モーニング・ミーティング
since 2010 April

  • LAMP法を用いたマイコプラズマ肺炎の診断
    日時:平成23年12月17日
    発表者:野口真吾
    主な内容;マイコプラズマ肺炎の診断においては、血清学的評価、また、培養、PCRほうがあげられるが、いずれも診断に時間を要することが問題である。本年10月、LoopampマイコプラズマP検出きっとによる核酸同定検査(LAMP法)が保険収載された。本法は、4種類のプライマーを設定し、増幅反応はすべて等温で行えること、また、DNAを1時間で増幅できるなどの利点があり、臨床性能試験での培養法、PCR法との一致率はいずれも90%以上の高いものであった。今後、マイコプラズマ肺炎の診断の一手段となりえると考えられ、今回発表させていただいた。


  • COPDの安定期の治療について 

    日時:平成23年12月19日
    発表者:矢寺和博
    主な内容:2011年にACP、ACCP、ATS、ERS合同による安定期のCOPDの管理指標が発表された。(Ann Intern Med. 2011;155:179-191)この内容の要約は以下の通りである。
    1.スパイロメーターは症状のある患者の閉そく性呼吸器疾患の診断のために使用(症状のない患者にスクリーニングのために使用しない)※注:日本での適用については議論がある。

    2.少女のあるstable COPD(60%<%FEV1<80%):weak recommendation:吸入気管支拡張薬を使用してもよい。

    3.症状のあるstable COPD(%FEV1<60%):strong recommendataion:吸入気管支拡張薬の使用が望ましい。

    4.症状のあるCOPD、もしくは%FEV1<60%:下記の単剤が望ましい。 a. long-acting inhaled anticholinergics b.LABA

    5.症状のあるstableなCOPD、かつ%FEV1<60%:以下の組み合わせでもよい a.long-acting inhaled anticholinergics b.LABA c.ICS

    6.症状のあるCOPD(%FEV1<50%)には、呼吸器リハビリを処方する。%FEV1が≧50%でも、症状や運動制限のある患者には呼吸器リハビリを考慮する。

    7.安静時低酸素症(PaO2<55mmHg or SpO2<88%)では持続酸素投与を考慮する。


    原発性線毛不全症候群について

    日時:平成23年12月16日
    発表者:石本裕士
    主な内容:原発性線毛不全症候群(primary ciliary dyskinesia;PCD)は線毛の超微構造の異常に基づく線毛の機能不全症で、完全な不動線毛症例や、微弱な繊毛運動、協調性のない繊毛運動を呈する症例が認められる。これにより、気道系の防御機構として重要なmucociliary systemが正常に機能できず、その結果、幼少期より慢性の上・下気道感染症を生じる。PCDの病態、診断、治療に関して概説を行った。また、kartagener症候群として知られる内蔵逆位の発生メカニズムについてノード流に関する論文の紹介を行った。


  • 7年後に診断に至った肺吸虫症の1例 

    日時;平成23年11月29日
    発表者;花香未奈子
    主な内容:症例ヘア40歳代男性。主訴は血痰。2004年11月好酸球性肺炎、右気胸の診断で三重県のA病院に入院し、プレドニゾロン(PSL)内服が開始された(詳細不明)。退院後PSL内服や通院が不規則となり、再燃を繰り返していた。2009年11月自宅に近いB病院に転医し、PSL5mg内服で安定していた。北九州への転勤のため、2011年5月よりC病院で治療継続していた。しかし胸部X線写真で左肺野に新たな異常陰影を認め、気管支鏡検査目的で、2011年9月20日当科紹介受診された。当科初診時の身体所見は特記異常所見は認めず、血液検査ではIgE RISRが1362U/mlと高値であった。胸部X線/CTでは両肺野に数個結節影を認め、一部空洞形成も認めた。気管支鏡検査にて左B10より気管支洗浄を行い、細胞診にて虫卵を認めた。虫卵の形態より宮崎肺吸虫が疑われた。宮崎大学医学部寄生虫学教室に依頼し血清の判定量的酵素抗体法を施行していただいたところ、反応パターンから宮崎肺吸虫が疑われた。これまで好酸球性肺炎として、ステロイド治療が行われてきたが、検査結果より宮崎肺吸虫と診断。11月5〜7日プラジカンテル75mg/kgを内服した。約10日間の経過では画像所見は著変ないが、血痰は減少した。
    本症例の興味深いところは、1.好酸球性肺炎としてステロイド治療を施行されていたため、診断までに約7年間要した、2.本症例では気管支洗浄液より虫卵を認め、また肺内に空洞形成を認め、虫嚢の形成が示唆された。宮崎肺吸虫は通常生活環、生殖方法からすると、ヒトの体内で虫卵や虫嚢を検出しないが、なぜ本症例では検出されたか、3.通常の寄生部位である胸水は目立たなかった。固有宿主ではなくても、複数寄生した場合虫嚢が形成されることが報告されているまた、本症例と同様に、宮崎肺吸虫で肺内に多彩な病変を呈した症例が報告されている本症例において、2004年好酸球性肺炎の診断時には胸膜下の高度吸収域のみであったが、2008年のCTで空洞形成を伴う結節影、すりガラス影が出現している。この間に虫嚢形成が成立したことが予想される。治療介入が遅れたこと、ステロイドの長期内服などのため、濃厚な感染、相当数の寄生が起こり、虫嚢・虫卵の形成に至ったのではないか。

  • 気管支鏡憲さんの安全対策に関して

    日時:平成23年11月11日
    発表者:石本裕士
    主な内容;呼吸器内科の診療において気管支鏡検査は避けて通れない検査であるものの、その侵襲は強く危険性も高い。安全で、かつ、苦痛の少ない検査方法を工夫し続けることが求められており気管支鏡検査の安全対策および麻酔方法に関して再考を行った。呼吸器内視鏡学会の全国調査においては、静脈麻酔を使用する施設が増加しているが、侵襲の強い検査が増加していることも背景にあると考えられる。当院においてもEBUS-TBNA検査も増え、静脈麻酔を使用する頻度が増えている。静脈麻酔により苦痛は減るもののリスクは当然増加し、安全対策の強化が重要となる。鎮静剤使用時のモニタリングに使用されるBISモニターも気管支鏡検査中のモニタリングに有用である可能性がありその使用方法と、有用性の検証方法に関して提案を行った。


  • レンサ球菌感染症 
    日時:平成23年11月1日
    発表者:野口真吾
    目的:高齢化に伴いレンサ球菌による感染症の割合が増えてきている。今回、レンサ球菌感染症、および、肺感染症とのかかわりについて発表した。レンサ球菌は、グラム陽性の通性嫌気性菌であるが、嫌気培養のほうがよく発育増殖する。分類としては、16SrRNAにより、pyogenic、anginosus、mutans、bovisの6種類に分類される。pyogenic群は皮膚軟部感染症を中心とした多彩な感染症を起こす。また、その他、口腔内常在菌とされる群においてもanginosus群をはじめ、感染症の原因菌となりえる。そのため、実地臨床においてはレンサ球菌についても十分考慮する必要があると考えられる。


  • 1.Prescreening based on the presence of CT-scan abnormalities and biomarkers(KL-6 and SP-D) may reduce severe radiatioin pneumonitis after stereotactic radiotherapy
    2.Severe COPD is correlated with mild radiation pneumonitis following stereotactic body


    日時:平成23年10月14日
    発表者:長田周也
    主な内容:手術不可能早期肺癌において、定位放射線照射による治療は標準的となってきている。放射線照射後の放射線性肺臓炎が問題となることがある。
    1.治療前の胸部CTで間質性陰影を認め、KL-6あるいはSP-D高値がある症例に対して定位放射線照射終了後に重篤な放射線性肺炎が発症した。CT異常とKL-6とSP-D高値がある症例について放射線の適応から除外したところ、重篤な放射線性肺炎の発症は有意に低下した。
    2.肺癌患者にCOPDが合併していることも多いが、%FEV1.0によるCOPDの合併例のほうが、定位放射線照射後に放射線性肺臓炎を合併することが少なかった。また、Pack-Yearが多い群が放射線性肺臓炎を合併することが少なかった。


  • 侵襲下におけるover feedingの弊害
    日時:平成23年10月11日
    発表者:赤田憲太朗
    主な内容:侵襲下は異化が亢進するため、内因性エネルギーの供給が上昇すること。内因性エネルギーのを考慮しない栄養投与はover feedingになる可能性が高いこと。over feedingによる弊害として高血糖によるミトコンドリア内の過度の酸化ストレス、炎症反応の増幅、nutritional stressに伴うREE増加、CO2産生増加、骨格筋・タンパク質増加、水分貯留・浮腫増悪をきたすこと。侵襲下の栄養量法はover feedingに気をつけて管理を行っていく必要がある。


  • 肺疾患を有する患者の術前評価 CHEST2007;132;1637-1645

    日時:平成23年8月23日
    発表者:西田千夏
    主な内容

    ・術前の肺機能評価は、肺疾患を有する患者が手術を受けるうえで重要である。
    ・手術後に呼吸器合併症が起こる割り合いは高く、致死率や入院期間の延長と関連する。
    ・心肺以外の手術を受ける患者群では、心肺の手術を受ける患者群よりも周術期の呼吸器合併症はより予測しやすい。
    ・術後呼吸器合併症を予防する手段は少ない。呼吸機能回復訓練・排痰機能改善訓練と持続陽圧換気のみが、ベネフィットが証明された方法である。
    ・手術に先立って述語呼吸器合併症への発展のリスクを同定することと、それらの潜在するリスクファクターを積極的に軽減することは有益である。


  • Rosai-Dorfman病の一例
    日時:平成23年8月16日
    発表者:野口真吾
    主な内容:Rosai-Dorfman病は、1969年に初めて報告された非腫瘍性組織球増殖性疾患である。これまで750例以上の報告例があるが節外性病変を含むものは40%程度、胸腔内病変に限ると2%程度である。症状として、90%の患者に圧痛を認めない両側頚部のリンパ節腫脹を認める。診断としては、S100蛋白陽性の組織球により拡張したsinusがみられ、免疫染色でCD68陽性、CD1a陰性。emperipolesisを呈する。比較的予後は良好であるが、治療法は確立されていない。今回、64歳女性の症例をもとに上記疾患について発表した。


  • Retreat with erlotinib:Ragain of TKI sensitivity following adrug holiday for patients with NSCLC who initially responded to EGFR-TKI treatment

    日時:平成23年8月12日
    発表者:長田周也
    主な内容:EGFR-TKIで、長期間、病勢コントロールが可能であった、非小細胞癌患者、14例について、retrospecrtiveに検討した。患者はEGFR-TKIによる治療後、標準的な化学療法を施行され、その後、病勢増悪に対して再度、EGFR-TKIによる治療を受けた。2回目のEGFR-TKI治療までの、中断期間の中央値は、9.5ヶ月であった。再治療前に、5例(36%)がPR、7例(50%)がSD、2例(14%)がPDであった。T790Mの異変を認めていた患者5例では、2例がPR、1例がSD、2例がPDであった。フォローアップ期間の中央値は9か月、PFSの中央値は6.5ヶ月であった。初期のEGFR-TKIが奏功した患者については、標準的な化学療法後に再度、EGFR-TKIを使用することを考慮する価値はあると考えれられた。


  • Impact of inhaled corticosteroid use outcome in COPD patients admitted with pneumonia
    日時:平成23年7月29日
    発表者:神崎未奈子
    主な内容
    <目的>吸入ステロイド(ISC)の使用がCOPD患者において市中肺炎(CAP)の入院を増やすかどうかを調べた。
    <方法>イギリスにおけるプロスペクティブ観察研究である。2005年1月〜2009年12月までにCAPと診断された1883人の患者のうち、スパイロメトリーにてCOPDと診断された490人の患者においてICS使用群と非使用群に分けて比較検討された。
    <結果>490人のうちICS使用者が376人、非使用者が114人であった。ICS使用者のうち、67.9%がアドエア、21.1%がシムビコート、11%が吸入ステロイド単剤(18人がフルタイド、17人がキュバール、5人がパルミコート、1人がオルベスコ使用)であった。ICS使用者はICS非使用者よりもGOLD分類で重度であった。2群間で肺炎の重症度には差はみられず、CRPなどの炎症反応にも差はなかった。30日間の死亡率においてICSの使用は独立危険因子ではなかった。また6ヶ月間の死亡率、人工呼吸器や強心薬の必要率、複雑性肺炎への発展に関しても有意差はみられなかった。
    <結論>ICSの使用はCOPD患者において入院頻度や肺炎の重症度、死亡率に影響を与えない。




  • Mortality associated with tiotropium mist inhaler in patients with chronic obstructive pulmonary disease:systematic review and meta0analysis of randomised controlled trials.
    Singh S, Loke YK, Entight PL, Furberg CD. BMJ.2011 Jun 14;342:d3215.doi:10.1136/bmj.d3215


    日時:平成23年7月26日
    発表者:矢寺和博
    主な内容:スピリーバレスピマットのCOPDに対しての長期使用に関する死亡の危険性についてのレビュー。データソースは2010年7月までのMedline、Embase、the pharmaceutical company clinical trials register、the US Food and Drug Administration website、Clinical Trials.govで参照可能なrandomised controlled trial(RCT)。COPDに対してスピリーバレスピマットとplaceboが30日以上あり、死亡率についてのデータがあるスタディで、すべての死因のRelative riskがfixed effect meta-analysisで評価された。5つのRCTが対象となり、スピリーバレスピマットが統計学的に有意に死亡率の増加と関連していた。(90/3686 v 47/2836;relative risk 1.52,95% C.I 1.06-2.16: P=0.02)。スピリーバレスピマット10?g(2.15,1.03-4.51;P=0.04)、5?g(1.46,1.01-2.10;P=0.04)
    RCTの平均的なコントロールにおける平均的なイベントから計算すると、スピリーバレスピマット5?gによる124人の治療により一人の死亡の追加となる(95%C.I.52-5682)。CONCLUSIONS:このmeta-analysisにより、COPDに対するスピリーバレスピマット安全性についての懸念があり、52%の死亡率の増加の危険性と関連している。
    コメント:スピリーバハンディヘラーとレスピマットの直接比較のデータが待たれる。


  • 緑膿菌VAPに対する吸入によるCAZとAMKによる治療
    日時:平成23年7月22日
    発表者:川波敏則
    主な内容
    <背景>抗菌薬のネブライザー吸入は、肺組織に高濃度の薬剤が到達し、迅速に細菌を死滅させることができる可能性がある。緑膿菌性人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia,VAP)に対するceftazidime(CAZ)とamikacin(AMK)のネブライザー吸入療法について、その効果と安全性を検証した。
    <方法>緑膿菌性VAP患者40名に対し、無作為化比較した第二相試験である。20人の患者(CAZもしくはAMKに対して感性もしくは中等度耐性)がCAZ15mg/kg/q3hrs(day1-8)、AMK25r/kg/日(day1-3)をネブライザー吸入した。さらに静脈投与群として、CAZおよびAMK感性の17名にはCAZ90mg/kg/day連続投与(day1-8)vvvとAMK15mg/kg/day(day1-8)が静脈内投与され、中等度耐性の患者3名についてはAMKをCPFX400mg/q12hrs(day1-3)に変更した。
    <結果>投与後8日後(day9)に評価を行った。吸入群と静注群での奏効率はそれぞれ70%と55%(有意差なし)。治療失敗群は15%と30%。他の微生物による混合感染は、それぞれ15%と15%に認めた。抗菌薬治療による胸部CT上の肺炎分布(肺炎像および含気)の変化について検証したが、両群間での差は認められなかった。(含気の増加が159±460mlと251±583ml、含気の減少が−58±(−77、25ml)。治療介入による抗菌薬(CAZもしくはAMK)耐性の獲得は、静注群にのみ見られた。吸入群では、4人の患者で中等度耐性緑膿菌が検出されたが治療には成功した。また、吸入によって3人の患者で、呼気フィルターの閉塞が見られた。一人は心停止に至ったが短時間の心肺蘇生によって完全に後遺症なく蘇生できた。
    <結論>吸入療法と静脈内投与では、緑膿菌性VAP治療について同党の有用性が証明された。吸入療法は中等度耐性の緑膿菌であっても有効性が認められ、また治療介入による抗菌薬抵抗の獲得が予防できる可能性がある。
    <本試験のサマリー>
    ・緑膿菌性VAPに対するCAZ+AMKのネブライザー吸入と静脈内投与のPhase2 study
    ・感性緑膿菌の場合、臨床的効果、画像変化に両群ともに同程度の結果
    ・中等度耐性緑膿菌の場合、Intermediateの場合でも、吸入群では有効
    ・静注群よりも吸入群のほうが、早期の菌消失率が高い
    ・VAPの治療失敗例や再燃例は両群同程度
    ・day9で分離された緑膿菌について、吸入群では全て感性、静注群では50%が中等度耐性もしくは耐性
    ・吸入群でも、AMKのトラフを下げない
    ・吸入に伴う呼気filterの閉塞、酸素化の悪化については、早期発見で対処が可能
    <考察>
    1.緑膿菌性VAP治療におけるCAZ+AMK吸入の有効性
    <吸入群の優位性>
    ・中等度耐性(Intermediate)緑膿菌性VAPに対する有効性
    ・菌持続排出例や再燃例における薬剤感受性の維持
    ・吸入群:肺組織濃度>MPC(mutant prevention concentration)
    2.Method limitation
    ・Small samples sizeのため、両群間の治療成功率に有意差がでなかった
    ・Selection biasの問題
    ・吸入群において、早期抜管された場合にはBAL検体採取が困難
    ・血液培養陽性症例は、吸入群は除外すべきであった
    3.VAP患者におけるネブライザー吸入療法の安全性と認容性について
    ・人工呼吸器回路内の閉塞防止および肺内到達濃度の保持のため、特別な設定が必要
    ・呼吸のため、3時間毎の人工呼吸器を外さなければならない
    ・呼吸器によりPaO2が25%の低下(吸入終了時で)
    ・3度の呼気フィルターの閉塞、1度は短時間の心停止
    <まとめ>
    ・感性の緑膿菌性VAPに対して、吸入群、静注群ともに同党の有効性
    ・吸入群では、中等度耐性の緑膿菌性VAPにも有効で、治療を介しての薬剤耐性の獲得を防止できる可能性。ただし、再燃予防は困難であった。
    ・大規模多施設試験による検証が必要


  • Prospective multicenter study of the causative oeganisms of community acquired pneumonia in adults in Japan
    日時:平成23年7月15日
    発表者:山ア啓
    主な内容:日本における市中肺炎の原因菌についてJ Infect Chemother 12:63,2006を参照にreviewした。
    他の文献の報告も含めると市中肺炎の原因の約25%〜50%が肺炎球菌で約8%〜18%がインフルエンザ菌、約5〜15%がマイコプラズマであり、クレブシエラ、レジオネラ、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、モラキセラ・カタラーリスなどは5%以下であった。
    いずれの報告でも肺炎球菌が最も多く、肺炎球菌ワクチンなどの有用性が改めて示唆された。


  • リポイド肺炎について

    日時:平成23年7月12日
    発表者:花香哲也

    主な内容
    :リポイド肺炎について報告した。
    <概念・定義>リポイド肺炎は、肺胞腔内や肺胞壁における油脂を貪食したマクロファージの出現を病理組織学的特徴とする肺炎である。
    <病因>内因性リポイド肺炎:気道の閉塞による末梢の内因性の脂質(コレステロール、サーファクタンとなど)が原因となる。他に肺の悪性腫瘍や化膿性病変などでみられる。稀だが気管支拡張症、放射線肺臓炎、脂肪塞栓症、血栓塞栓症、Wegener肉芽腫症、肺胞蛋白症、原因不明など。
    外因性リポイド肺炎:パラフィンなどの油脂類の吸入が多い。他には石油の誤嚥、家庭用殺虫剤の吸入、機械整備に伴う少量の鉱物油の吸入など。
    <病態>油脂の種類により反応が異なる。
    植物性(ごま油、ひまわり油等):気道内で乳化し喀出され、肺では強い反応は起こさないことが多い。
    動物性(バター、肝油、魚油、ラード等):リパーゼで加水分解を受け遊離脂肪酸を生じ、炎症や壊死などの激しい反応を引き起こす。
    鉱物性(流動パラフィン、石油(灯油、ガソリン)等):肺胞マクロファージで貪食され、線維化を引き起こす。海外では外因性リポイド肺炎の原因としては流動パラフィンが全体の約75%で最も多い。流動パラフィンは主に欧米で経口緩下剤として使用されている無色透明の液状物質で、誤嚥しても刺激が少ないため咳反射を起こしにくい。GRED、精神疾患は本症の要素となる。
    <症状>発熱、体重減少、咳嗽、呼吸困難、胸痛、喀血など。41%は無症状か軽微な症状。
    <画像所見>肺胞性陰影、間質性陰影、結節性陰影など様々な陰影を呈する。肺門リンパ節腫大や胸膜病変を認めることもある。急性・慢性のいずれも下葉の陰影が多い。急性では胸水貯留例が慢性に比べて有意に多い。慢性リポイド肺炎患者の67%では、腫瘤影をつくる。
    <診断>肺生検、TBLB、BAL、喀痰検査で脂肪を貪食したマクロファージを認めること。
    <治療・予後>原因となっている油脂への曝露を回避。ステロイド投与や全肺洗浄が有効との報告もあるが、確立されたものはない。急性型の大部分は油脂曝露を回避するだけで陰影は改善し予後良好。慢性の反復吸引症例では肺線維症へと進展し予後は不良。


  • CNIV(chemotherapy-induced nausea and vomiting)
    日時:平成23年7月8日
    発表者:高木努
    主な内容:抗癌化学療法において、悪心・嘔吐は最も辛いと感じる副作用の一つである。ASCO(American Society of Clinical Oncology)のGuideline for Antiemetics in Oncologyは2006年に1999年の改訂版が発表された。5HT3受容体拮抗薬、副腎皮質ホルモンに加え、ニューロキニン-1受容体拮抗薬(aprepitant)の使用が推奨されている。国際的にはASCO以外にもNCCN(National Comprehensive Cancer Network)、Multinational Association of Supportive Care in Cancer(MASCC)からも制吐薬に関するガイドラインが提示されているが、日本でも2010年に日本癌治療学会により制吐薬適正使用ガイドライン第1版が発表された。臨床に即したClinical Queutionの形で推奨治療が示されており、レジメン別での催吐リスク分類まで記載されている。嘔気・嘔吐の発生時期としては急性・遅発性・予測性のものに分けられる。予期性悪心・嘔吐に関しては制吐薬の効果は乏しく、抗不安剤や行動療法が勧められる。また、初回抗癌化学療法施行時の急性および遅発性嘔吐の完全制御により、悪心・;嘔吐を経験させないことが対策となる。


  • 特発性間質性肺炎診断と治療の手引きの改定について
    日時:平成23年7月5日
    発表者:小田桂士
    主な内容:改訂版の変更点について報告した。変更点に関しては、鑑別診断の項にCPFE(気腫合併肺線維症)が追加され、治療総論ではNAC吸入の有用性が記載、また急性増悪時の治療としては低分子ヘパリン、PMXの有用性が記載されたことを説明した。また、近年注目されているCPFEについて2つの論文を引用し以下のように説明を加えた。
    1つ目はCPFEとして提唱されることとなったCombined pulmonary fibrosisand emphysema;a distinct underrecognised entity. Cottin V et al, Eur. Respir. j. 2005という論文を紹介した。これはCPFEの臨床的な背景とその臨床的な特徴(比較的肺機能は保たれている一方でガス交換障害を伴っているケースが多い、肺高血圧症を合併している頻度が高い)を報告した論文でありCPFEの先駆けとなった。また肺高血圧症合併例では5年生存率は25%と予後不良の疾患であることをまとめたものであった。
    2つ目は本邦でCPFEとCOPDを比較した論文であるClinical characteristics of combined pulmonary fibrosis and emphasema. Yohiaki Kitaguchi et al, Respirology 2010を紹介した。これはCPFEがCOPDとの患者背景の相違点や肺癌の合併率はCPFEで高い点、CPFEは肺機能は温存されているが拡散能の低下を来している場合が多いなどをまとめた論文であった。
    以上2つの論文より、CPFEを疑うような画像所見に遭遇した場合はVC、FEV1.0などの肺機能検査が正常であることを確認する以外にも、ガス交換障害を来していないかのチェックが必要であると考えられた。


  • Dexamethasone and length of hospital stay in patients with community-acquired pneumonia:a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 2011;377:2023-30
    日時:平成23年6月28日
    発表者:野口真吾
    主な内容:市中肺炎におけるステロイド併用療法の有用性は明らかになっていない。今回、dexamethasone併用での入院期間短縮の有無につき検討した。Dexamethansone投与群(5mg iv. 3TD)151名、非投与群(プラセボ)153名にて検討。ICUに入室するような超重症患者は除外。非投与群に比し、dexzmethasone投与群では、平均入院期間の1日の短縮を認めた(7.5vs 6.5 P=0.048)。その他、死亡率、ICU入室率、膿胸合併率などには有意な差はなかった。また、副作用として、高血糖が、非投群に比し有意にみられたが、治療介入に際しては有意差はなかった。市中肺炎においては、早期の抗生剤加療とともに、dezamethasone併用療法が有効である可能性がある。


  • MAC症の研究・臨床の最前線?結核病学会生涯教育セミナー
    日時:平成23年6月7日 
    発表者:石本裕士
    主な内容:日本結核病学会にて表記の生涯教育セミナーを聴講してきたのでその報告を行った。MAC症における疾患感受性遺伝子に関しては、単一遺伝子疾患である可能性は低いものの多因子の複合が考えられ、HLA関連遺伝子、MUC5B遺伝子、CFTR遺伝子などにその関与が示唆されている。MAC菌の遺伝子研究としては、遺伝子タイピング法によってVNTR型別解析がすすめられている。非HIV-MAC症ともに同じ亜種ながらもクラスターが分かれていることが示され、異なる領域の遺伝子に感染経路の差を生じる原因があるのではないかと推察されている。MAC症における血清診断は、GPL(glycopeptidolopid)core蛋白に対する血清中のIgAが診断および病勢把握に有用であり、今夏、保険収載される見込みということであった。MAC症の画像経過と臨床像の関連に関しては、可逆部位と非可逆部位とがあるが、病勢の悪化する群では、両方の病変ともに進行するが、非可逆部位の広がりと血清KL-6には相関があり、免疫染色では病巣周囲に陽性細胞が多いということであった。治療期間の妥当性に関しては、菌陰性化後12ヶ月とされているが、空洞群では再発も多く治療延長で予後改善がみられるということであった。以上に関して、セミナー中に引用のあった文献を紹介し報告を行った。


  • Predicted and Fixed Thresholds Interpreting Lung Function Data Misclassifies More Than 20% of Patients
    日時:平成23年6月10日
    発表者:長田周也
    主な内容:COPDの分類は、GOLDのガイドラインによると、一秒率が0.70未満であることと、予測一秒率が80%未満であることで重症度を判定することとしている。これに対し、fifth percentileを正常下限として扱う考え方がある。11413人の肺機能検査をレトロスペクティブに検証し、GOLDの基準により、疾患分類した場合とfifth percentileで疾患分類した場合の差異について検討した。GOLDの基準により、疾患分類するとfifth percentileを元に疾患分類した場合と比較し、20%以上の患者が異なる診断となった。GOLDの基準を用いた場合、男性、高齢者でより、陽性者が多くなる傾向となり、若年者、女性でより、陰性と判定される傾向にあった。



  • HIV感染患者と非感染患者のニューモシスチス肺炎の違いについて
    日時:平成23年6月3日
    発表者:神ア未奈子
    主な内容:ニューモシスチス肺炎(PCP)は23のAIDS指標疾患のうち最も頻度が高い疾患である。臓器移植患者、自己免疫疾患患者、抗癌剤やステロイド投与者などに発症する日和見疾患でヒトーヒト間でのPneumocystis jiroveciiの空気感染ではないかと言われている。今回はHIV感染患者と非感染患者のニューモシスチス肺炎の違いについて、"Critical care management and outcome of of severe Pneumocystis pneumonia in patients with and without HIV infection. "Critical Care 2008, 12(1) Monnet et al.をもとにreviewした。
    〈患者背景〉HIV感染患者と非感染患者間で、年齢に有意差があり、HIV感染患者は非HIV感染患者に比べ若い傾向があった。またICU入室前の有症状期間がHIVで長かった。
    これは非HIV感染患者では短期間で重篤に、HIB患者では緩徐に進行することを示唆していた。非HIV患者27人のうち26人がPSL内服患者であり(予防内服については未記載)、好中球減少、末梢血リンパ球の減少を認めていた。
    〈PCPの診断、治療〉BALFや喀痰、吸引痰で免疫染色、ギムザ染色、グロコット染色によるP.jiroveciの証明をすることで診断された診断された。診断後、全患者でST合剤による治療がなされ、HIV陽性患者のうち2人で発疹が出現し、atovaquoneに変更された。全患者でテロイドが併用された(mPSL 240mg×3日間、 mPSL 120mg×3日間、mPSL 60mg×3日間or 抗菌薬終了まで)。
    〈結果・結論〉非HIV患者のICU入室率が増加している。非HIV患者ではBALF中の好中球比率が高く、BALF中のP.jiroveciiの濃度が低い傾向にあった。ALI/ARDSの発生頻度はHIV陽性患者で低く、死亡率は非HIV感染患者で有意に低かった。気胸の発生頻度は両群で有意差はなかったが(10数%)、気胸合併での死亡率は58%と高値であった。非HIV感染患者ではNIMV無効例が多く、高いPEEPやFiO2を要した。SAPS2が予後と死亡率に相関していた。これらの結果より、非HIV感染患者における、もともとの全身状態や高度の肺障害が原因ではないかと結論づけられた。

  • Progression of idiopathic pulmonary fibrosis: lessons from asymmetria disease Thorax 66:226-231,2011.

    日時:平成23年5月31日
    発表者:赤田憲太朗

    主な内容:IPFにおいて肺線維化の分布と進行は、全身状態と局所の状態によって影響を受ける。特に、AIPF(非対称性特発性肺線維症)においては局所の影響を受けるのが特徴的である。AIPFは、非対称比>0.2定義した。AIPFの32名についてレトロスペクティブに64名のコントロールと比較検討した。AIPFは、コントロールと比較し、胃食道逆流(62.5% VS 31.3%, p=0.006)と急性増悪(46.9% VS 17.2%, p=0.004)の頻度が高かった。また、AIPFは右側がより病変が強い(62.5%)。15名のAIPFでのべ18回の急性増悪が発症したが、生存期間は、AIPFとコントロールで差を認めなかった。AIPFは、線維化の進行・急性増悪において、胃・食道逆流の影響があると考えられる。


  • サルコイドーシスの胸膜病変と治療戦略
    日時:平成23年5月27日
    発表者:小杉健二
    主な内容:サルコイドーシスの胸膜病変の頻度は胸膜下病変も含めると38.5〜83%とされる。年齢は30〜50歳と本症全般の発症年齢よりやや高めで、性差は男性、部位では右側、病期別では3期が多い。胸膜病変を伴うサルコイドーシスはBHLを有する頻度が低い傾向がある。HRCT上、胸膜または胸膜下の病変が高頻度に認められるのに対し、組織学的には胸膜に肉芽腫を認める頻度が少ない。病勢とともに胸膜病変の悪化を認めた報告あり。Hoitsmaらは本症患者の821例の26.9%に胸痛を認めたと報告している。
    サルコイドーシスの治療についてだが、息切れなどの症状が強い場合、呼吸機能障害が引き起こされる場合にステロイドが使用される。全体として奏効率は70〜80%だが、心疾患では48%である。ただし、長期的な効果は明らかでなく、再燃率が高いとする報告がある。その他、MTXが使用されることがある。約66%で効果があり、MTXをsteroid-sparing agentと位置付けている。慢性経過例、ないしは再発例に有効であるとの報告がある。


  • Noble PW et al. Pirfenidone in patients with idiopathic pulmonary fibrosis(CAPACITY):two randomised trials. The Lancet, Early Online Publication, 14 May 2011.
    日時:平成23年5月20日
    発表者:矢寺和博
    主な内容:pirfenidoneについては、これまでに日本での107名のPhase2(Am J Respir Crit Care Med 2005;171:1040-1047)や、北米・ヨーロッパの275名のphase3で、IPFに対してweek52での肺活量減少改善効果、disease progression free survivalの改善が認められていた。(Eur Respir J 2010;35:821-829)。今回、オーストラリア、北米、ヨーロッパのIPF患者を対象に2つのPirfenidone無作為プラセボ対照試験(CAPACITY:study 004:pirfenidone 2403mg/日174例、1197mg/日87例、プラセボ174例、study 006:pirfenidone 2403mg/日171例、プラセボ173例)を実施し、pirfenidone投与群では72週後の努力肺活量(FVC)の減少率はプラセボ群(-12.4%)と比較してー0.8%と有意に少なかった。また、全死亡及びIPF関連死は有意に少なかった。また、pigenidone1179mg/day群の%FVCの平均差は、pifenidone2403mg/日、プラセボ群の中間値であった。副作用については、nausea,dyspepsia,vomiting,anorexia,photosensitivityが認められた。
    結論:pirfenidoneは副作用と効果のバランスがよく、IPFの治療の適切な選択肢となりうる。


  • シクロフォスファミドによる出血性膀胱炎について
    日時:平成23年5月13日
    発表者:門司祥子
    主な内容:シクロフォスファミドによる出血性膀胱炎の頻度は、経口投与の場合15〜30%である。発症までの期間は、用量依存性であり平均5年程度である。症状は、膀胱刺激症状、排尿時痛、下腹部違和感などがある。機序は、シクロフォスファミドの代謝産物であるアクロレインは尿中に排泄され、膀胱の移行粘膜上皮に直接作用し、粘膜の発赤や浮腫、潰瘍、壊死などが生じ、組織が虚血に陥り、創傷治癒を担う線維芽細胞や骨芽細胞が機能せず、毛細血管の新生・拡張が起こり易出血性になる。予防としては、十分な水分投与を行いアクロレイン濃度を下げることが重要である。治療はシクロフォスファミドの減量、水分投与による強制排尿、4%ホルマリン注入による上皮固定、高圧酸素療法がある。高圧酸素療法は、組織の虚血を改善する効果がある。高気圧下での100%酸素吸入により、末梢組織での酸素摂取量が増加し、線維芽細胞の増生促進、白血球の貪食能の上昇により創傷治癒が促進する。


  • Efficacy and Safety of Sirolimus in Lymphangioleiomymatosis
    日時:平成23年5月6日
    発表者:山ア啓
    主な内容:新しいリンパ脈管筋腫症に対するシロリムスの有効性と安全性について N Engl J Med 364;17 nejm.orgapril28,2011を参照にreviewした。肺機能障害があるLAM患者89例にシロリムスとプラセボの無作為の二重盲検化試験を行った。結果は、治療期間中の1秒量低下はプラセボ群で-12±2mL/month シロリムス群で1±2mL/monthで有意差を認めた。(P<0.001)他、努力性肺活量、機能的残気量、血清血管内皮増殖因子D(VEDF-D)濃度、QOL。機能的能力スコアが改善した。投与中止後、シロリムス群で肺機能が再び低下し、プラセボ群と同等となった。


  • 両肺多発結節影を呈した疾患
    日時:平成23年4月19日
    発表者:野口真吾
    主な内容:肺野多発結節影を呈する疾患は数多く存在する。今回若年男性に認められた肺野多発結節影を呈した疾患を経験したので、考察を含め発表した。症例提示を行った肺類上皮血管内皮腫は低悪性度の血管内皮腫瘍であり、国内で50例程度と稀な疾患である。診断時無症状であることが多く、また、画像所見の特徴として多発結節を呈することが多い。診断に関しては外科的生検にて確診されることが多く、BFにて診断された症例は調べ得た範囲にて3例のみであった。確立された有効な治療法がなく、無症状であれば経過観察とされる。若年者にて肺多発結節を呈した症例では本疾患も鑑別の一つと考える必要がある。


  • 東北地方太平洋沖地震の医療支援に参加して 
    日時:平成23年4月15日
    発表者:石本裕士
    主な内容:東北地方太平洋沖地震の被害は甚大であり、また広域に渡っている。日本赤十字社や全国の大学病院や医療機関も支援を行っているが、産業医科大学からも被災地への医療支援を継続的に実施している。4月7日から12日までの6日間、産業医科大学医療支援チームの一員として現地で活動させていただく機会を得た。医師として得難い経験を積ませていただくことになったと感じられ、また個人としても、日常生活のありがたさを再認識する機会を得ることになった。想像を絶する被害の爪痕が、いたるところに生々しく見られたが、同時に、少しずつ復興への歩みが前進しているということも感じることができ、人間の凄さも感じることができた。現地での活動報告を行い、被災者のみなさんに対してということはもちろん、北九州においてあらゆる意味で拠点病院とならなければならない大学病院に勤務する我々にできることやなすべきことに関して私見を述べた。


  • Gefitinib as palliative therapy for lung adenocarcinoma metastatic to the brain
    日時:平成23年4月8日
    発表者:長田周也
    主な内容:肺腺癌患者で画像的に脳転移を有しており、すでに化学療法を行われた患者を選択し、gefitinibを連日投与し、症状の改善、生存、毒性について検討した。症例数は40で、治療有効と判定されたのは、32%、病勢コントロールできていると判定されたのは、77%であった。45%の患者において、症状の改善を認めた。Progression-free survivalの中央値は9.0ヶ月で、overall survivalの中央値は15.0ヶ月であった。肺腺癌の脳転移症例について、gefitinib投与が症状緩和に有効である可能性が示された。
  • UCTDと間質性肺炎、特にNSIPとの関連に関して
    日時:平成23年4月1日
    発表者:石本裕
    主な内容:間質性肺炎の原因疾患として膠原病が存在する場合もあるが、間質性肺炎が先行し、後に膠原病が発症する、いわゆる肺野病変先行型の膠原病肺の存在も知られている。さらに、膠原病の診断基準は満たさないものの自己抗体が陽性であるような症例も多く、UCTD(undifferentiated connective tissue disease)という概念を満たす一群が存在し、特に特発性NSIPと考えられる症例の一部は、新たな疾患概念に含まれるという可能性が提案されていたりもする。浜松医科大学から報告されたNSIPにおけるUCTDの診断基準を満たす一群は、気管支肺胞洗浄にてリンパ球比率が多く、その予後は良好であるという事などを中心に概説を行った。


  • 好酸球の役割、悪性腫瘍と好酸球増加について
    日時:平成23年3月29日
    発表者:神崎未奈子
    主な内容:好酸球の最近のトピック、悪性腫瘍と好酸球増加について症例提示を交え発表した。
    1.好酸球の最近のトピック
    ・IL-5、IL-3GM-CSFが好酸球の増殖活性の役割を担っており、IL-5抗体が気管支喘息やHESの治療薬として注目されている。
    ・Chung Strauss syndromeのMPO-ANCA陰性例では好酸球による臓器傷害が主病態では。

    2.悪性腫瘍と好酸球増加
    ・頻度:0.8%〜26.3%
    ・原因として腫瘍産生性の好酸球増加
    ・胃・膵・甲状腺・前立腺・脳・肉腫・肺癌で好酸球増加がみられた。
    ・大細胞癌の症例報告ではIL-5が高値、甲状腺がん・骨肉腫の症例報告ではGM-CSFが高値を 示していた。
    3.考察
    ・気管支喘息をはじめとするアレルギー性疾患、そのほかIPFやmalignancyにおいて好酸球の役割についての解明が期待される。
    ・好酸球増多症の鑑別疾患の一つに悪性腫瘍を!
    ・腫瘍随伴症状として好酸球増多があれば、好酸球数やIL-5、GM-CSFが腫瘍マーカーとして の役割を果たすのでは。


  • Noninfectious Pneumonitis after Evrrolmus Therapy for Advanced Renal Cell Carcinoma
    Am J Respir Crit Care Med 182:396-403,2010
    日時:平成23年3月22日
    発表者:赤田憲太朗
    主な内容:mTOR阻害剤の副作用として非感染性肺炎が知られているが、進行腎細胞癌に対するエベロリムス投与による非感染性肺炎の頻度、画像パターン、マネージメントの評価を行った。
    方法は、エベロリムス投与を受けた群とプラセボ群416名で肺炎を起こした症例を分析した画像の分析はプロスペクティブに8週間毎に施行した。結果は、エベロリムス投与を受けた274名の内、37名(13.5%)が肺炎となった。(プラセボは9名)、9名(3.3%)はgrade1(症状なし)、18名(6.6%)はgrade2(日常生活に支障をきたさない)、10名(3.6%)はgrade3(日常生活に支障をきたす、もしくは酸素投与が必要である)。grade4(生命を脅かす)は0名であった。10名はgrade3の肺炎であり、そのうち5名は治療前より肺炎像を認めていた。37名の内20名(54%)は治療に反応した。20名はエベロリムス投与量の減量を行い、10名は治療を中止した。16名にステロイド投与を行った。エベロリムス投与において早期に肺炎を発見しマネージメントを行うことが重要である。


  • IPFの鑑別としてのMixed-dust pneumoconiosis(MDP)
    日時:平成23年3月18日
    発表者:吉井千春
    主な内容:IPFの診断に際して、肺に線維化を起こしうる種々の疾患を除外する必要がある。今回はそのうちMixed-dust pneumoconiosis(MDP)を取り上げた。MDPは、病理学的にはmixed dust fibrosis(MDF)主体の結節性病変からなるじん肺症である。これは珪肺の原因である結晶性遊離珪酸と種々の珪酸塩からなる混合粉じんが原因であるが、IPFとの鑑別が困難な症例も時々経験する。Chestに興味深い報告があったので紹介した。

    Chronic Interstitial Pneumonia in Silicosis and Mix-Dust Pneumoconiosis
    -Its Prevalence and Comparison of CT Findings-
    Arakawa H et al. Chest 2007;131:1870-1876

    背景:粉じん曝露のある人で慢性間質性肺炎(CIP)の増加が報告されている。
    Silicosisとmixed-dust pneumoconiosisにおけるCIPの有病率、及びIPFとこれらのじん肺の形態学的差について調べた。
    方法:CIPパターンを示す症例を確認するため、silicosisとmixed-dust pneumoconiosis患者243名のCTを検討し、62名のIPFと比較した。
    2名の観察者がそれぞれCT所見をscore化し、典型的と非典型的なIPFパターンに分類した。
    また11例のじん肺症例では画像と病理の対比を行った。
    結果:28名(11.5%)でCIPパターンを示した。そのうち7名が非典型的なIPFパターンでその他はIPFパターンだったが、11名は組織学的にじん肺と確認された。IPFと比較して、fibrosisの程度に差はなかったが、じん肺ではtraction bronchiectasisが少なく、胸膜直下の均一な濃度上昇域が多く、fibrosisがよりrandomに分布していた。病理学的には胸膜直下の均一な濃度上昇域はsilicotic noduleに富む密なfibrosisに一致していた。
    結論:CT上じん肺におけるCIPは約12%で、4分の1が非典型、それ以外は典型的なIPFパターンを示した。


  • EBUS-TBNA
    日時:平成22年12月24日
    発表者:石本裕士

    主な内容:
    子宮癌肉腫の肺、縦隔リンパ節転移の一例を紹介した。通常の気管支鏡検査では組織診断に至らなかったものの、EBUS-TBNA(超音波気管支鏡ガイド下針生検)により確定診断をつけることができた症例である。あわせてEBUS-TBNAの基本構造および基本手技に関して概説した。基本手技においては、介助者の技術が重要となる事や、検体の処理方法など具体的な点に言及し日常診療に役立つような内容となるようにスライド内容の一部をマニュアルとして頒布した。
文責:呼吸器内科学
更新日:2010年2月1日