モーニング・ミーティング
since 2010 April

  • The FDA and Safe Use of Long-Acting Beta-Agonists in the Treatment of Asthma N Engl J Med 362;13 April 1, 2010 

    日時:平成22年4月2日
    発表者:矢寺和博
    主な内容;気管支喘息の吸入治療薬についてのreview。LABA (long acting beta agonist)の長期吸入は、SABA (short-acting beta agonist)と同様に死亡や喘息増悪のリスクをむしろ上昇させる可能性が指摘されており、その機序としては気道過敏性の亢進効果喘息症状をマスクすることによる負の効果が仮説として考えられている。このため、LABAの長期使用はFDA (Food and Drug Administration)では推奨されないことが2010.2.18に公表にされ、ステロイド吸入などのmaintenance療法との併用処方しか許可しないようにすることや、ICSにLABAを追加した場合の難治性喘息への上乗せ効果の検証、また、ICS (inhaled corticosteroid)+LABA合剤の使用は推奨されるが、本来の気道炎症への治療を考えるとICS単独でのコントロールが望ましいが、LABAのリスク評価も含めて大規模臨床試験が必要なこと、などの内容となっている。


  • 呼吸器内科に必要な禁煙治療の基礎知識 

    日時:平成22年4月9日
    発表者:吉井千春


  • 肺のMALTリンパ腫について

    日時:平成22年4月13日
    発表者:城戸貴志

    肺のMALTリンパ腫について3本の文献を用いて概説した。

    Bronchial-associated lymphoid tissue lymphoma: a clinical
    study of a rare disease
    European Journal of Cancer, Volume 40, Issue 9, Pages
    1320-1326,2004
     肺のMALTリンパ腫は比較的稀な疾患であり、大規模臨床試験を組むのが難しいのが現状であるが、筆者らは22例の症例について臨床的検討をレトロスペクティブに行っている。
    男女比率は50%ずつ、平均年齢61歳、41%は無症状、画像所見において孤立性病変は41%であった。治療効果は外科的切除6例ですべてCR、リツキシマブを併用した化学療法群12例中2例はCRで、9例はPRと非常に良好であった。また、平均観察期間は3年で、死亡率は0%と非常に良好な予後であった。

    Two cases with pulmonary mucosa-Associated lymphoid
    tissue lymphoma successfully treated with clarithromycin
    . CHEST 2010;137:1-4
    2例の肺MALTリンパ腫に対して、マクロライド少量長期投与が有効であったという最初の報告である(当科の迎教授らの報告)。1例目は、副鼻腔気管支症候群に肺MALTリンパ腫を合併し、放射線と化学療法の併用を行われるも反応が乏しかった症例。副鼻腔気管支症候群にマクロライド少量長期投与を行ったところ、肺MALTリンパ腫に劇的な縮小効果がみられた。2例目はシェーグレン症候群にLIPを合併し、経過観察中に肺MALTリンパ腫が出現。間質性肺炎のため、放射線化学療法は行われていない。ヘリコバクター・ピロリ菌陽性のため、マクロライドを含めた化学療法で除菌を試みて失敗するも、肺MALTリンパ腫には縮小効果がみられた。再度の除菌とともに、マクロライド少量長期投与を継続したところ、肺MALTリンパ腫はほぼ消失した。肺MALTリンパ腫は、低悪性度の比較的予後良好な疾患であり、化学療法などは行わずに経過観察するのも選択肢の一つであるが、体力的に負担の小さいマクロライド少量長期投与は、試してみる価値があると思われる。

    上記2点の他、2008年に改定されたリンパ腫の新WHO分類(WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues) より、MALTリンパ腫の項目について概説を行った。


  • 肺小細胞癌に対するPSKの臨床効果一無作為化比較試験一 

    日時;平成22年4月16日
    発表者;櫻井康雅
    主な内容;小細胞肺癌に対するvincristine+cyclophosphamide+mitomycin-c(VEM療法)におけるPSK併用の有効性を検討する目的で無作為化比較試験を行なった.PSK群46例,対照群47例で,それぞれの有効率は45%,46%で有意差はなく、効果持続期はPSK群がすぐれていた.生存期間は両群で有意差はないが、層別すると有効例,予後因子良好例でPSK群の生存期間延長傾向がみられたという報告があり、表グラフを用いて説明した。


  • 新型インフルエンザ(パンデミックH1N12009)の現況. 

    日時:平成22年4月27日
    発表者:生越貴明
    主な内容;influenza A (H1N1)pdmの今年4月までの疫学的の状況、諸外国での対応及び死亡率。及び日本での2011年度の感染予測。H5の現状を説明。


  • Clinical Features and Outcome of Patients With Non?Small-Cell Lung Cancer Who Harbor EML4-ALK.Journal of Clinical Oncology, No 26 , 2009: pp. 4247-4253 
    (EML4-ALKを有する非小細胞肺癌の臨床的特性と転帰)

    日時:平成22年4月30日
    発表者:徳山晋
    目的:EML4-ALK融合癌遺伝子は非小細胞肺癌の一部の患者群で新規分子標的になるとみられている。本研究では、これらの患者の診断と治療に役立てるために、EML4-ALKの有無別に非小細胞肺癌患者の臨床的特性と転帰を評価した。

    患者および方法:女性、アジア人、非・軽度喫煙者、腺癌の4特性のうち2つ以上を満たす非小細胞肺癌患者を遺伝子スクリーニングの対象とした。EML4-ALKは蛍光in situハイブリダイゼーション法を用いたALK遺伝子再構成に基づいて特定し、免疫組織化学法によるALK蛋白発現で確証した。DNAシークエンシングによりEGFRおよびKRAS変異を判定した

    結果:スクリーニングした141の腫瘍中19(13%)はEML4-ALK変異型、31(22%)はEGFR変異型、91(65%)はALKとEGFRともに野生型(WT/WT)であった。EML4-ALK変異型患者はEGFR変異型およびWT/WTコホートと比較して有意に若年であり(それぞれp<0.001、p=0.005)、男性の割合が高かった(それぞれp=0.036、p=0.039)。EML4-ALK変異型患者はEGFR変異型患者と同様に、WT/WTコホートと比較して非・軽度喫煙者の割合が高かった(p<0.001)。19のEML4-ALK変異型腫瘍中18は腺癌であり、またEML4-ALK変異型腫瘍には印環細胞サブタイプが多かった。

    結論:EML4-ALKは、固有の臨床的特性を有する非小細胞肺癌の分子的サブセットである。この変異を有する患者はEGFR TKIが有効ではないため、ALKを標的とした治療薬の試験の対象となると思われる。


  • 非小細胞肺癌に対するパクリタキセル+カルボプラチンのみの投与とベバシズマブとの併用投与の比較

    日時:平成22年5月11日
    発表者:原 可奈子
    主な内容:Paclitaxel-Carboplatin Alone or with Bevacizumab for Non-small-Cell Lung Cancer:The New England journal of medicine 355:2542-2550, 2006を用いて説明した。


  • 脂肪塞栓の肺病変

    日時:平成22年5月14日
    発表者:神ア未奈子
    主な内容:脂肪塞栓による呼吸不全症例を経験したため、FES(Fat embolism syndrome)について、Journal of Emergencies, Trauma, and Shock 2009 ;2(1):29-33を参照にreviewした。  FESとは循環する脂肪塞栓あるいは泡沫細胞が多臓器に機能障害をきたすまれな病態。発生頻度は1%以下〜29%と報告によってばらつきがある。大腿骨、骨盤、脛骨の骨折、髄内釘術後や膝関節形成術後に多く、若年、閉鎖骨折、多発性骨折、長幹骨骨折の保存的治療などがrisk factorとなる。発生機序として@mechanical theray、Abiochemical theoryがある。FESの3徴は呼吸障害、脳機能障害、皮膚の点状出血。外傷後24〜72時間後に症状出現する。尿、血液、喀痰、BALF細胞診にて遊離、あるいはマクロファージにどん食された脂肪滴を検出することが診断のために有用。重症胸部Xp、CT上初期や比較的軽症の場合は所見がないこともあるが、重症の場合は発症24〜48時間以内にびまん性両側性肺浸潤影、GGO、粒状影、右心拡大がみられる。また頭部MRIにてDWIあるいはT2強調画像で両側大脳白質や皮質下白質,脳梁などにhigh intensity を認める。治療は酸素投与、volume管理、人工呼吸管理などの対症療法が中心。
    高流量酸素にて酸素化を改善。薬物療法は確立していないが、ステロイド、ヘパリン、アルコール、デキストランなどが効果があるといわれている。死亡率は5〜15%。重症の呼吸不全をきたしても救命率が比較的高い疾患である。


  • ニューモシスチス肺炎の予防基準の有用性に関する検討

    日時:平成22年5月18日
    発表者:小田 桂士
    主な内容:Jpn.clim.immunol32(4)256〜262.2009及び厚生労働省研究班のST合剤の予防投与基準などを用いて、ステロイド内服中のST合剤の開始タイミング及び中止タイミングなどを討論した。


  • 慢性咳嗽について

    日時:平成22年5月21日
    発表者:山家千与
    主な内容:呼吸器外来では咳嗽を主訴に多くの患者が受診するため、呼吸器内科医として咳嗽に関する知識は必須である。咳嗽はまずレントゲン検査を行い異常のないことを確認する。また問診や聴診で喘息患者を除外することが初期診療として重要である。遷延性咳嗽では感染後咳嗽や咳喘息が多くをしめる。感染後咳嗽では百日咳の占める割合が意外と多いことが分かっている。咳喘息は吸入ステロイドの維持療法を行うことで気管支喘息の発症を予防できる可能性があり、咳喘息を診断することには意義がある。その他、慢性咳嗽では気管支副鼻腔症候群や胃逆流症やアトピー咳嗽が多くを占める。
    これらの疾患に関して診断に必要な検査や病態などを含めスライドを用いて概説した。


  • Prostaglandin F2α receptor signaling facilitates bleomycin-induced pulmonary fibrosis independently of transforming growth factor-β

    日時:平成22年5月25日
    発表者:矢寺和博
    主な内容:Nature MED , vol. 15, no12, pp. 1426-1430,2009
    PGF2α-FPシグナル伝達経路がTGF-β非依存的に肺線維症を促進することを明らかにしたもので、このシグナル経路は今後IPFの治療標的になりうる可能性がある


  • Smoker faceについて

    日時:平成22年5月28日
    発表者:吉井千春
    主な内容:喫煙と皮膚の関係についてスライドを用いて説明した。


  • 留学紀in カナダ

    日時:平成22年6月1日
    発表者:矢寺和博
    主な内容:ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)留学時代の研究、生活を写真を用いて説明した。


  • Using non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) following pleurodesis.

    日時:平成22年6月4日
    発表者:長田周也
    主な内容:Interact CardioVasc Thorac Surg 2007;6:102-104.
    NSAIDsの使用が胸膜癒着術の効果に影響するのか、文献を検索し検討した。人体でのデータはなく、動物実験でのデータであるが、3件が評価に値すると考えられた。3件のデータからは、NSAIDsの使用は胸膜癒着術の効果を減弱させることが考えられた。


  • 二次性BOOPとCOPにおける、臨床的、画像的な相違について

    日時:平成22年8月6日
    発表者:西田 千夏
    主な内容

    背景:BOOPでは、肺障害の反応のパターンの相違がある。特発性と二次性とでは、障害に相違点がある。この研究において、二次性BOOPとCOPにおける、臨床的、画像的な相違について述べる。

    方法:10年間に、外科的肺生検(29例)、経気管支肺生検(4例)にてBOOPと診断された33症例の記録を、臨床症状、画像所見、病因、転帰を含めて、後ろ向きに解析した。

    結果:乾性咳嗽、発熱の後に続く呼吸困難が、もっとも多い症状であった。身体所見では、胸部聴診での呼吸音の副雑音(crackels)が最も多かった。平均年齢は59歳、42%は女性であった。画像所見は、両側の斑状の浸潤影が最も多かった。ほとんどの症例で予後は良好であったが、17%の症例は治療抵抗性であった。
    COPでは、女性が多く、また、有症状期間・診断までの期間が長かった。
    症状では、二次性BOOPの方が、発熱が多かった。
    胸水は二次性BOOPの60%に見られた。(COPではゼロであった。)

    結論:二次性BOOPとCOPとでは、臨床的、画像的な相違があった。二次性BOOPの方が症状を呈しやすかった。COPでも二次性BOOPでも予後は良く、コルチコステロイドや被疑薬の中止によって軽快した。

    (参考)COP 18例 二次性と考えられる病因がない患者はCOPと診断された。
    二次性BOOP 15例 
     3例 肺癌放射線治療
     7例 化学療法
     2例 SLE
     1例 潰瘍性大腸炎 1例 アミオダロン 1例 コカイン乱用


  • Oligometastatic Tumorsについて

    日時:平成22年8月10日
    発表者:山家 千与

    主な内容
    :主な内容:Oligometastatic tumorによる脳転移などは、以前は病期として末期と考えられてきたが、根治治療を行うことで予後に期待が持てるという報告なされている。
    定位放射線療法が治療に積極的に用いられるようになってきて、論文でも報告がなされている。今回4つの論文をまとめ発表した。
    @K.robert Shen, et al. Special Treatment Issues in Lung Cancer: ACCP Evidence-Baced Clinical Practice Guidelines(2nd Edition). Chest 2007; 132; 2908-3058
    ATetsuya Inoue, et al. Clinical Outcomes of Stereotactic Brain and/or Body Radiotherapy for Patients with Oligometastatic Lesions. Jpn J Clin Oncal 2010; 40(8)788-794
    BYoshiki Norihisa, et al. Stereotactic Body Radiotherapy for Oligometastatic lung tumors. Int. J. radiation Oncology Biol. Phys., Vol. 72, No.2, pp. 398-403, 2008
    CMasahiro Hiraoka, et al. Stereotactic Body Radiation Therapy for Lung Cancer: Achievements and Perspectives. Jpn J Clin Oncal 2010

    Oligometastatatic tumorsは、すなはち”A small number of metastases limited an organ.”であり、1995年にHellmanらにより提唱されたが、未だ確固たる定義はない。最近では、1〜5個の範囲で、部位は肺・副腎・脳としていることが多いようである。
    @ではW期のNSCLCのうち、単発脳転移のみの症例に関する治療法について、原発病変および転移性脳病変の両方に対する、外科的切除や定位放射線照射などの積極的治療により根治できる可能性があると述べている。治療転帰のまとめとして、OSは14%(range,8~21%)。完全切除できた患者の5生率は、21%(16~30%)。手術死亡率も非常に低く2%程度。ただし約2/3は異時性再発であった。外科的切除と放射線療法(SCRT/SCRS)
    に関して生存率・局所制御率・罹患率・死亡率の間に有意差はなかった。適応に関しては、組織型で治療成績に有意差はなかった。脳転移の数は3個以下がよいとされるが、完全切除できるかが重要であった。またN2N3症例は除外するべきとしていた。予後良好因子としては、若年・女性・異時的再発・テント上病変・直径3cm未満としていた。後者2つは完全切除できる可能性が高いからである。Aではoligometastatic tumorsの定位放射線療法の治療成績を述べている。5個以下のoligometastatic tumorsがあり、定位放射線療法を当施設で施行された計41名に関してのデータである。診断はCT・MRI・必要な症例はPETを用いて行っている。結果であるが、平均追跡期間は20か月(1-111か月)で、局所制御率は3年後と5年後どちらも80%、遠隔制御率は3年後と5年後どちらも35%であった。3年後のOSとPFSはそれぞれ39%と20%。5年後のOSは28%、PFSは20%であり、MST(平均生存期間)は24か月であった。副腎転移症例のMSTは15カ月であった。年齢・原発巣の組織型・オリゴ転移の数はOSに対する予後予測因子となりえなかった。
    女性のOSは男性より有意に長かった。また原発巣を切除している患者のOSもそうでない患者に比べ有意に長かった。Oligometastatic tumorsの発生部位として肺は多かった。予後良好因子を解析するために、単変量解析を行っているが、予後の良いとされる原発癌(乳癌・大腸癌・腎癌・胸腺癌・アポクリン腺癌)からの3年生存率と5年生存率は両方とも86%。その他の原発部位からの原発癌の3年生存率が27%、5年生存率が17%である。また再発期間(原発を治療して、oligometastatic tumorsが見つかってその治療する期間)
    が12カ月未満であった群と12か月以上であった群に分けると、12カ月未満の群の3年生存率は19%、5年生存率は10%であったのに対し、12カ月以上の群では3年生存率が53%、5年生存率が40%であり有意に予後がよかった。また脳転移において異時性転移のほうが同時性転移より予後がよいとされているが、本文献では同時性脳転移に関して述べられていた。手術的放射線照射治療をされたNSCLCのうち同時性単発脳転移を発症した症例の長期予後についてレトロスペクティブに検討していた。結果のみ述べるが、MSTは18か月で1年生存率は71.3%、2年生存率は34.1%、5年生存率は21%であった。そのうち胸部の根治的治療をなされた症例の5年生存率は34.6%であったが、治療がなされていないと0%であり、原発病変である肺癌の治療が重要と考えられた。
    Bでは、oligometastatic tumorsの肺病変における2年後の局所制御率・OSに関してまとめているが、局所制御率は52~93%で、OSは33%〜84%であった。この文献の集計の一つに用いられていたCの文献で定位放射線照射の毒性に関して紹介した。多くの副作用はほぼgrade1までのものであった。肺へ副作用として咳嗽・血痰・呼吸困難・胸水・胸部異常陰影が認められたが、grade1が23人/34人(68%)で、Grade3は治療後18カ月目に細菌性肺炎を発症し酸素投与を有したものであった。


  • Thirdhand smokeについて

    日時:平成22年8月13日
    発表者:吉井 千春

    Winickoff JP, Friebely J, Tanski SE, Sherrod C, Matt GE, Hovell MF, McMillen RC. Beliefs about the health effects of “Thirdhand” smoke and home smoking bans. Pediatrics 2009; 123: e74-e79

    Thirdhand smokeという用語を初めて提唱した論文を紹介した。

    Abstract
    目的:タバコ煙曝露に安全なレベルは存在しない。Thirdhand smoke(三次喫煙、残留受動喫煙)は、タバコの火を消した後でも残る残留タバコ煙の汚染である。子供たちが特にthirdhand smokeの影響を受けやすい。この研究の目的は、子供へのthirdhand smoke曝露に関する大人の健康についての考え方、およびそれが喫煙者と非喫煙者で異なるかどうかを検討することである。われわれはthirdhand smokeについての考え方が家庭内完全禁煙と関係するという仮説を立てた。
    方法:データは2005年9月から11月に、無作為による国内電話番号調査により収集した。サンプルは、アメリカの国勢調査データを基に、国勢調査地域内で人種・性別による偏りがないようにした。この調査では、人々が昨日タバコを吸った部屋の空気を、今日呼吸することが子供の健康に有害であるという意見に賛同する程度を評価した。
    結果:2000人の対象者に連絡をとり、1510人(87%)の調査を終え、1478名(97.9%)が全ての質問に回答して解析可能であった。そのうち喫煙者は273名(18.9%)であった。全体として、非喫煙者の95.4%と喫煙者の84.1%が、受動喫煙は子供の健康に有害であることに同意した。そして非喫煙者の65.2%と喫煙者の43.3%が、thirdhand smokeが子供に有害と答えた。88.4%対26.7%で、非喫煙者では家庭内での厳しい禁煙ルールがより広く行き渡っていた。変数を調整した多変量ロジスティック解析では、thirdhand smokeが子供の健康に有害であるという考え方が家庭内禁煙に関連していた。受動喫煙が子供の健康に有害であるという考え方は、家庭内や車内での禁煙ルールには、単独では関連していなかった。
    結論:この研究はthirdhand smokeの健康への影響に関する考え方が、単独で家庭内禁煙に関連している事を示した。Thirdhand smokeが子供の健康を害することを強調することは、家庭内禁煙を勧める重要な要素になるかも知れない。


  • CTでの右心機能評価について

    日時:平成22年8月17日
    発表者:生越 貴明

    Detection of pulmonary hypertension with multidetector CT and echocardiography alone and in combination

    DevarajA et al.Radiology2010;254:609-616
    PHは右心カテーテル検査における安静時平均肺動脈圧(mPAP)25mmHg以上と定義されるが,PH合併を早期に発見・診断するためには,繰り返しできる非侵襲的なスクリーニングが必要である。
    目的:胸部CTでどのパラメータがPHを正確に反映するか,CTに心エコーを組み合わせることによってPHの評価はより正確になるかを検討した。
    方法:対象は,胸部multidetector CTと右心カテーテル検査を受けた77名。原疾患はIPH,IPF,sarcoidosis,NSIPなどであり,全例が右心カテーテルでPHと診断され、カテーテル検査と近い時期に胸壁心エコーで右室収縮期圧が測定されている。
    結果:CTで測定されたパラメータの中では,主肺動脈径/上行大動脈径比,主肺動脈面積/上行大動脈径比が、PAPと相関を認めた(R^2 0.45)。心エコー所見ではRVSPと、PAPの間に相関を認めた(R^2 0.44)。多変量解析では主肺動脈径とRVSPは独立した因子であった。次に,CTと心エコーを組み合わせたbest-fit equationを算出し,CTまたは心エコー単独よりも、PAPに対してより強い相関を認めた(R^2 0.55,)。
    考察:心エコーと胸部CTを組み合わせた評価法はどちらか単独よりもPH予測に有用であると考えられた。
    その後、この論文の測定法(主肺動脈径/上行大動脈径比)を用いて、当院当科の症例を検討し実際この方法がすぐに臨床で使えるかを検証してみた。


  • 極めて強力な多剤耐性をもつ腸内細菌科がインド、南アジアから英国に伝搬。

    日時:平成22年8月20日
    発表者:川波敏則
    主な内容:Kumarasamy et al. Emergence of a new antibiotic resistance mechanism in India, Pakistan, and the UK: a molecular, biological, and, epidemiological study. Lancet Infect Dis 2010 Aug 10 [Epub ahead of print]

    背景:New Delhi metallo-?-lactamase 1 (NDM-1)によるカルバペネム耐性のグラム陰性腸内細菌科はこれからの世界的な医療問題に発展しうるだろう。そこで、筆者らは、インド・パキスタン・英国において多剤耐性の腸内細菌科のうち、NDM-1遺伝子の保有率を調査した。

    方法:南インドのChennai、北インドのHaryanaにある2つの基幹病院から分離された腸内細菌科と2003年から2009年に分離され、英国リファレンス研究所(national reference laboratory)に薬剤耐性の評価を求められた菌株を対象に、PCRを行ってNDM-1遺伝子(blaNDM-1)の保有の有無を調べ、抗菌薬感受性を評価した。分離菌株間の遺伝的相同性はパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)により分析した。接合伝達能力は、in vitroで大腸菌株J53を用いて確認した。英国の症例については、インドまたはパキスタンへの渡航歴や現地での最近の入院歴について調査した。

    所見:Chennaiで44株、Haryanaで22株、英国から37株、その他から73株のNDM-1遺伝子陽性株が検出された。NDM-1はE. coli(36株)、Klebsiella pneumoniae(111株)に検出され、tigecyclineとcolistin以外のすべての抗菌薬に高度耐性を示していた。Haryanaから分離されたK. pneumoniae株がすべて同一クローンであることが示された。一方、英国とChennaiの分離株は複数のクローンからなっていた。ほとんどの株においてNDM-1遺伝子はプラスミド上にあった。英国、Chennaiの株ではプラスミドの接合伝達が容易に起きたが、Haryanaの株では接合はみられなかった。英国のNDM-1遺伝子陽性株保有者の多くは、1年以内にインドやパキスタンへの旅行歴があるか、それらの国々に関わりを持っていた。
    解釈:NDM-1遺伝子が世界的な医療問題を引き起こす可能性が高く、今後、国際サーベイランスが必要である。

    参考:ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性細菌がインド、パキスタンから欧州に広がっていることがわかった。安価な医療などを求めて世界を旅する「メディカルツーリズム」が拡大を助けたとみられる。英国、インド、パキスタンなどの国際チームが論文を発表したが、インドからは反発も出ている。


  • MPO-ANCA陽性肺病変

    日時:平成22年8月24日 
    発表者:神崎 未奈子

    MPO-ANCA陽性例における肺病変について、特にMPO-ANCA陽性間質性肺炎、薬剤誘起性ANCA関連血管炎を中心にまとめた。
    MPO-ANCA陽性例における肺病変の存在は各種報告をまとめると、50〜67 %。そのうち間質性肺炎は40〜60 %、肺胞出血は24〜40 %、間質性肺炎+肺胞出血は15 %、喘息は7 %である。MPO-ANCA値と肺病変とは相関関係はないと言われている。
    IPFと診断された間質性肺炎のうち、約9%においてMPO-ANCA陽性と報告され、MPO-ANCA陽性間質性肺炎と言われている。MPAの一病変あるいは肺限局型MPAとしてとらえる立場と、間質性肺炎経過中にMPO-ANCAが産生されて血管炎に進展すると考える立場がある。間質性肺炎の活動性はKL-6やSPDに相関し、MPO-ANCAには相関しない。またANAやRFがIPFと比べ検出されることが多い。しかし画像所見ではIPFとの鑑別は難しい。組織学的所見ではMPO陰性IPFと比べ、リンパろ胞や細胞浸潤が目立つ。治療開始の時期が重要となり、MPAを発症してない段階でもステロイド治療を考慮する必要がある。治療難治例では免疫抑制剤の併用も考慮する。予後は5年生存率が50%程度とIPFと同様である。
     薬剤誘起性ANCA関連血管炎はPTU 等抗甲状腺薬(PTUの報告がほとんど)、Hydralazine 等降圧薬、Minocycline等抗菌薬、D-penicillamine 等抗リウマチ薬、Fludarabine 等抗腫瘍薬、Allopurinol 等高尿酸血症治療薬で起こされる。薬剤誘起性ANCA関連血管炎では肺胞出血を呈することが多いが、結節影を呈した報告もあり、どんな画像であっても、薬剤誘起性ANCA関連血管炎の可能性は考慮すべきである。また発症時期も報告によってさまざま(数か月から10年程度)であり、数年内服されている患者でも注意が必要である。
     Endocrine Journal 2010, 57(1), 73-79 に、PTU内服患者におけるMPO-ANCA値および臨床経過のフォローアップについてまとめられていた。要点をまとめる。

    @通常の血管炎とは異なり、PTUで引き起こされるMPO-ANCA陽性バセドー病患者のほとんどが無症状である。
    A抗甲状腺薬で引き起こされる血管炎でみられる症状はじんましん様の皮膚症状や関節痛、筋肉痛である。MPO-ANCAレベルが高いほど症状が重篤との報告もあれば、ANCA値と症状とは関連がないとの報告もある。
    BPTU治療中止後、PTUによって誘導されたMPO-ANCAは減少することがわかった。C初回のMPO-ANCAが高いなら、PTU治療中止後も長期間にわたってANCA陽性が持続するが、ANCAは治療を中止した患者における血管炎への進展とは必ずしも関係なかった。
    D初回のMPO-ANCAが低い患者ではPTU中止後数年以内に陰性化した。またもともと抗体価が低い患者ではPTU治療を継続していても、陰性化がみられた。
    EPTU内服患者において、内服中止後も血管炎の症状に注意して経過観察すべき


  • びまん性汎細気管支炎にたいするエリスロマイシン少量長期投与の臨床効果に関する研究。
    日時:平成22年9月7日
    発表者:矢寺 和博

    工藤翔二、他、学会報告1985
    工藤翔二、他、日本胸部疾患雑誌1987
    びまん性汎細気管支炎にたいするエリスロマイシン少量長期投与の臨床効果に関する研究。4年間の治療成績
    一人の患者さんの詳細な検討から、エリスロマイシン長期投与がDPBに有効な可能性を見いだし、その後18例のDPB患者に対し、エリスロマイシン600mg/dayの投与を開始し4年 間継続した。特に菌の交代のなく改善した。本邦はDPBの第一選択治療として試みられるべきと結語している。


  • 抗悪性腫瘍剤使用時の悪心・嘔吐の評価について

    日時:平成22年9月10日
    発表者:徳山晋

  • 1. FLIE問診表を用いた抗悪性腫瘍剤使用時の悪心・嘔吐の評価について
    先日行われた「CINV Forum in 北九州」での発表内容についてパワーポイントを用いて説明した。
  • 2.Palomnosetron plus 3-day aprepitant and dexamethasone to prevent nausea and vomiting in patients receiving highly emetogenic chemotherapy
    【主な内容】高度催吐性癌化学療法を受ける患者を対象としてアプレピタントとパロノセトロン、デキサメタゾンの併用試験の文献について概説した。高度催吐性癌化学療法を実施する患者において、パロノセトロン、デキサメタゾン、アプレピタントの3剤併用療法による有孔性および安全性を評価する目的。対象はシスプラチン(≧50mg/m2)を含む癌化学療法を受ける患者222例。投与方法は、アプレピタント:抗悪性腫瘍剤投与1時間前に125mgを傾向投与。2.3日目は80mgを午前中に傾向投与。パロノセトロン:抗悪性腫瘍剤の投与1時間前にデキサメタゾン0.25mgを静脈内投与。デキサメタゾン:抗悪性腫瘍剤投与1時間前に20mgを静脈内投与。2.3日目は4mgを傾向あるいは筋肉内投与。結果はCR(嘔吐なし、かつ救済治療なし)が、急性期97.7%、遅発期72.5%、全期間70.3%、嘔吐なしが97.7%、95.0%、92.8%であった。アプレピタント+5-HT3受容体拮抗剤+デキサメタゾンを使用している他の試験と比較して、有意な悪心なし・嘔吐なしにて有効な結果であった


  • Normalization of Bone Markers Is Associated With Improved Survival in Patients With Bone Metastases From Solid Tumors and Elavated Bone Resorption Resorption Receiving Zoledronic Acid

    日時:平成22年9月10日
    発表者:長田周也

     主な内容:転移性骨腫瘍の患者において、尿中NTXが高値であることは、骨関連のイベントや死亡のリスクが上がることが知られている。乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌とその他  の固形癌の症例で骨転移がある症例に対し、3ヶ月、ゾレドロン酸あるいはプラセボを投与し、NTXの推移と骨関連のイベント、死亡リスクについて解析した。非小細胞肺癌とその他の固形癌の登録は204症例であり、治療介入前にNTXが高値であった症例は87例であった。NTXの推移について、ゾレドロン酸を投与した群では投与前正常域であった例の94%が正常域を保っていた。プラセボ投与群では、76.1%が正常域を保っていた。投与前にNTXが高値であった例では、ゾレドロン酸投与群で80.5%が正常化しており、プラセボ投与群では、17.1%が正常化した。NTX高値であった症例が、正常化した場合、有意に生存率が上昇していた。また、骨関連イベントについても有意に減少していた。また、NTXの減少率と、死亡リスクの減少には相関関係が認められた。骨転移がある固形癌で、NTXが高値の症例に対し、ゾレドロン酸を投与することは、骨関連イベントを減少させ、さらに死亡リスクも減少させることが示唆された。


  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪に対する感受性
    日時:平成22年9月26日
    発表者:西田 千夏背景:COPDにおいて、増悪は鍵となるイベントであることが知られているが、その頻度、や決定因子、影響についてはあまり知られていない。大規模コホート研究において、疾患の重症度とは独立している、頻繁に増悪する表現型があるのではないかという仮説を検証してみた。
    方法:ECLIPSE研究に登録された2138名のCOPD患者における急性増悪の頻度と関連性を解析した。増悪とは、抗生剤やコルチコステロイドを必要とする場合や入院を必要とする場合のいずれかもしくは両方と定義し、増悪頻度を3年に渡り、観察した。
    結果:増悪頻度は、COPDの重症度が上がるにつれて、増加した。
    最初1年間における増悪の割合は、2期⇒0.85/person、3期⇒1.34/person、4期⇒2.00/person
    2期で22%、3期で33%、4期で47%の患者が増悪を経験している。増悪の最も鋭敏な予測因子は、過去の増悪の経験の有無であった。頻繁に増悪をする表現型は、観察期間の3年間では比較的落ち着いており、患者が以前の治療歴を有するという事実に基づき、予測することができた。より重症度が高いということと、過去の増悪歴に加え、頻繁に増悪する表現型は、胃食道逆流や胸焼けの既往、QOLの低下、白血球数の上昇と独立して関連していた。

    結論:増悪は、COPDが進行していればいるほど、回数も重症度も増すが、その発生率は、独立した感受性の表現型を反映していると思われる。このことは、疾患の重症度を問わず、増悪予防のストラテジーのターゲットになる可能性がある。


  • マクロライド療法
    日時:平成22年10月1日
    発表者:山家千与

    マクロライド療法に関して、これまでの臨床試験の結果を含め概説した。
    マクロライド療法の臨床試験から、マクロライド療法により肺機能の改善や喀痰・咳嗽症状の改善によるADLの改善や緑膿菌をはじめとした細菌検出率の低下など様々な効果が示されてきた。具体的なマクロライド療法の作用として@抗炎症作用A気道内分泌抑制作用B細菌機能のモジュレーションが言われている。
    @抗炎症作用:もとともとマクロライド長期療法の発端となったのはDPBの気道炎症である。実際にDPB患者のBAL液は、細胞数や好中球比率が約50〜80%程度と健常人に比べ著明に高値を示す。これはDPBの気道炎症は過剰な好中球によって引き起こされていることが示唆している。マクロライド内服後にはBALFの細胞数や好中球比率やIL-8などが減少している。
    A気道分泌物抑制作用:気道分泌液はムチンを主成分とする粘液と水分で構成されている。DPBでは特にムチンのひとつであるMUC5ACが過剰に分泌されているが、マクロライドはこのMUC5ACの産生を抑制する。その他、Clイオンチャネルの働きを抑制し、水分泌を抑制しているという報告もあった。
    B細菌機能のモジュレーション:細菌はクオラムセンシング機構を用いて、菌同士でシグナル伝達を行い、存在環境においての濃度を感知しながら、病原因子の発現を調整しているといわれている。マクロライドはこのクオラムセンシング機構に作用し細菌の機能を抑制する。具体的には緑膿菌のバイオフィルムの菲薄化や緑膿菌菌数の減少などである。



  • IPFに対するPDE5阻害薬の有効性の検討
  • 日時:平成22年10月5日
    発表者:生越 貴明 
    David A. et al.A Controlled Trial of Sildenafil in Advanced Idiopathic Pulmonary Fibrosis;N Engl J Med 2010;363:620-8.

    背 景 ホスホジエステラーゼ 5 阻害薬であるシルデナフィルはシルデナフィル投与により進行性特発性肺線維症患者の歩行距離,呼吸困難,QOL が改善されるという仮説を検証 した。進行性特発性肺線維症の定義は,一酸化炭素拡散能が予測値の 35%未満を範囲とした。
  • 方 法 シルデナフィルの二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施した.第 1 期は 12 週間の二重盲検試験であった。主要転帰は 6 分間歩行距離が 20%以上延長した患者の 割合とした.主要副次的転帰は,動脈血酸素化,呼吸困難の程度,QOL の変化などとした.第 2 期は 12 週間の非盲検試験で,全例にシルデナフィルを投与し,評価を行った.
    結 果 180 例を試験に登録した.主要転帰に有意な差は認められなかった。動脈血酸素化,一酸化炭素拡散能,呼吸困難の程度,QOL は有意な差が認められ,シルデナフィル 群のほうが良好な結果であった。死亡率、急性増悪をした割合は同程度であった。?  
    結 論 この試験では,主要転帰に関してシルデナフィルの有益性は示されなかった。
    上記論文をもとに、2次性の肺高血圧症に対する現時点でのPGI2、ET拮抗薬、PDE阻害薬に対してのエビデンス、当科での慢性間質性肺炎における肺高血圧症を合併して いる症例の割合を調べ報告した。


  • 吸入ステロイド治療は、肺炎で入院したCOPD患者の死亡率の低下に関与している

    日時:平成22年10月8日
    発表者:川波 敏則
    Malo de Molina et al. Inhaled corticosteroid use is associated with lower mortality for subjects with COPD and hospitalized with pneumonia. Eur Respir J 2010; 36: 751-757
    主な内容:
     最近の研究では、COPD患者に吸入ステロイドを使用することによって肺炎の罹患率が高くなることが示唆されている。しかしながら、吸入ステロイドを使用しているCOPD患者が肺炎を合併した場合、アウトカム(転帰)が悪くなるのか否かは明確となっていない。そこで筆者らは、入院を要する肺炎を合併したCOPD患者において、先行する外来での吸入ステロイド療法が肺炎死亡率に関連しているかどうかを評価した。アメリカ在郷軍人病院に肺炎で入院した64歳以上の患者を対象とし、入院前の吸入ステロイド使用と死亡率との関連を、Covariate-adjusted regression modelを用いて評価した。肺炎と診断されたCOPD患者6353名がエントリーされ、そのうち38%が吸入ステロイドを使用していた。死亡率は30日後で9%、90日間で16%であった。回帰解析では、30日後(OR 0.76)、90日後(OR 0.80)ともに、吸入ステロイド使用群の死亡率が低かった。吸入ステロイドの外来治療は、肺炎合併で入院したCOPD患者において、30日後、90日後の死亡率を有意に低下させた。
    上記論文を紹介した。


  • 声門下持続吸引(Subglottic Secretion Drainage ; SSD)の、VAPの予防効果

    日時:平成22年10月15日
    発表者:矢寺和博 

    Intermittent Subglottic Secretion Drainage and Ventilator-associated Pneumonia. A Multicenter Trial Am J Respir Crit Care Med 182; 910?917, 2010

    背景:人工呼吸器関連肺炎(Ventilator-associated Pneumonia; VAP)は、死亡率が高い。について、ランダム化比較試験を4つのフランスの施設で実施し、333人の患者を登録、無作為にSSD 169人(Hi-Lo Evac endotracheal tube)、非SSD 164人に割り付けた。プライマリアウトカムはVAP疑い患者における微生物学的に確認されたVAPの発症率、他のアウトカムとしては、早期(<5日)あるいは後期(>5日)VAP発症率、人工呼吸器の装着期間、死亡率とした。微生物学的にVAPと診断されたのは67人で、SSD 169人中25人(14.8%)、非SSD 164人中42人(25.6%)と有意差(P=0.02)がみられた。SSDにより相対リスクは42.2%減少し、100のVAP発症のうち、11を抑制する計算となった。SSDは早期のみならず、後期VAPも有意に抑制した(P=0.02、P=0.01)。人工呼吸器装着期間や死亡率については有意差は認めなかった。


  • 在宅酸素療法保険適用25年と・・・    

    日時:平成22年10月15日
    発表者:吉井千春)
     
    * スライドによる発表

     日本では急速に高齢化が進んでいるが、それに伴い在宅医療の重要性も増している。在宅酸素療法(HOT)は1985年に保険適用となったが、今年が25周年である。スライドを通してHOTの25年間を振り返る。
     アメリカでは1970年代からHOTが開始され、1980年頃にはCOPDで酸素療法を導入した患者の方が、導入しなかった患者に比較して予後が良いというエビデンスが出ていた。こうした流れを受けて、日本でも1980年代前半に、患者会、厚生省(当時)の研究班、学会での専門委員会の結成が行われ、マスコミや行政への働きかけを通して、1985年3月1日にHOTが保険適用となった。その後のHOTは、承認制→届け出制→適用疾患の拡大→呼吸同調式デマンドバルブ300点新設などの過程を経て、患者数も増加し、現在では約15万人がその恩恵を受けている。HOT導入で多い基礎疾患は、COPD、間質性肺疾患、肺結核後遺症である。HOT患者の最大の不安は、停電や災害、最も強い要望は、酸素濃縮器の電気代の助成である。現在は日本呼吸器学会、全国低肺機能者団体協議会、NPO法人日本呼吸器障害者情報センター、その他の患者団体から構成される「日本呼吸器疾患患者団体連合会」が、よりよい医療環境を求めて活動を行っている。
     一方、隣の韓国では2007年にHOTの保険適用が始まったものの、携帯用酸素ボンベは未適用、医療機関には保険給付金の支払いがないなどの問題点をかかえており、HOT患者数が伸び悩んでいる(約3,300人)。またHOTを導入しても携帯用酸素ボンベが保険未適用のため、自由に外出も出来ない。発表者(吉井)は、日本呼吸器障害者情報センターの遠山和子代表の依頼により、韓国呼吸器障害者協会のソン・キュオク会長宅を訪問し、HOT適用の問題点を話し合った。そして、今後、韓国でのHOT適用拡大に向けた両国の障害者団体の交流、また韓国でのネットワーク作りに協力していくことを伝えた。

  • Variability in Defining T1N0 Non-Small Cell Lung Cancer Impacts Locoregional Failure and Survival

    日時:平成22年10月29日
    発表者:長田 周也 
    主な内容:T1N0の肺非小細胞癌において、完全切除したと考えられる症例においても局所再発は起こっている。本論文では、リンパ節の検索の正確さが、局所再発と生存率に影響していることを示唆されていた。本論文の報告によると、外科手術後、病理学的にstageTaと診断された119症例のうち、局所再発が20%で起こっていた。119症例のうち、N2領域のリンパ節の検索は94%になされていた。少なくとも1個の明確なN1領域のリンパ節を検索された症例は70%であり、N1として検索されたリンパ節の位置が明確でなかった症例は27%であった。N1のリンパ節を検索していなかった症例は3%であった。局所再発は、明確なN1リンパ節を検索している症例では14%に起きていた。検索されたリンパ節の位置が不明確であった症例では、局所再発が31%で起きており、前者と比較して、有意差を認めた。不完全なN1リンパ節の評価により、不正確なstagingとなり、不十分な治療となっている可能性が示唆された。


  • 重症肺血症に対する治療効果

    日時:平成22年11月2日
    発表者:赤田 憲太朗
    Richard F.et.al. effectiveness of treatments for severe sepsis. Am J Respir Crit Care Med 180; 861-866, 2009
    主な内容:
    Surviving Sepsis Campaign(SSC) guidelinesは, 敗血症において死亡率を下げることを目標とし制定された. 実際にSurviving Sepsis Campaign(SSC) guidelinesに基づいた治療を行うことでに死亡率を下げることが可能かどうかを検証した. 方法は, 77施設のICUに入室した2796名を用いてprospective observational studyを行った. @中心静脈血圧≧8mmHg. AScvO2≧70%. BBS<150mg/dl. C人工呼吸患者では気道内圧<30cmH2Oの達成度と効果, @早期の広域抗生剤投与. A輸液負荷. B少量ステロイド投与. C活性型プロテインC製剤投与の効果について, propensity scoresを用いて評価を行った. 結果は, 2796名中, 41.6%が死亡した. 死亡率を下げた治療法は, 広域抗生剤投与(OR 0.59), 活性型プロテインC製剤投与(OR 0.59)であった. 重症敗血症において, 早期の広域抗生剤投与(特に1時間以内)を行うことは必須である. 活性型プロテインC製剤に関しては議論があり, negative studyも散見されるが, 本研究では, 死亡率を下げることを証明した.


  • 呼吸ケアサポートチーム
    日時:平成22年11月5日
    発表者:石本裕士
    主な内容:
     発表者の前任地である長崎県の佐世保市立総合病院における呼吸ケアサポートチームの活動に関して概説した。
     呼吸ケアチーム加算は、平成22年4月の診療報酬改定においてあらたに算定が可能となった項目であり、勤務医の負担軽減策のひとつである。一般病棟において、医師、看護師、臨床工学技師、理学療法士などからなるチームにより、人工呼吸器の離脱に向け、適切な呼吸器設定や口腔状態の管理などを総合的に行った場合に週に1回150点が加算できるというものである。呼吸ケアチームの立ち上げに関わった発表者の経験談、および、多職種が参画するチームの有用性、チーム医療を名目に教育を推進するメリットを述べた。
     また、超重症なARDSに対するECMOの有用性に関して、Extracorporeal membrane oxygenation for 2009 influenzae A(H1N1) acute respiratory distress syndrome JAMA. 2009;302(17):1888-1895.を引用し実例を挙げて概説した。
  • 気管支バルブ療法について

    日時:平成22年11月9日
    発表者:原 可奈子 
    主な内容:A Randomized Study of Endobronchial Valves for Advanced Emphysema(n engl j med 363;13 nejm.org september 23, 2010)

    気管支バルブ療法とは気管支内にバルブを留置して肺胞を閉塞させて肺容量を減少させる肺気腫に対する低侵襲な治療手技である。留置されたバルブの逆止弁効果によって、肺内の異常がある部位から正常な部位へと空気の流れを変化させることを目的としている。
    背景:肺葉から空気を流出させるが流入させない気管支バルブを、進行した肺気腫に伴い肺の過膨張をきたした患者に留置することで、肺葉容積が減少し、その結果肺機能や運動耐容能が改善する可能性がある。
    方法:不均一性肺気腫を有する患者を対象に気管支バルブ療法と標準的内科治療で安全性と有効性を比較した。有効性エンドポイントはintention-to-treat解析による一秒量と6分間歩行距離の変化(%)とした。6つの主要合併症(死亡、膿胸、大量喀血、弁より末梢の肺炎、気胸、7日以上持続するair leak、24時間以上ベンチレーターが必要な呼吸不全)の複合発生率に基づき安全性を評価した。
    結果:登録した 321 例のうち、220 例を気管支バルブ療法群(EBV 群)、101 例を標準的内科治療群(対照群)に無作為に割り付けた。6 ヵ月の時点の FEV1 は,EBV 群で 4.3%上昇したのに対して、対照群では 2.5%低下した。FEV1 の平均群間差は 6.8%であった(P=0.005)。6 分間歩行距離における群間差もほぼ同様であった。12 ヵ月の時点における合併症の複合発生率は、EBV 群で 10.3%であったのに対し、対照群では 4.6%であった(P=0.17)。90 日の時点において、EBV 群では,対照群と比較し、入院を要する慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪、喀血の発生率が高かった。12 ヵ月の時点で、EBV 群の標的肺葉における肺炎の発生率は 4.2%であった。肺気腫の不均一性と、葉間裂の完全性の X 線所見が、治療に対する反応の強さと関連していた。
    結論:進行した不均一性肺気腫に対する気管支バルブ療法により、肺機能、運動耐容能、症状に軽度の改善が認められたが、一方で留置後に肺炎、COPDの増悪、喀血の頻度が増悪した。 葉間裂の完全性と高い不均一はEBV療法において機能的・生理的により臨床効果の可能性がある患者を確認するようにみえるがさらなる臨床試験が必要である。


    Good症候群について
  • 日時:平成22年12月4日
    発表者:生越貴明
    Good's syndrome remains a mystery after 55 years: A systematic review of the scientific evidence. Clin Immunol 135:347-363,2010を紹介した。

    Good症候群(GS)は、55年前から報告されている胸腺腫に合併した免疫不全の状態のことである。しかしながら、この症候群は、病態が依然はっきりせずミステリアスなままである。今回この論文では過去152例のグッド症候群症例から、臨床的な所見を再検討した。症例の47%はヨーロッパで報告されている。診断は42%の患者で低ガンマグロブリン血症による呼吸器感染または下痢の診断に先行したが、38%の患者において、診断は互いに2ヵ月以内にほぼ同時に出現していた。治療は胸腺摘出であるが、胸腺摘出後もGSは進行することが多いとのこと。ガンマグロブリン投与が必要になることも多い。死亡率は44.5%とかなり高い。明敏な臨床洞察力がこの症候群と認識させることにより、死亡率を下げる可能性があるとのこと。この論文をもとに今回当院で経験したDPB様の小葉中心性粒状影を呈したB細胞優位に免疫低下を起こしているGood症候群の1例を画像を用いて再検討した。

  • 非小細胞肺癌における早期緩和ケア介入
    日時:平成22年12月8日
    発表者:川波敏則
    主な内容:Temel et al. Early palliative care for patients with metastatic non-small-cell lung cancer. N Engl J Med 363(8): 733-742,2010を紹介した。

    背景 StageWの非小細胞肺癌(Non-Small cell lung cancer;NSCLC)患者は、様々な症状の負担があることから、終末期にアグレッシブな治療を受けることになるかもしれない。我々は、新規に診断された歩行可能な(PS良好な)NSCLC患者に、診断後早期に専門的な緩和ケアチームによる介入によって、患者自身が行った評価と終末期医療への影響を調べた。
    方法 我々は、新規に診断された転移のあるNSCLC患者を、診断早期から(緩和医療専門医や専門看護師の緩和ケアチームによる)緩和治療を受けながら標準肺癌治療を受ける群と、標準肺癌治療のみの群に無作為に分けた。
    QOLと気分障害は、開始時と12週間後に評価した。FACT-LスケールとHospital anxiety and depression scaleを使用した。
    Primary outcomeは、12週間後のQOLの変化とし、終末期医療のデータは、電子カルテから集めた。
    結果 151人の患者を登録、12周までに27人が死亡、107名86%が完全に評価対象となった。患者は、早期緩和治療を受けた群で、より高いQOLが得られた。FACT-Lスケール;0-136、98.0:91.5、p=0.03 さらに、うつ症状も少なかった。(16%:38% p=0.05)早期緩和医療を受けた群は、アグレッシブな終末期医療を受ける頻度が少ない(33%:54% p=0.05)にも関わらず、中央生存期間が長かった。(11.6か月:8.9か月 p=0.02)
    結論 メタのあるNSCLCの患者は、早期緩和医療によって著明なQOLと心的状態の改善が認められた。標準治療を受けた患者に比べて、終末期にアグレッシブな治療を受けていないにもかかわらず、長い生存が得られた。(これは、1stの化学療法による効果と同様なくらいの大きな臨床効果であった。)

    本研究の限界点
    3つの病院で、専門の胸部腫瘍プロバイダーと緩和ケア医の特別なチームで行われたので、他の臨床場面や他のタイプの腫瘍に対する結果が同様であるかは、わからない。
    人種が偏っていること。
    ランダムにコントロールされたデザインを用いたが、患者と医師が割り当てをわかっていること。(ブラインドでないこと)
    標準治療群に対し、緩和ケアの制限をしていないので、少数ではあるが、同じ緩和ケアチームによる加療が行われていること。(これらの人のデータは、標準治療群に加味された)
    欠けているデータに対しては、包括的解析で行ったため、実際の治療効果は我々の報告より大きいかもしれない。


  • ウリナスタチンパルス療法(ミラクリッド)について
    日時:平成22年12月10日
    発表者:神崎未奈子

    Bolus infusion of human urinary trypsin inhibitor improves intractable interstitial pneumonia in patients with connective tissue diseases
    Rheumatology (2008) 47 (6): 907-913.

    <目的>膠原病に伴う間質性肺炎は免疫抑制治療にもかかわらず進行する。難治性のIPにおけるウリナスタチンの効果について検討した。
    <方法>IPを持つ5人の患者に、1日に3回頚静脈にウリナスタチン 3×105Uを静脈投与した。治療反応性は臨床経過、胸部CT、PaO2、血清KL-6で評価された。ウリナスタチンの血行動態は動脈血液で評価された。IPの発病に関与している走化性蛋白1やTGF-β1の血清レベルを評価した。
    <結果>UT抑制剤3×10 5 U静注後UTインヒビターの血清濃度は150U以上に上昇した。
    4人の患者で臨床症状、画像ともに改善した。1ヶ月以内に低酸素血症は改善し、酸素療法を減量できた。UTインヒビターは全患者において血清KL-6を低下させ、副作用は認めなかった。MCP-1やTGF-β1濃度は健常者より高く、UT 3×10 5 Uの静脈投与は3時間以内に低下させた。
    <結論>UTインヒビタのボーラス静脈投与は従来の免疫抑制療とは異なるメカニズムで難治性IPに有効な治療となり、また治療関連の副作用は少ない。

  • EBUS-TBNA
    日時:平成22年12月24日
    発表者:石本裕士

    主な内容:
    子宮癌肉腫の肺、縦隔リンパ節転移の一例を紹介した。通常の気管支鏡検査では組織診断に至らなかったものの、EBUS-TBNA(超音波気管支鏡ガイド下針生検)により確定診断をつけることができた症例である。あわせてEBUS-TBNAの基本構造および基本手技に関して概説した。基本手技においては、介助者の技術が重要となる事や、検体の処理方法など具体的な点に言及し日常診療に役立つような内容となるようにスライド内容の一部をマニュアルとして頒布した。
    文責:呼吸器内科学
    更新日:2010年2月1日