より負担の少ない手術へ
手術支援ロボット「ダヴィンチ Xi」始動。

手術支援ロボット ダヴィンチ

da Vinci Xi SURGICAL SYSTEM
ダヴィンチは、低侵襲技術を用いて複雑な手術を可能とするために開発されました。
高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像の下、人間の手の動きを正確に再現する装置です。
術者は鮮明な画像を見ながら、人の手首よりはるかに大きく曲がって回転する手首を備えた器具(鉗子)を使用し、
精緻な手術を行うことができます。
ダヴィンチは、以下の3つの機器によって構成されています。
操作
「サージョンコンソール」とよばれる操縦席に座り、3D画像を見ながら手元のコントローラーを操作します。
動く
「ペイシェントカート」の4本のロボットアームに操作の動きが伝わります。
見える
「ビジョンカート」のモニターに手術中の画像が映し出され、手術スタッフに同じ画像が共有されます。

ロボット支援手術の特長

FEATURES
特徴1




身体への負担が少ない
数カ所の小さな切開部から手術を行うため、傷が小さく出血も抑えられ、手術後の回復が早く、患者さんの負担が軽減されます。
特徴2




鮮明な3D(3次元)画像
術者が手術中に見るコンソールモニターには高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像が映し出されます。このことにより、より繊細な構造を確認することが可能となります。
特徴3




精密な動きを再現
医師がロボットアームに装着されている鉗子やメスを操作します。
ダヴィンチの鉗子は複数の関節構造を持ち、人間の手より大きな可動域を有し、さらに術者の手ぶれを補正する機能を備えています。

メッセージ

MESSAGE
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消化器・内分泌外科

産業医科大学病院 副院長、消化器・内分泌外科診療科長
産業医科大学 医学部 第1外科学講座 教授

平田 敬冶

手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた胃がん・直腸がん手術が2018年4月から保険適応になりました。当院では最新機種であるダヴィンチXiが導入されており、十分なトレーニングを積んだ内視鏡技術認定医が手術の執刀にあたります。

 

「ダヴィンチ」による胃がん・直腸がん手術は、従来行われてきた腹腔鏡手術が持つ“傷が小さく、低侵襲である”というメリットはそのままに、手ブレや動作制限といった腹腔鏡手術の課題をロボット支援により解消できる最新の手術方法です。術者はサージョンコンソール(操縦席)に座り、3Dハイビジョンシステムによる鮮明な画像を見ながら、多関節機能と手ブレ防止機能を備えたロボットの“手”をコントローラーによって操作します。「ダヴィンチ」によって、より正確かつ繊細な鉗子操作とより安全で合併症の少ない手術を実現できる可能性があります。


手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた胃がん・直腸がん手術に関して、詳細な説明のご希望などがあれば、一度外来受診をお願いいたします。また、胃がん・直腸がんに限らず、そのほかの消化器疾患や肝胆膵疾患、甲状腺・乳腺疾患に関しても、最新の治療を行なっております。今後も当科では北九州市近郊にお住みのみなさんに安心して先進的な医療を受けていただけるよう、万全の体制で望んで参ります。

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呼吸器・胸部外科

産業医科大学病院 病院長、呼吸器・胸部外科診療科長
産業医科大学 医学部 第2外科学講座 教授

田中 文啓

手術用ロボット(ダヴィンチ)を使った手術は、2012年に前立腺がんの手術に対して最初に保険が適応されましたが、2018年4月より呼吸器外科領域の手術(肺がんに対する手術、胸腺腫などの縦隔腫瘍に対する手術)にも保険適応が拡大されました。当院では手術用ロボットの最新鋭機であるダヴィンチXiを導入し、十分な準備の元に手術を開始しました。

 

ロボット手術では、胸に開けた小さな穴からロボットのアームを体内に入れて手術を行います。ロボットのアームの先には様々な手術器具を装着して様々な手術操作を行いますが、あくまでも外科医(術者)がロボットを動かして手術をするため、正確には“ロボット支援手術”と呼びます。術者はコンソールと呼ばれる操縦席に座って、モニターに映し出される三次元画像を見ながらロボットをコントロールします。ロボット支援手術は、1)小さな穴から手術を行うために身体への負担が少ないこと、2)高画質な三次元画像を見ながら手術操作をするため、より繊細な手術が可能になる、3)”手ぶれ“等の無い正確で複雑な操作が可能になる、等の特徴があり、患者さんにとって大きなメリットがあると考えられます。

 

ただし、現時点ではロボット支援手術は必ずしもすべての患者さんに適しているわけではありません。従来の方法、つまり小さな穴からカメラを挿入して術者の手で手術を行う“胸腔鏡手術”や胸を大きく開いて行う“開胸手術”の方が安全かつ正確に手術ができる患者さんもたくさんおられます。当科では、患者さんの希望を十分に聞きながら、患者さんの病気の種類や進行具合などを総合的に判断し、最善の手術法を提案しています。ロボット支援手術に限らず、呼吸器外科領域の治療に関してお聞きになりたいことがあれば気軽に外来を受診ください。相談のみのセカンドオピニオンも歓迎です。または当教室(産業医科大学第2外科)のHP(http://www.kitakyusyu-gan.jp/ または、“北九州”“肺がん”で検索)も御覧ください。

 

ロボット手術について、YOUTUBEでご覧ください。

藤本 直浩
泌尿器科

産業医科大学病院 副院長、泌尿器科診療科長

産業医科大学 医学部 泌尿器科学講座 教授

産業医科大学若松病院 病院長

藤本 直浩

平成30年1月より、手術支援ロボットの最新機種であるダヴィンチXiを用いて前立腺がんに対するロボット支援手術を開始しました。この手術支援ロボットにより、前立腺がんの手術は大きく進歩し、患者さんにとって大きなメリットをもたらしています。



前立腺がんは、今や日本人男性のなかで最も患者さんが多いがんとなりました。前立腺がんは比較的早い段階で見つかることが多く、早い時期に見つければ、治療せずに定期検査のみを行う監視療法、手術療法、放射線療法、薬による治療(ホルモン療法)の中から最も患者さんに適した治療を選んで行います。なかでも中心となるのが手術で、がんが存在する前立腺を取ってしまうことにより、多くの患者さんでがんを治すことができます。私たちも、たくさんの前立腺がん患者さんに手術を行ってきました。以前は開腹手術を行っておりましたが、前立腺の手術は出血が多く、多くの患者さんで輸血が必要でした。その後、腹腔鏡手術の発達により、おなかに5つの小さな穴をあけて、そこから入れた長い器具を使って前立腺を取りだす腹腔鏡手術も多く行ってきました。これにより輸血を必要とすることはほとんどなく、小さな傷でできるため、患者さんの回復も早くなりました。しかし、腹腔鏡手術はやや高度な技術を必要とし、手術の正確性も十分ではありませんでした。



ダヴィンチによるロボット支援手術は、腹腔鏡手術と同様におなかにあけた小さな穴から手術器具を挿入して手術を行いますが、術者の手の動きをロボットが正確に手術器具に伝え、手振れを防ぎ、人間の手以上に細やかに動いて手術ができます。また立体感のある鮮明な3D画像で手術するところを拡大して見ることができるため、詳細な解剖が見え、非常に正確な手術ができるようになりました。これにより、がんを完全に取りきる確率が高くなり、出血が少ないことはもちろん、前立腺の手術で問題となる尿漏れや性機能障害などの合併症を減らすことができるようになりました。このようにダヴィンチにより、理想的な安全、確実な手術に近づきつつあります。日本では2012年より健康保険で前立腺に対するロボット支援手術を受けることができるようになりました。前立腺がんと診断された方は、是非一度、産業医科大学病院泌尿器科へおいで下さい。

産婦人科

産業医科大学病院 産婦人科診療科長
産業医科大学 医学部 産科婦人科学講座 教授

吉野 潔

婦人科領域では2018年4月に子宮良性腫瘍(子宮筋腫など)と子宮悪性腫瘍(初期子宮体がん)に対して、さらに2020年4月に骨盤臓器脱(腹腔鏡下仙骨腟固定術)に対するロボット支援下手術が保険収載されました。当院産婦人科でも2019年6月から子宮良性腫瘍と初期子宮体がんに対してロボット支援下手術(ダ・ヴィンチ手術)を導入しています。鏡視下手術(腹腔鏡下手術・ロボット支援下手術)は従来の開腹術に比較して手術創(傷)が小さく美容的に優れているのみならず、術後の疼痛が緩和され、出血量が少なく、在院日数も短い傾向にあります。

 

手術は全身麻酔下に行い、良性腫瘍手術時間が3~4時間(麻酔時間を含めると4~5時間)、悪性腫瘍手術時間が約5時間(麻酔時間を含めると6~7時間)です。入院期間はおよそ術後3~5日です。手術方法としては、腹部5ヶ所に8mmの創(傷)をおきトロカーを挿入し、ダ・ヴィンチシステムのドッキングを行います。トロカーからカメラおよび鉗子を入れ、術者がサージョンコンソールと呼ばれる装置(ロボットを操作する機械)にて3次元画像で確認しながら繊細な操作で手術を行います。

 

ロボット支援下手術は鮮明かつ10倍に拡大された3D画像、人の手以上に器用な動きが可能なロボットアームを用いることにより、従来の手術である腹腔鏡下手術や開腹による良性・悪性腫瘍摘出術よりも精度の高い手術が可能です。欠点としては①手術時間が長くなる②気腹による合併症がある③術野を確保するために頭を低くするために(頭低位)、術後に肩痛などが発症することがあるなどがあげられます。

 

手術費用は腹腔鏡下手術料金と同額です(子宮筋腫:腹腔鏡下腟式子宮全摘術 約42万円 子宮体がん:腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 約70万円)。自己負担額はこの3割で別に入院費などがかかります。ロボット支援下手術をご希望の方は毎週火曜日・木曜日が婦人科初診受付日となっております。また、当教室(産業医科大学産科婦人科学)のHP(https://uoeh-sanfujin.com)内の「病気と手術の説明」もご参照ください。

メリット

MERIT
従来の手術と比べ、以下の点が優れていると言われています。
術後疼痛の軽減
小さな傷口
出血の制御
入院期間の短縮
機能温存
合併症のリスク軽減

よくある質問

FAQ
ダヴィンチ手術の適用は、どのような疾患がありますか?
保険適用の対象となる術式は、前立腺がんに対する前立腺全摘出術及び腎臓がんに対する腎部分切除術があります。
当院では、現在、前立腺がんに対する前立腺全摘出術を対象としていますが、腎臓がんに対する腎部分切除術についても取り組んでいく予定です。
また、2018年4月から保険適用となる消化器外科、胸部外科、婦人科などの領域についても、対象の拡大を予定しております。
ロボット手術は危険ではないのですか?
ダヴィンチ手術は、認定資格を取得し、トレーニングを積んだ医師によって行われます。医師をサポートするのがロボットの役割で、ダヴィンチ自身が勝手に動作することはありません。医師がロボットを活用し、より精緻に行う手術とお考えください。
また、ダヴィンチは今日までに世界中で約300万件(2016年1月現在)のさまざまな外科手術で使用されています。
高額な費用がかかりますか?
前立腺がんにおいては、2012年4月より健康保険が適用となりました。 また高額療養費制度も適用されます。
手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いた前立腺がん手術費用の概算
70歳未満の方
区分 通常の健康保険 高額療養費制度利用時
(年収約1,160万円~) 約525,000円 約270,000円
(年収約770万~1,160万円) 約180,000円
(年収約370万~770万円) 約105,000円
(~年収370万円) 約70,000円
(住民税非課税) 約45,000円
70歳以上の方
区分 窓口負担額
現役並み所得 (自己負担割合3割の方) 約105,000円
一般 (①、③以外の方) 約70,000円
住民税非課税等 住民税非課税 約40,000円

住民税非課税 約30,000円

上記は、健康保険適用した場合の患者さんの窓口負担額の例です。
モデルケースとして、月をまたがない14日間入院としています。費用には、入院中の医療費(検査、手術、投薬等)及び食事代は含まれますが、患者さんが希望された有料個室料金や診断書料金等は含まれません。

また、入院期間がふた月にまたがった場合は、この限りではありませんので、詳しくは来院時等にお尋ねください。

お問い合わせ

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