職業性腫瘍学 研究活動

 

 

Ø 酸化ストレスと健康

産業医学分野では、化学物質による健康影響がテーマの一つとなっている。発がん物質の多くは、生体内での活性酸素生成を介して酸化的にDNAを損傷することがわかってきた。さらに、環境化学物質による外因性活性酸素に加えて、ライフスタイル等により生じる内因性活性酸素が、がんや生活習慣病に密接に関わるとされる。8-OHdG(8-ヒドロキシデオキシグアノシン)は、多くの発がん物質等により発生する活性酸素・フリーラジカルが、核酸塩基と反応して生じる。産業医学分野で、化学物質による健康影響を評価する際、有効なバイオマーカーの存在が欠かせない中、8-OHdGは、酸化ストレス評価のもっとも優れたバイオマーカーの一つと考えられる。実際に8-OHdGは、疫学研究の指標として用いられる事が多い。当研究室では、産業化学物質の発がんリスク評価、健康維持のためのライフスタイルや健康食品の開発、検索などを目的に、尿中8-OHdGなどの分析を行っている。最近では、尿に比べてサンプリングしやすい唾液中の酸化ストレスマーカーの検討を行っている。

 

Ø DNA付加体

発がん性物質の多くは、DNA塩基に付加体を形成することで、突然変異を介して細胞をがん化させる。DNA付加体を検索することは、未知物質の発がん性スクリーニングとして有用である。DNA付加体の多くは、代謝により尿などに排泄されることから、尿中のDNA付加体を調べることは、化学物質等のリスク評価に繋がる。

 

Ø 職業関連疾患の罹患リスクと易罹患性遺伝子の関係

労働者の健康維持や疾患の予防を目的とした適切な遺伝情報活用に向けて、職業疾病に関わる易罹患性遺伝子と罹患リスクの関係を検討している。

 

主な研究テーマ

 ・酸素ラジカルによる発がん機構

 ・DNA損傷の分析による化学物質のリスク評価

 ・環境中の変異・発がん物質の分析

 ・抗酸化物質の検索と評価

 ・環境化学物質によるエピジェネティクス異常と発がん

 ・労働者の疾患予防に向けた遺伝情報の活用


                                                                                【文責:職業性腫瘍学、更新日:2020年6月30日】


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