今でも覚えておりますが、私が大学院に進学することを真剣に考え出したのは2010年7月でした。大学病院の病棟でカルテを書いていた時に、背後から迎教授よりおもむろに「小田君、半年製鉄病院で勤めた後、大学院とかいってみらんね。」と言われたのがきっかけでした。忙しくしている病棟医を励ます際などに、時に冗談を言われることのある教授でしたが、その時だけはいつもと様子が違うように思えました。まだまだ臨床がしたいですと答えれば、臨床中心の生活が続いていたと思いますが、ちょうどその当時、難治性の間質性肺炎の治療に難渋することも多かった時期で、間質性肺炎の病態も一から研究してみたいと思っていた時期でもありましたし、先輩の先生方は、臨床は当然のことながら、研究も熱心に取り組む先生方ばかりで、臨床だけでなく研究もできる医師の仲間入りがしたいと思っていた時期でもありました。数日は悩んだと思いますが、大学院に進学することで、医師として+αな経験ができるという、わくわくするような感情が芽生え、大学院進学を決意しました。
当初は研究漬けの日々になるかと思っておりましたが、迎教授にご配慮頂き、医師としての臨床経験を大事にとの勧めもあり、臨床もさせていただいております。後輩の先生たちの協力もあり、少なめではありますが、実際に患者さんと接する機会も多く臨床医としての経験も積みながら、病棟・研究室とを行き来しながら過ごし、また、当科をまわる研修医の先生の教育にも携わりながら、忙しいながらもこれまで臨床だけであった生活とは違い、様々な経験ができています。
さて、研究の方ですが、迎教授、石本先生が長崎大学で研究されていた内容の一部を引き継がせていただき、現在は抗菌薬の新たな作用の検討を行うため、細胞培養や刺激実験などを行っています。思い返せば、学生時代に実習などでわずかに実験をしたことがあるような・・・といった記憶しかない私ですが、スタッフの先生方に親切に実験のイロハを教えていただき、少しずつ実験の成果も得られているところです。特に石本先生には、覚えの悪い私に何度も丁寧に指導して頂き、実験結果をまとめてはディスカッションを行うなど、日頃より大変お世話になっております。当院ではEBUS-TBNAやBF-NAVIなど最新の検査機器も揃えており、間質性肺炎の急性増悪に対するPMXの導入件数なども多く、最新の検査・治療に携わることができる数少ない施設でもありますし、スタッフも他施設より多く、臨床+研究を行う上ではもってこいの環境だと思います。
このような環境に感謝しつつ、今後はなるべく臨床に還元できるような研究を積み重ね、いわゆる難治性といわれるような呼吸器疾患の病態把握に挑んでいきたいと思っております。
大学院生と研究員です。
文責:呼吸器内科
更新日:2011年12月21日