産業医科大学 小児科学教室
教授
深野 玲司
産業医科大学医学部小児科学講座は、産業医科大学の開学と同じ1978年に開講しました。初代教授 山岸稔先生、二代目教授 白幡聡先生、三代目教授 楠原浩一先生からバトンを受け継ぎまして、2024年4月に第四代教授を拝命いたしました深野玲司と申します。
本邦では少子化が国全体の問題として大きく取り上げられるようになってから久しく、かつては「小児科医が過剰になる時代が訪れるかも知れない」と危惧されていたこともありました。実際に私が医師となった2000年と比較すると、経済成長を含む社会の成熟、多様性の時代も相まって出生数は80万人を下回っています。少子化が進む一方で、全国における小児科の医師数は20年前と比較すると約4,000人増加していますが、今日の日本においては小児科医が充足していると言えない状況にあります。この問題については、医学の進歩に伴って小児科においても専門性が向上し、小児科の中でもサブスペシャリティと呼ばれる領域が細分化、高度化していることが一因として考えられます。私たち小児科医は質の高い医療を提供することが求められており、その使命を果たさなくてはなりません。また、私たち小児科医は総合診療医としての能力も求められ、日本小児科学会は「小児科医はこどもの総合医である」と提唱しています。小児は成人の単純な縮小ではなく、小児特有の疾患が数多に存在することを小児科医の知識として有しておく必要があり、どのような小児科医においても総合医として子どもたちと家族に向き合い、最善の医療を提供しなければなりません。
私たちは「子どもたちの『開かれた未来』を守るために」を理念として掲げ、診療・研究・教育に取り組みます。全ての子どもたちと家族に寄り添って最善の医療を尽くし、日常診療の中で生じる課題や疑問を決して見逃さず、その課題と疑問について研究を行うことで、子どもたちの笑顔のためにより良い医療を提供できるphysician-scientistを目指します。
文責:小児科 更新日:2024 /05 / 07