医局員コラム

義務年限を終えて考えること:櫻井康雅(牧山中央病院) 
                  

 

 

2012年の3月が終わると同時に義務年限が終了します。長いようで短い期間であったと考えます。ここまでで医師としての「基本」を学んできたような気がします。

 医師であれば誰にでも影響をうけた先生方がおられると思います。これまでの間、あらゆる診療の場面でその先生方を思い起こしながら、「あの先生ならこういう風に話すだろう」とか「きっとこういう診療をするのだろう」とか、それはもう幾重にも人格を変えるかのごとくいろいろな先生になりすましながら、また、時には自問自答という形ではあるにせよ、頭の中でそれらの先生方に相談しながら、なんとか診療をしてきたように思います。

 ある血液内科の医師が言いました。「研修医の頃は最後まであきらめてはいけません。治療の限界を判断するのは上級医になってからで十分です」。患者に治療の限界を伝えるときいつも頭に浮かびます。「もうその資格があるでしょうか」と。

 ある救急の医師が言いました。「患者を自分が治してやってるなんて思うのは医師のおごりでしかありません。患者は自ら治るのです。医師はその手伝いをしているに過ぎませんよ。」その言葉は、「医師は、病気ではなく病気を持った人間を相手にしている」ことを忘れさせません。

 ある消化器内科の医師が言いました。「そこに正座しろ。データは必ずその日に確認しなさい。」11年たったいまでも忘れません。血清クレアチニンが1.2 mg/dlから1.5 mg/dlに上昇したときデータを見なかった後の言葉です。検査を入れ忘れるよりは入れた検査を把握しないことの方が悪であると気付きました。

 大学病院で研修してくれた研修医の先生方が、研修医みたいなひよっこの医師を指導医と呼び、後ろから付いて来てくれて、一緒に勉強できたおかげで、まあまあ普通の医師にまでさせてくれたように思います。

 まだまだいろいろな医師がいて私をここまで導いてくださいました。しかし、ここまででまだ成し得ていないことがあります。それは、人真似ではなく自分自身の診療スタイルを築き上げることです。義務年限が終了し大きな節目を迎えるにあたり、その目標を達成するためには更なる研鑽を積みながら、学問的にも人間的にももっと成長する必要があると考えるところです。

 4月から牧山中央病院に就職致します。新たな気持ちで頑張っていこうと考えています。






           





文責:呼吸器内科
更新日:2012年5月29日