医局員コラム

近況報告:長田周也

 

20134月から宇部興産株式会社で産業医として勤務しております長田周也と申します。さて、この度、産業医として勤務している近況を書くようにという依頼を頂いておりますが、最初に述べさせて頂いた通り、まだ、産業医として勤務を始めて1年にもならない程度の経験しかございません。十分に自らの職務を理解しているとは言い難いところがあるとは思っておりますが、臨床の仕事と産業医の仕事の双方を経験して考えてきたことを書いてみようと思っております。

現在私が勤務している宇部興産株式会社は、化学工業メーカーで山口県宇部市に主軸の生産工場を持っております。私は宇部地区の工場の担当で主に化学部門を受け持っております。担当している対象の労働者の数は3000人程度で、一人の産業医でみるには、やや多めの人数という印象です。職場には有害化学物質なども多くあり、産業医経験のない私にとって比較的本格的な産業医職場と言えるのではないかと考えております。
 これまで、全く耳にしたことがないような化学物質についての健康影響について答えを求められることもあります。臨床のようにその瞬間に答えを出さないといけない場面はあまりないのですが、非常に多くの人達に関係するような意思決定を強いられ、より慎重で後々のことまで考えを尽くした結論を求められる為、臨床医の頃とは、一味違う重圧を感じております。
産業医になる前は「産業医になるということはいわゆる会社員となるということであり、やはり会社組織の一員としての考え方、行動ということに気を使わなければならないだろう」と考えていました。しかし、実際、産業医となって会社に勤めるようになると、その立場は特殊であり、当社の場合には産業医は会社から求められてというよりは、自らを律してその業務を会社に認めてもらうという過程が重要でした。
 つまり、思っていたよりはずっと自由に行動できるのですが、むしろ自分でルールを考えてやっていかなければ結局会社内で認められることはないというイメージです。担当の役員から話された言葉で印象に残っていることは、「会社は医師として産業医を雇っているつもりです。一般の会社員にはない視点で教えて欲しい」という言葉です。会社としては特別な待遇を与えているのだから相応の答えを出して下さい、という厳しくも期待されている言葉と受け取りました。

これまで臨床で培ってきた経験を、現在の職務の中で十分に出し切れてはいないと感じております。臨床の経験を活かし、産業医としてしっかりと働いていくためには、臨床の力も常に更新していくことが重要と考えております。これからも、同門会の皆様には、臨床分野、産業保健分野によらず御面倒をおかけすることになると思っておりますが、今後ともご指導ご鞭撻のほどを、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 








文責:呼吸器内科学
更新日:2014年9月24日