首都圏プレミアムセミナーは、新型コロナウイルス感染症拡大によ

   り、対面セミナーから、遠隔セミナーに変更して同期型セミナー(Zoom方式)7コース、非同期型セミナー(YouTube等オン

   デマンド配信)4コースを開催し、146名が受講した。

    また、受講者相互の人的ネットワークを構築するための首都圏事業プレミアム会員制度については、試行から本実施に移行

   し、メールマガジンを発行するなど広報活動に努めるとともに、会員特典やウェブサイトを通じて会員相互の掲示板を設置する   

   など、情報の共有・発信を行った。

 

 

 4 病院運営  

    大学病院と若松病院は、それぞれの機能を生かした運営により、地域完結型医療における高度急性期医療機関としての診療体

   制・機能、医療の質の充実・向上を図り、国が進める地域包括ケアシステム、病床機能報告制度への対応、高齢化が進む地域へ

   の適切な医療提供等について、具体的な目標を持った運営を行った。

   ・ 新型コロナウイルス感染症への対応については、専用病棟(病床)の設置、全入院患者へのPCR検査等の徹底した感染対

    策を実施し、新型コロナウイルス陽性患者を受け入れた。

     また、福岡県、北九州市、医師会等からの感染対策に関する様々な協力要請にも対応し、地域の感染拡大防止にも努めた。

    なお、ワクチン接種については、福岡県からの要請に基づき、大学病院は基本型接種施設として、若松病院は連携型接種施設

    として、本学に勤務する医療従事者等に対し、1回目の優先接種を行った。

   ・ 患者の安全を確保するため、常に業務改善を行うとともに、医療安全に関する情報の発信及び教育・研修を通じて、職員の

    安全管理に対する意識向上を図るなど、医療事故、院内感染防止等の医療安全対策及び情報管理対策を充実・強化に努めた。

   ・ 診療体制・機能の維持及び充実を図るため、医療設備・機器の整備を継続的かつ計画的に行うとともに、医療スタッフの負

    担軽減を図った。

   ・ 医師の働き方改革に対応し、他職種へのタスクシフティングの推進、勤務間インターバルの確保等の配慮、人員増等により

    医師の負担軽減を図った。

   ・ 職種・職位・部門の垣根なく高い倫理観を持って互いの意見を尊重し、患者と職員の安全・安心に努めるため、「病院の理

    念」を改正した。

   ・ 病院長のリーダーシップの下、診療データの分析を活用し、各診療科長等との面談を行い、病院収益の改善を図った。

    また、業務の効率化、病床稼働率向上のために集患を図るとともに、ベンチマーク(他病院との比較による)の活用、SPD

    業者と共同での診療材料の調達価格の見直し等により、薬品・診療材料費等の経費節減を図った。

  (1) 大学病院

   ① 高度急性期医療の推進

   ・ 高度急性期医療への更なる特化を図り、特定機能病院及び地域の中核病院として先進医療及び地域医療を推進した。

     令和2年度の実績は、以下のとおりとなった。

    【令和2年度診療実績】〔括弧内は令和元年度実績〕

    平均在院日数(精神科病棟を除く。)  11.7 日      〔10.8日〕

    1日平均入院患者数         478.1 人    〔586.5人〕

    1日平均外来患者数        1,117.6 人   〔1,313.4人〕

    新入院患者数            13,476 人   〔17,730人〕

    病床稼働率              70.5 %     〔86.5%〕

    手術件数                     5,591 件   〔7,166件〕

    紹介率                     87.4 %    〔89.8%〕

    逆紹介率                    83.0 %    〔76.4%〕

   ・ 適切な医療サービスが提供されるべき疾病として厚生労働省が定める5疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病・精神

    疾患)に対応した医療提供体制を構築するため、救急医療(急性期脳卒中診療)への対応体制の検討、増加する老人性疾患へ

    の急性期対応と地域医療機関との機能分担等を進め、高度急性期医療及び地域医療の中核病院としての診療体制・機能の充実

    を図るとともに、特にがん治療の推進に努めた。

   ・ 脳血管疾患の急性期診療を活性化させるため、脳卒中血管内科の設置準備を行った。

   ・ がんの集学的治療を推進するため、地域がん診療連携拠点病院として、がんセンター及び緩和ケアセンターの機能を維持

    し、地域におけるがん診療の中核として、診療機能の充実を図るとともに、教育・研修体制の拡充に努めた。

    また、平成31年4月にがんゲノム医療連携病院の指定を受けたことに伴い、ゲノム解析によるオーダーメイド医療に対応す

    るため、遺伝カウンセリング科による遺伝性疾患への診療機能の充実及び遺伝子パネル検査実施体制を整備し、診療を開始し

    た。

   ・ 臨床検査・輸血部及び病理部でのISO15189の取得に向けた準備を行った。

   ・ 近隣の病院との機能分化を明確にし、患者急変時の対応、後方ベッドの有効活用等、地域の医療機関との連携強化による地

    域完結型医療体制の拡充、機能強化及び紹介患者数の増加を図るため、コア・ネットワーク病院を含む近隣医療機関等との緊

    密な連絡、支援等を行うなど、相互支援体制の構築及び連携強化に努めた。

   ・ 医科歯科連携による「周術期口腔機能管理」の流れを構築し、地域の歯科医療機関と大学病院との連携による当該管理の充

    実を図った。

   ・ 平成30年1月に設置した就学・就労支援センター及び両立支援科については、治療を受けながら就学・就労する者が増え

    てきたことから、両立支援コーディネーターを増員した。また、薬剤師や理学療法士などの多職種による両立支援へのサポー 

    ト体制を構築し、支援の充実を図った。

   ・ 医療機器については、引き続き計画的に更新した。併せて新型コロナウイルス感染症防止対策の医療機器については、新型

    コロナウイルス関連補助金を活用し整備を行った。

   ・ クリニカルパスの利用推進による適用率の向上及び医療の標準化を図った。

   ・ 耐震工事及び耐震工事に伴う病棟、関係各部門等の一時的移設・改修を円滑に実施した。

   ・ 令和4年1月の病院総合医療情報システム更新に向け、機能別にワーキンググループを立ち上げ、仕様書の作成を行うとと

    もに、業者を選定した。

   ・ 急性期診療棟稼働開始に向けて、医師、看護師及び医療技術職の人員体制の検討を行った。

   ・ 令和2年度診療報酬改定に的確に対応するため、算定要件・体制の整備、関係部署への周知等を行った。

   ・ 令和元年12月に実施された適時調査及び病院機能評価における指摘や改善を受けた事項について、順次対応を行った。な

    お、病院機能評価については、条件付認定を受けた。

   ・ 医師の負担軽減に繋げるため、術中麻酔管理特定行為看護師の養成に向けての準備を行った。

   ② 安全かつ質の高い医療の提供等

   ・ 安全かつ質の高い医療の提供のため、職員への医療安全教育の更なる充実を図った。

   ・ 医薬品の保管、流通、投与等に関する安全管理体制を整備してきたところであり、安全管理に関する運用を厳格に行った。

   ・ インシデント・アクシデントレポートによる報告及び医療安全監査委員会による監査結果報告により明らかになった問題事

    項について、医療安全管理委員会において検証を行い、改善策を職員へ提案し、医療安全対策の強化に努めた。

   ・ 地域住民及び医療機関への情報提供のために、臨床指標の公開、診療実績・機能等の広報活動を積極的に進めた。

   ・ 高難度新規医療技術及び未承認新規医薬品等を用いた医療については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、病院倫理委員

    会での審議を経て適正に提供した。

   ・ 医療法施行規則改正に伴い、令和2年4月から診療用放射線に係る安全管理のため医療放射線安全管理責任者を置き、診療

    用放射線の安全利用及び診療を受ける者の被ばく線量管理等を行った。

   ・ 抗菌薬の使用状況の把握と適正な使用推進を目的として、抗菌薬適正使用支援チームを設置した。

   ③ 学生教育、初期臨床研修の実施等

   ・ 教育病院として学生の臨床実習を効果的に行うよう努めるとともに、新型コロナウイルス感染症対策に配慮して実習を実施

    した。

   ・ 臨床研修医の確保に努めるとともに、基幹型臨床研修病院として、地域医療機関と協力し、優秀な臨床研修医の育成を図っ

    た。

   ・ 産業医学修練医及び他大学からの専修医を積極的に受け入れた。

   ・ 高度な医療に対応するため、専門看護師・認定看護師の増加に努めた。

   ・ 新専門医制度3年目にあたり、着実に円滑な研修の実施及び定員に対するシーリングへの対応等を行った。 

  •  経営基盤の確立

   ・ 人員体制及び放射線部門システム等の整備によるDPC機能評価係数Ⅰの向上について、人件費等との収支バランスを考慮

    しつつ検討を進めた。

   ・ 大学病院と若松病院において、相互の機能等についての協力、補完を行い、運営・経営の改善に努めた。

   ・ 臨床研究推進センターについては、学内の臨床研究及び治験の推進、支援体制等の充実を図った。

   ・ 令和2年1月から導入した「医療費あと払いサービス」の活用を促し、更なる会計待ち時間の短縮及び患者満足度の向上を

    図った。

   ・ 厚生労働省が推奨するオンライン資格確認の導入に向けての準備を行った。

  (2) 若松病院

   ① 急性期医療及び在宅療養支援の推進

   ・ 若松区唯一の総合的な病院として、医師会及び近隣の医療機関等と緊密に連携し、患者紹介・逆紹介の促進を図った。

   ・ 所轄の消防署と情報交換を行い、救急車を積極的に受入れるなど、地域と密着した断らない医療を目指し、地域の中核的病

    院として、急性期医療を推進した。

   ・ 病棟医長と病棟看護師長との連携を強化し、入院時期や退院時期並びに一般病床と地域包括ケア病床間の転棟・転室等、早

    期調整を行うことで効率的な病床運用を図った。

   ・ コロナ禍において、在宅療養支援を推進するため、訪問看護事業については事業の実施地域及び対象患者の拡大に努めた。

   ・ 老朽化した医療機器を計画的に更新し、急性期病院としての機能強化を図った。

    令和2年度の実績は、以下のとおりとなった。

    【令和2年度診療実績】〔括弧内は令和元年度実績〕

    平均在院日数             12.6 日      〔14.4日〕

    1日平均入院患者数         100.9 人    〔122.8人〕

    1日平均外来患者数         303.3 人     〔355.7人〕

    新入院患者数            2,700 人    〔2,911人〕

    病床稼働率              67.3 %     〔81.9%〕

    手術件数                    1,401 件   〔1,377件〕

    紹介率                     49.9 %    〔45.8%〕

    逆紹介率                    34.9 %    〔32.7%〕

 

   ② 安全かつ質の高い医療の提供等

   ・ 急性期病床と地域包括ケア病床において、安全で質の高い医療を提供し、患者サービスの向上を図った。

   ・ 医療法施行規則改正に伴い、令和2年4月から診療用放射線に係る安全管理のため医療放射線安全管理責任者を置き、診療

    用放射線の安全利用及び診療を受ける者の被ばく線量管理等を行った。

   ③ 学生教育の実施

     新型コロナウイルス感染拡大により、医学部の臨床実習及び産業保健学部看護学科の臨地実習は未実施となった。

   ④ 経営基盤の確立

   ・ 福岡県地域医療構想及び診療報酬改定等を踏まえ、地域からの要請に応えることのできる病床機能のあり方について検討を

    進めた。また、新型コロナウイルス感染拡大により、北九州市からの要請を受けて、地域の医療提供体制に協力した。

   ・ 地域のニーズに合った診療科への常勤医の配置等、診療体制を検討し、外来及び入院診療の円滑な運営を図り、外来患者の

    増加並びに病床稼働率の向上に努めたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、減少した。

   ・ 「若松病院の運営・経営改善プロジェクト 」を新たに設置し、大学病院との連携強化等の方策の検討を開始した。

   ・ 新型コロナウイルス感染拡大による影響の中、公開講座を一部実施した。

    更に、若松区内の医療機関及び自治会へ定期的に病院案内等を送付するなどの広報活動を行い、若松病院の認知度の向上に努  

    めた。また、患者サービスの向上及び外来患者の確保対策の一環として、若松病院周辺のルートでシャトルバスを運行した。

   ・ 大学病院と連携し、院内の経営改善プロジェクトを引き続き活用し、増収のための諸施策を着実に実施するとともに、経費

    の節減を図り、収益の改善に努めたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、減益となった。また、契約課と連携し、   

    経費削減を図るため業務委託費の見直し等、支出の削減に努めた。

 

 5 社会貢献

   ・ 国からの要請を受け、新型コロナウイルス感染症管理システム(Her-sys)による発生状況に係る情報の整理分析や感染拡

    大防止策の助言等のため、北九州市保健所に医師を派遣した。

   ・ 北九州市PCR検査センターに、医師・看護師を派遣するとともに、北九州市保健所への支援等として、社会福祉施設及び

    介護施設に医師派遣を行った。

   ・ 北九州市を含む産官学連携事業として、市内の飲食店及びブライダル事業者等へ新型コロナウイルス感染対策を実施した。

   ・ 福岡県医師会からの要請を受け、新型コロナウイルス感染軽症者が療養するホテルに医師を派遣した。

   ・ 東日本大震災・福島原発事故に関連した作業を行う労働者の健康支援活動を引き続き実施した。

   ・ 医学をテーマにした市民公開講座を継続して行った。特に、若松病院においては、地元自治体と連携し、地域住民に対する

    情報発信を推進した。

   ・ 介護事業の健全な運営を継続するために、利用者の確保に努め、良質なサービスの提供を図り、地域への貢献を行った。

 

6 業務運営

 (1) 新型コロナウイルス感染症対応

    新型コロナウイルス感染症に適切に対応するため、対策本部等の体制整備を行い、国及び福岡県からの要請を受けて、本学の

   取組や周知を迅速に行った。

 (2) 産業医大未来構想2040の策定

    20年後の本学の到達点として、本学のあるべき姿、目指すべき姿を示し、本学のより良い未来を創造するための指標となる

   「産業医大未来構想2040」(長期ビジョン)を策定した。

 (3) 第3次中期目標・中期計画の遂行及び第4次中期目標の策定着手

    第3次中期目標・中期計画(平成28年度~令和3年度)については、4年目の進捗状況を確認し、第4次中期目標・中期計

   画の策定に着手した。

 (4) 私立学校法等の改正に伴う対応

   ・ 令和2年4月から施行される新たな寄附行為に則り、情報公開等に対応し、確実に施行した。

   ・ 寄附行為変更に伴い、非業務執行理事及び監事と責任限定契約を締結した。

   ・ 理事会の決議に基づき、役員賠償責任保険の加入を更新した。

 (5) 北九州市との包括連携協力協定の締結

     新型コロナウイルス感染症が拡大する中、相互に緊密に連携することにより、双方の資源を有効に活用した協働による活動

   を推進し、医療体制の強化や地域課題の解決について、一層の連携協力を図るため、包括連携協力協定を締結した。

  (6) 組織・人事及び財務・経営管理

   ・ 令和2年4月から、IR推進センター及び医学部に両立支援科学講座を設置し、体制を整備した。

   ・ 大学の教育研究活動等の適切かつ効果的な運営を図るため、当該活動に関係する教職員の能力及び資質を向上させるための

    スタッフ・ディベロップメント(SD)を実施した。

   ・ 今後増加する再雇用者が行う業務を整理し、適切な役割、配置について検討・実施した。

   ・ 情報管理センターにおいて、教育研究支援、情報発信に必要なICT基盤の充実を図った。

   ・ 経営状況の把握と分析による経営管理を行い、現状を認識するとともに、原因把握や具体的な改善を行った。

    また、急性期診療棟の建設計画を睨んだ資金計画及び大学運営全般に係る財政計画の策定と予算管理を継続して行った。

   ・ 老朽化が著しく今後も入居者が見込めない教職員住宅の一部を売却した。

 (7) 自己収入及び外部資金の確保

   ・ 新型コロナウイルス感染症に関する寄付の受入れを開始した。

   ・ 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、手術待ちの患者を支援するため、クラウドファンディング事業を行い、目標額

    を達成した。

   ・ 大学運営基金及びその他の運用資金について、安全性を重視しながら最大限の利回りを確保する運用を行い、自己資金の確

    保を図った。また、一層の安全性を確保するため、運用体制を強化した。

   ・ 科学研究費助成事業等各種研究資金の募集情報の周知、応募のための支援及び適正な執行の確保等に努めた。

   ・ 産学連携活動の推進による外部研究資金の一層の獲得を図り、産業医学に関する研究活動の振興並びに知的財産の更なる創

    生及び戦略的・効果的活用に努めた。

  (8) 魅力ある職場づくり

   ・ 提案制度を再構築し、「小さな気づきを歓迎する」提案募集を実施し、業務の省力化を図るため、効率化、収益増、経費削

    減、本学の活性化を促進し、大学運営等の改善に取り組んだ。

   ・ 職員の新型コロナウイルス感染症リスクを軽減するとともに、デジタル化を推進することを目的として、テレワーク(在宅

    勤務)を試行的に導入した。

   ・ 魅力ある職場づくりのために、職員の健康面に配慮し、時間外勤務の削減に努めた。

   ・ 国の「医師の働き方改革」に適切に対応するため、学内において労働時間短縮計画等を検討する組織体制を構築した。

    また、働き方改革に対応した有期雇用職員等の公正な待遇の確保について、円滑に実施した。

   ・ 年次有給休暇を計画的に取得させる制度を的確に運用することにより、健全で働きやすい職場環境づくりに努めた。

   ・ 男女共同参画推進センターにおいて、引き続き男女共同参画の推進に係る諸施策の着実な実現に努めた。

   ・ 北九州市営バスの大学構内への乗入れの大幅な増便及び西鉄バスの大学構内への乗入れを開始し、本学へのアクセス向上を

    図った。

 (9) 情報発信の推進

   ・ 本学の教育・研究・診療の状況や成果に関し、引き続き積極的に情報公開・発信を行い、本学の社会的責任を果たすととも

    に、認知度の向上を図った。

   ・ 産業医学・産業保健に係る情報を充実させ、本学が蓄積した知見や成果を社会が求める情報として更に発信した。

   ・ 新たにYouTube「産業医大オフィシャルチャンネル」を開設し、新型コロナ禍における情報発信のツールとして活用を開

    始した。

   ・ 全面リニューアルした大学ホームページを活用し、引き続き効果的な情報発信を行った。

 (10) 評価の充実及び活用

   ・ 公益財団法人大学基準協会による大学機関別認証評価については、自己点検・評価報告書等の評価資料に基づく書面評価及

    び実地調査を受審し、適合の評価を得て、その結果を公表した。

   ・ 令和4年度の一般社団法人日本医学教育評価機構(JACME)による医学教育分野別評価の受審に向けて、医学教育改革

    推進センターを中心に対策を進めた。

 (11) 施設整備

   ・ 大学病院本館の耐震化について、令和3年度の完了を目指し、工事に着手した。

   ・ 急性期診療棟の建設工事に先立ち造成工事を完了し、車庫棟を事務局本部別館として名称変更し、大学3号館前に移築し

    た。

   ・ 急性期診療棟の建設について、急性期医療の充実とともに、産業医養成に係る臨床教育機能を備える診療棟として、建設工

    事の業者を選定した。

   ・ 老朽化した基幹設備について、更新計画に基づき、省エネルギー機器の導入や非常用発電所の更新工事を進めるなど、効率

    的な設備の整備を実施した。

 (12) コンプライアンスの徹底

    職員のコンプライアンス意識の定着を図り、法令及び学内規則等を遵守するとともに、高い倫理観と良識をもって行動するた

   め、遵守への取組を行った。

   ・ 学内規則、ガイドライン等の遵守及び情報セキュリティ対策(講習会の実施・運用マニュアル等の充実)により、引き続き 

    個人情報の適正な取扱い及び情報の盗難、漏えい等の防止に努めた。

   ・ 科学的根拠に基づく安全かつ質の高い医療を提供し、適切なインフォームドコンセントを実施した。

   ・ 研究活動及び研究費使用に係る不正防止について、コンプライアンス教育による教職員の意識向上を図るなど、組織的な取

    組を推進した。また、令和3年2月改正の「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づ

    き、不正防止対策を強化した。



 

[令和3年6月16日更新:総務課]