産業医科大学 動物研究センター

動物実験管理規程


平成19年3月30日産医大規程第8号
(改正 平成27年7月30日規程第26号)


第1章 総則

趣旨等

第1条 この規程は、「動物の愛護及び管理に関する法律」(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)及び指針等に基づき、産業医科大学(以下「本学」という。)の動物研究センター(以下「センター」という。)及び施設等における動物実験が科学的観点、動物愛護の観点及び環境保全の観点並びに動物実験等を行う教職員・学生等の安全確保の観点から動物実験等を適正に行うため、必要な事項を定めるものとする。
2 動物実験等の実施に当たっては、法及び指針等に即し、動物実験等の原則である代替法の利用(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用することをいう。)、使用数の削減(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により実験動物を適切に利用することに配慮することをいう。)及び苦痛の軽減(科学上の利用に必要な限度において、できる限り動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないことをいう。)の3R(Replacement、Reduction、Refinement)に基づき、適正に実施しなければならない。

定義

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 「動物実験等」とは、本条第3号に規定する実験動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供することをいう。
(2) 「施設等」とは、センター以外の実験動物を恒常的に飼養、保管及び動物実験等を行う施設・設備(以下「飼養保管設備」という。)及びセンター以外の実験動物に実験操作(48時間以内の一時的保管を含む。)を行う動物実験室(以下「実験室」という。)をいう。
(3) 「実験動物」とは、動物実験等の利用に供するため、センター及び施設等で飼養又は保管している哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物(センター及び施設等に導入するために輸送中のものを含む。)をいう。
(4) 「動物実験計画」とは、動物実験等の実施に関する計画をいう。
(5) 「動物実験実施者」とは、動物実験等を実施する者をいう。
(6) 「動物実験責任者」とは、動物実験実施者のうち、動物実験の実施に関する業務を統括する者をいう。
(7) 「管理者」とは、センター長及び飼育保管設備の長(産業保健学部にあっては学部長、産業生態科学研究所にあっては研究所長、アイソトープ研究センターにあってはアイソトープ研究センター長)をいう。
(8) 「実験動物管理者」とは、管理者を補佐し、実験動物に関する知識及び経験を有する実験動物の管理を担当する者をいう。
(9) 「飼養者」とは、実験動物管理者又は動物実験実施者の下で実験動物の飼養又は保管に従事する者をいう。
(10) 「管理者等」とは、学長、管理者、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者をいう。
(11) 「指針等」とは、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18年環境省告示第88号)」、「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(平成18年文部科学省告示第71号)」、「動物の殺処分方法に関する指針(平成7年総理府告示第40号)」及び日本学術会議が策定した「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」をいう。

基本原則

第3条 この規程は、本学において実施される哺乳類、鳥類及び爬虫類を用いた全ての動物実験等に適用する。
2 動物実験責任者は、動物実験等の実施を本学以外の機関に委託等する場合、委託先においても、法及び指針等に基づき、動物実験等が実施されることを確認するものとする。


第2章 組織

学長の責務

第4条 学長は、本学における動物実験等の適正な実施並びに実験動物の飼養及び保管に関し、最高管理責任者として総括管理するものとする。
2 学長は、動物実験計画の承認、実施状況及び結果の把握、施設等の承認、教育訓練、自己点検・評価、情報公開を行うとともに、その他の動物実験等の適正な実施に努めるものとする。

動物実験委員会

4条の2 学長は、本学における動物実験等の適正な実施に関し必要な事項を審議するため、動物実験委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会の組織、運営等に関し必要な事項は、別に定める。


第3章 動物実験等の実施

動物実験計画の立案、審査、手続き

第5条 動物実験責任者は、動物実験等によって得られるデータの信頼性を確保する観点から、次の各号に掲げる事項を踏まえて動物実験計画を立案し、産業医科大学動物実験計画承認申請書(以下「実験計画申請書」という。)(様式1)を学長に提出し、承認を得るものとし、当該計画の実施期間は2年(当該実験を開始した日の翌年度の末日)を限度とする。
(1) 研究の目的、意義及び必要性に関すること。
(2) 代替法の利用により実験動物を適切に利用することを検討すること。
(3) 実験動物の使用数削減のため、動物実験等の目的に適した実験動物種の選定、動物実験成績の精度と再現性を左右する実験動物の数、遺伝学的及び微生物学的品質並びに飼養条件を考慮すること。
(4) 苦痛の軽減により動物実験等を適正に行うこと。
(5) 苦痛度の高い動物実験等、例えば、致死的な毒性試験、感染実験、放射線照射実験等を行う場合は、動物実験等を計画する段階で人道的エンドポイント(実験動物を激しい苦痛から解放するための実験を打ち切るタイミングをいう。)の設定を検討すること。
2 学長は、動物実験責任者から前項の申請があったときは、委員会の審査を経て、その実験計画を承認するか否かの決定を行うものとする。
3 学長は、前項の規定による決定を行ったときは、速やかに当該動物実験責任者に通知するものとする。
4 動物実験責任者は、動物実験計画について学長の承認を得た後でなければ、実験を行うことができない。
5 学長は、動物実験実施者から動物実験が倫理的に適正であることの証明書の発行を求められた場合は、委員会の審査を経て、証明書を発行するものとする。

実験操作

第6条 動物実験実施者は、動物実験等の実施に当たっては、法及び指針等に即するとともに、次の各号の事項を遵守するものとする。
(1) 適切に維持管理されたセンター又は施設等において動物実験等を行うこと。
(2) 動物実験計画書に記載された事項及び次に掲げる事項を遵守すること。
ア 適切な麻酔薬、鎮痛薬等の利用
イ 実験の終了の時期(人道的エンドポイントを含む。)の配慮
ウ 適切な術後管理
エ 適切な安楽死の選択
(3) 安全管理に注意を払うべき実験(物理的、化学的に危険な材料、病原体、遺伝子組換え動物等を用いる実験)については、関係法令等及び本学における関連する規程等に従うこと。
(4) 物理的、化学的に危険な材料又は病原体等を扱う動物実験等について、安全のための適切な施設や設備を確保すること。
(5) 実験実施に先立ち必要な実験手技等の習得に努めること。
(6) 侵襲性の高い大規模な存命手術に当たっては、経験を有する者の指導下で行うこと。
2 動物実験責任者は、動物実験計画を終了したときは、動物実験結果報告書(様式2)により、成果等について学長に報告しなければならない。
3 学長は、前項の報告を受け、必要に応じ適正な動物実験等の実施のための改善措置を講ずるものとする。

実験計画の変更又は継続

第7条 第5条第2項の規定に基づき、動物実験計画の承認を得た動物実験責任者は、当該実験計画の内容を変更するとき、又は当該実験計画を継続するときは、その都度、実験計画申請書を学長に提出し、承認を得るものとし、継続申請をする場合は、動物実験経過報告書(様式3)を併せて提出しなければならない。
2 第5条第2項の規定に基づき、動物実験計画の承認を得た動物実験責任者は、実験従事者を変更するときは、動物実験実施者変更届出書(様式4)を学長に提出しなければならない。
3 第5条第2項、第3項及び第4項の規定は、動物実験計画の内容の変更又は継続申請について準用する。

実験の中止

第8条 動物実験責任者は、動物実験計画を中止したときは、動物実験中止報告書(様式5)により学長に報告しなければならない。


第4章 施設等

飼養保管設備の設置

第9条 本学に飼養保管設備を設置(変更を含む。)するときは、当該設備の管理者は飼養保管設備設置承認申請書(様式6)を学長に提出し、承認を得なければならない。
2 学長は、前項の申請書を受けたときは、委員会の審議を経て、飼養保管設備の設置を承認することの決定を行うものとする。
3 学長は、前項の規定による決定を行ったときは、速やかに管理者に通知するものとする。
4 管理者は、学長の承認を得た飼養保管設備でなければ、当該飼養保管設備での飼養若しくは保管又は動物実験等を行わせることができない。

飼養保管設備の要件

第10条 飼養保管設備については、次の各号に掲げる要件を満たさなければならない。
(1) 適切な温度、湿度、換気、明るさ等を保つことができる構造等であること。
(2) 動物種や飼養保管数等に応じた飼養設備を有すること。
(3) 床や内壁などが清掃、消毒等が容易な構造で、器材の洗浄や消毒等を行う衛生設備を有すること。
(4) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有すること。
(5) 臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。
(6) 実験動物に関する知識及び経験を有する実験動物管理者が配置されていること。

実験室の設置

第11条 本学に実験室を設置(変更を含む。)するときは、当該室を管理する所属長は実験室設置承認申請書(様式7)を学長に提出し、承認を得なければならない。
2 学長は、前項の申請書を受けたときは、委員会の審議を経て、実験室の設置を承認することの決定を行うものとする。
3 学長は、前項の規定による決定を行ったときは、速やかに所属長に通知するものとする。
4 所属長は、学長の承認を得た実験室でなければ、当該実験室での動物実験等を行わせることができない。

実験室の要件

第12条 実験室については、次の各号の要件を満たさなければならない。
(1) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有し、実験動物が室内で逸走して捕獲しやすい環境が維持されていること。
(2) 排泄物や血液等による汚染に対して清掃や消毒が容易な構造であること。
(3) 常に清潔な状態を保ち、臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。

維持管理及び改善

第13条 管理者又は所属長は、実験動物の適正な管理並びに動物実験等の遂行に必要な施設等及びその設備の維持管理及び改善に努めなければならない。

施設等の廃止

第14条 管理者又は所属長は、施設等を廃止する場合は、施設等(飼養保管設備・実験室)廃止届(様式8)を学長に提出するとともに、動物実験責任者と協力し、飼養保管中の実験動物を他の飼養保管設備に譲り渡すよう努めなければならない。


第5章 実験動物の飼養及び保管

マニュアルの作成

第15条 管理者及び実験動物管理者は、飼養保管のためのマニュアルを定め、動物実験実施者及び飼養者に周知するものとする。

実験動物の健康及び安全の保持

第16条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、法及び指針等を遵守し、実験動物の健康及び安全の保持に努めなければならない。

実験動物の導入

第17条 管理者は、実験動物の導入に当たっては、関連法令や指針等に基づき適正に管理されている業者又は機関より導入するものとする。
2 動物実験責任者は、実験動物の導入に当たっては、センター又は飼養保管設備が実施する検疫を受けなければならない。
3 実験動物管理者は、実験動物の飼養環境への順化、順応を図るための必要な措置を講じなければならない。

給餌・給水

18条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験動物の生理、生態、習性等に応じて、適切に給餌・給水を行わなければならない。

健康管理

19条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験目的以外の傷害や疾病を予防するため、実験動物に必要な健康管理を行わなければならない。
2 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験目的以外の傷害や疾病にかかった場合には、実験動物に適切な治療等を行わなければならない。

異種又は複数動物の飼育

20条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、異種又は複数の実験動物を同一施設内で飼養、保管する場合、その組み合わせを考慮した収容を行わなければならない。

記録の保存及び報告

21条 管理者は、実験動物の飼養及び保管の適正化を図るため、実験動物の入手先、飼育履歴、病歴等に関する記録を整備及び保存するものとする。
2 管理者は、年度ごとに飼養保管した実験動物の種類と数等について、学長に報告するものとする。

譲渡等の際の情報提供

22条 管理者等は、実験動物の譲渡に当たっては、その特性、飼養保管の方法、感染性疾病等に関する情報を提供するものとする。

輸送

23条 管理者等は、実験動物の輸送に当たっては、指針等を遵守し、実験動物の健康及び安全の確保、人への危険防止に努めなければならない。


第6章 安全管理

危害防止

24条 管理者は、逸走した実験動物の捕獲の方法等をあらかじめ定め、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者に周知するものとする。
2 管理者は、人に危害を加える等の恐れのある実験動物がセンター外又は施設等外に逸走した場合には、速やかに関係機関へ連絡しなければならない。
3 管理者は、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者が、実験動物由来の感染症及び実験動物による咬傷等に対して予防に努めるとともに、発生した場合には必要な措置を迅速に講じなければならない。
4 管理者は、毒ヘビ等の有害動物の飼養又は保管をする場合は、人への危害の発生の防止のため、指針等に基づき必要な措置を講じなければならない。
5 管理者は、実験動物の飼養や動物実験等の実施に関係のない者が実験動物等に接触することがないように必要な措置を講じなければならない。

緊急時の対応

25条 管理者は、地震、火災等の緊急時に執るべき措置の計画をあらかじめ作成し、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者に周知するものとする。
2 管理者は、緊急事態発生時において、実験動物の保護、実験動物の逸走による危害防止に努めなければならない。


第7章 教育訓練

26条 学長は、動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者に対して、動物実験等の適正な実施のため、次の各号に掲げる事項について教育訓練を委員会の協力の下に行うものとする。
(1) 関係法令、指針、本学の定める規程等
(2) 動物実験等の方法に関する基本的事項
(3) 実験動物の飼養保管に関する基本的事項
(4) 安全確保、安全管理に関する事項
(5) 人獣共通感染症に関する事項
(6) 施設等の利用に関する事項
(7) その他、適正な動物実験等の実施に関する事項
2 動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者は、教育訓練を必ず受けなければならない。
3 前項に定める教育訓練は、5年以内ごとに受講しなければならない。
4 学長は、教育訓練の実施日、教育内容、講師及び受講者名を記録し、保存するものとする。


第8章 自己点検・評価・検証

27条 委員会は、学長の諮問に応じて、本学における動物実験等の法及び指針等への適合性に関し、自己点検・評価を行うものとする。
2 委員会は、管理者、動物実験実施者、動物実験責任者、実験動物管理者並びに飼養者等に自己点検・評価のための資料を提出させることができる。
3 委員会は、前項の自己点検・評価が終了したときは、その結果を学長に答申するものとする。
4 学長は、自己点検・評価の結果について、学外有識者による検証を受けるものとする。


第9章 情報公開

28条 学長は、本学における動物実験等に関する情報について、委員会の意見を聴いたうえで、定期的に公開するものとする。
2 動物実験等に関する情報の公開方法等については、別に定める。


第10章 補則

準用

29条 第5条から第8条まで及び第15条から第25条までの規定は、第2条第3号に定める実験動物以外の動物を使用する動物実験等について準用する。

雑則

30条 この規程に定めるもののほか、動物実験等の適正な実施に関し必要な事項は、別に定める。
附 則
1 この規程は、平成19年4月1日から施行する。
2 産業医科大学動物実験及び飼育倫理委員会規程(平成12年産医大規程第7号)は、廃止する。
附 則(平成27年7月30日規程第26号)

施行期日

1 この規程は、平成27年8月1日から施行する。

施行日前の手続等に関する暫定措置

2 この規程の施行日前に平成27年度分の動物実験計画の申請、実験結果報告、実験計画の変更、実験従事者の変更、実験計画の中止、飼養保管設備の設置申請、実験室の設置申請及び施設等の廃止等の所定の手続を既に行っているものに関しては、この規程による改正後の産業医科大学動物実験管理規程(以下「改正後の規程」という。)第5条から第9条まで、第11条及び第14条の規定に基づいて行った手続として取り扱うものとする。
3 平成27年4月1日から同年7月31日までの間に実施された教育訓練を受講した者に関しては、改正後の規程第26条の規定に基づく教育訓練を受講したものとして取り扱うものとする。
様式(省略)

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