Department of Laboratory and Transfusion Medicine, UOEH  



 ■輸血はお薬ではありません,生きた細胞の移植療法です!
  •  細胞移植なんていうと少し驚いてしまいますが,輸血に用いられる血液はヒト(同種)からの献血によって得られたもので人工的なものではありません.そしてその血液の中には赤血球や白血球,血小板などの多くの細胞が含まれており,これらの細胞の働きを期待して輸血は行われます.
  •  しかし,これらの細胞にはそれぞれに血液型があり,個人個人でその血液型は違っています,一卵性双生児以外に全く同じ血液型を持った人を探すことは困難です.
  • 私たち輸血部は他者の細胞を体内に投与する輸血療法を,「生きた細胞の移植療法」であると考えています.
 
 ■輸血用血液は善意の献血で得られる限りある資源です!
  •  輸血に用いられる血液は善意の献血により全国の日本赤十字血液センターで集められています.少子高齢化が進む日本では輸血を必要とする患者様が多くなっているにもかかわらず,献血をして下さる方は増えてはいません,特に若い方達の献血率は減少傾向にあります.
  •  このままでは,近い将来には輸血用血液の需給バランスが逆転する可能性もあります.そこで献血率の向上だけでなく,医療機関においても必要最少限の輸血を行い限りある資源(血液)の有効活用を目指しています.
 
 ■輸血は有効な治療ですが,副作用・合併症もあります!
  •  急性の出血の際には足らなくなった赤血球を輸血によって補って体の各細胞に酸素を供給し,血小板などを補って止血の効果を十分に発揮させるなど,輸血は大変有効な治療です。しかし、副作用・合併症もあります.
  •  例えばアレルギーなどの免疫反応や輸血後感染症です.
  •  血液センターでは献血者の問診や血液検査を行い輸血による感染の防止に努めています.特にウィルスに関しては遺伝子レベルで検出を行い可能な限り安全な血液を供給していますが,残念ながら感染初期の時点では検査では見つけられない期間があることも事実です.
  • したがって100%安全な輸血を行うことは,今の時点では困難です.
  • 輸血は必要最少限に止めることが重要であり、私たち輸血部は適正輸血の推進に努めています.
 
 ■理論上,最も安全な輸血は自己血輸血です!
  •  他人からの血液を輸血する同種血輸血に対し,患者様自身の血液を事前に貯血し必要時に輸血することを自己血輸血と言います.これは手術日まで余裕があり、患者様の全身状態が良好な場合に行われ,自分自身の血液を輸血するため理論的に最も安全な輸血と考えられています.
  •  ただしすべての患者様が自己血輸血を実施できるわけではありませんので,自己血輸血を希望される場合は主治医にご相談下さい.
 
 ■輸血の際には患者様に対し説明と同意を得ることが義務づけられています!
  •  医療機関には輸血用血液などを患者様に使用する際には,輸血を実施した場合の利点と危険性,しなかった場合の危険性,自己血輸血の可能性などについて,患者様(又はその家族の方)に理解しやすい言葉で適切に説明を行い同意を得ることが義務づけられています.ただし、緊急の場合には説明が後になることもありますのでご了承下さい.
  • なお,輸血に関して不明な点がありましたら,遠慮無く主治医にご相談下さい.
 
 ■患者様の輸血の記録は20年間保存され,必要に応じ追跡調査が行われます!
  •  輸血が行われた患者様の記録は法律により医療機関で輸血後20年間保存する事が義務づけられています.この制度は、万が一輸血による感染の危険が考えられた場合,患者様に感染の危険性をお伝えするためにおこなうものです.このため医療機関に保管された記録は必要に応じ関係機関に情報開示されることがあります.
  •  また,輸血後感染症を100%予防はできないため輸血を受けた患者様には輸血後に健康管理も含めて感染症検査を医療機関で行うことが必要とされています.
 
 ■患者様にとって安全で適正な輸血を実現することが輸血部の使命です!
  •  私たち輸血部は患者様に最適な血液を供給するとともに,限りある資源(血液)の適正使用を実現するため日々努力しております.
最後までご覧頂きありがとうございました.

| MENU |  

更新日:2007.5.14 文責:輸血療法科