医局員コラム

近況報告:清水真喜子 
       医療法人社団こうかん会 水江診療所京浜保健センター
       (JFEスチール京浜地区専属産業医)

 

20104月より神奈川県横浜市〜川崎市にあるJFEスチールで産業医をしております卒後9年目の清水真喜子です。初めの「ご安全に!」は製造業でよく使用される挨拶で、当社では「おはよう」「こんにちは」「さよなら」、「もしもし」等、全て「ご安全に!」(Vサイン)です。元はドイツ鉱山での挨拶「ご無事で」が起源ですが、日本の製造業での安全意識の高さを象徴した挨拶ではないかと思います。郷に入っては郷に従え、ということで鉄鋼業の産業医生活はまずこの挨拶が自然に言えるようになることから始まりました。

 JFEスチールは京浜工業地帯に位置する創業100年近い歴史のある大型製鉄所であり、敷地内にある製造拠点の扇島人工島は東京ドーム約117個分もの広さがあります(よく迷子になります)。最近は工場見学や工場夜景等でも注目を集めており、巨大かつ複雑で重量感あふれる建造物とその圧倒的な存在感には私自身も職場巡視のたびにワクワクさせられます。

私の常駐先はJFEスチールの敷地内にある、会社から独立した医療機関「水江診療所 京浜保健センター」であり、JFEスチールの専属産業医だけでなく、その協力企業の嘱託産業医も担当しています。一般的な産業医業務に加え、構内企業の一般健診及び特殊健診業務(年間延べ20000名)、内科及び整形外科の一般診療業務、構内での急病・外傷患者に対する救急対応、学生実習の受け入れ、社外での講義等幅広く業務を請け負っています。

 担当している企業の業務は製鉄以外にも、それを支える整備メンテ・建築・物流・燃料リサイクル・エネルギー事業、敷地内の環境を守るセキュリティ・緑地化業務・清掃業・食品宅配等と多岐にわたり、ありとあらゆる有害業務が揃っていることからその管理・指導に関して幅広い労働衛生の知識を勉強することができます。職場巡視では広大な敷地をまわる上に、高所や暑熱作業場などの危険箇所への出入りもあることから相応の体力が必要であり、入職2年でフルマラソンが完走できる程度にまで体が鍛えられました(当社の安全衛生部門の社員は皆信じられないくらいに体力があり、新入りはやせていきます)。また、健康相談や復職判定では内科系に限らず外科・精神科系等の相談も多く、日々新しい知識の補充と整理に追われながら過ごしております。特に昨年の東日本大震災の直後はメンタル系の相談や原発の修繕に派遣される社員への放射線関連の相談など、特殊な状況での業務を経験することとなりました。

 勤務医から産業医になったことで生活は一変しましたが、幸いにも入職のタイミングでこれまでの経験を生かせる仕事が多く発生し(禁煙外来立ち上げ・分煙対策、結核発生時の対応、海外派遣者への予防接種業務の立ち上げ、じん肺教育等)、呼吸器科育ちの産業医としてのやりがいも感じることができています。今年は産業医として3年目をむかえ、任される業務が徐々に増えていきそうですが、臨床医としての感性も忘れず仕事の幅を広げていければ、と考えています。






           





文責:呼吸器内科
更新日:2012年5月23日