2012年6月より本格的に研究生活を開始しております。
研究者の先輩である川波先生、山ア先生、野口先生を中心に網羅的細菌叢解析法による肺炎の起炎菌検索の研究を当院医学部微生物学教室と共同で研究を行っておりますが、その検査法を通じて実験手技を基礎から応用まで学ばせていただきました。
ちなみに、網羅的細菌叢解析法は、細菌のみが保有している16S ribosomal RNA遺伝子を利用した検査ですので、通称16Sと呼んでおります。肺炎の起炎菌検索において通常の培養法では起炎菌が不明であることが少なからずありましたが、本法を用いることによりいままで原因菌不明であった症例の起炎菌検出に大きな力となっております。
特に嫌気性菌は培養法では検出が困難でしたが、16Sを行うことで肺炎の発症に嫌気性菌が大きく関与していることを当科で解明できております。
最先端の医療なだけにDNA抽出、PCR、クローニングといった基礎から応用までの手技になりますが、なんとか取得することができております。実験工程の中で特に大腸菌に遺伝子を組み込み培地に培養させるのが難しく、大腸菌が生えてくれるよう祈る日々を過ごしておりましたが、現在では、力強く生えてきてくれております。
今では私が身に付けた手技を研究助手の藤田さんに受け継いでもらっています。8月に山アさん11月には松山さんが加入され、早くも手技を身に付けていただいており、技術は伝統芸能のように受け継がれております。16Sは野口先生のもと全員体制で行っており、より一層の効率化をはかることができております。肺炎の16S症例数を増やすべく日々精進してまいります。
さて、私の研究についてですが、テーマは、「気管支喘息におけるNOおよび各NOSアイソフォームの役割の解明」と「誤嚥性肺炎の診断基準の作成と新たな治療法」です。
前者の研究は、本学薬理学教室と琉球大学薬理学教室共同で研究を行わせていただいております。NOS阻害薬や iNOS、eNOS、nNOS シングルノックアウトやi/e、i/n、e/nNOS ダブルノックアウトマウスでのデータはありますが、n/i/eNOSトリプルノックアウトマウスを用いた喘息の研究は今までになく未開拓の分野です。
まだ、発表をしておりませんので詳細な内容は記載できませんが、たくさんのエビデンスを作るべく努力している次第です。誤嚥性肺炎についても同様です。
1年が経ち、少しづつではありますが、面白いデータがでてきており、また研究テーマも増やしていく予定です。
迎教授をはじめ、医局員の先生方の指導、秘書さんや研究助手さんのサポートのもと、私も少しずつではありますが確実に前進しているかと思います。
折尾から世界へ向け、たくさんのエビデンスを発信するべく努力していく所存です。今後ともご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。
文責:呼吸器内科学
更新日:2013年7月5日