センター概要
我が国は、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年にむけて、高齢者支援の担い手となる現役世代の人口減少が最大の課題となっています。企業の雇用拡大のために、女性の社会進出、外国人の雇用、定年の延長など、様々な環境整備が必要となります。雇用の安定のためには、労働者の働く意欲やパフォーマンスの向上が重要であり、産業医が重要な役割を果たさなければならないと考えています。また、高齢化に伴い疾病構造が大きく変化しており、労働者が抱える健康課題は複雑になってきています。
産業保健データサイエンスセンターでは、これらの多様で複雑な課題解決に向けた取り組みとして、医療健康情報基盤を構築しております。医療健康情報基盤は、診療実績や健診情報だけでなく勤怠データや健診データなども含まれており、企業の様々な健康課題に対し正確な現状把握を実現させるものであります。この基盤から得られる成果を、本大学の卒業生を含めた9万人以上の産業保健職や健康管理組合に提供することで、各企業における個別の産業保健活動とともに国全体の産業保健行政のさらなる発展に寄与することができると考えています。また、公共財としてのデータを整備することで、それを現場の産業保健職と研究者の協働による研究の実践に活用することが可能になります。このような研究活動も最終的には企業に還元されることとなり、企業の経営安定に連結することとなります。是非、我々の活動に賛同いただき、事業への参加に協力いただきたいと考えています。
また産業医などにとっての学術支援に寄与する、
新しい連結データベースを構築します。
近年、特定健診・特定保健指導制度の導入により、一部のデータフォーマットの標準化が進み、それらを活用した施策立案や検証が可能となってきました。しかし、労務情報など、未だ標準化されていないデータベースも多く、それらと健康データとを絡めた分析までにはいたっていないのが現状です。
我々は、レセプト、DPCデータ、健診データのシステム構築から分析までを経験した過去の実績から、そのノウハウを「健康データと(医療費情報・就労情報)の連結」という新しい連結データベースの構築に活かしたいと考えました。
本事業が、一般企業にとっては労働者の就労支援、生産性向上の施策立案に、および産業医などにとっては新しいデータベースを活用した学術支援に寄与できることを願っています。