患者の皆様へ

乳腺・内分泌グループ

産業医科大学 消化器・内分泌外科
乳腺・内分泌グループ
乳腺疾患

腫瘍径が3〜4cm以下で術後の放射線療法が可能な方には、乳房温存術を行っています。温存術の際には内視鏡を用いており、腋窩と乳輪の創だけで切除できますので、従来の手術に比べると整容性に優れています。しこりが大きくて全摘が免れない方には、形成外科の協力のもと乳房再建用組織拡張器を用いた乳房再建を施行しています。約半年後に人工乳房(シリコン)に入れ替えますが、自家組織による再建をご希望の方には、同じく形成外科の協力のもと広背筋脂肪弁や腹直筋脂肪皮弁を用いた再建も可能です。明らかな腋窩リンパ節転移のない方には、センチネルリンパ節生検を行っています。センチネルリンパ節が転移陰性であれば腋窩リンパ節郭清を省略し、上肢のリンパ浮腫や知覚障害を軽減できます。色素法(インジゴカルミン)とRI法(放射性同位元素: 99m Tc)を併用することで、ほぼ確実にセンチネルリンパ節を同定できます。初期全身化学療法(術前化学療法)を積極的に導入しており、生存率を向上させるのみならず、腫瘍が大きくて温存術が不可能だった方が温存術可能になることもあります。

甲状腺・副甲状腺疾患

甲状腺癌や濾胞性腫瘍、バセドウ病、副甲状腺機能亢進症に対する手術を行っています。術中に反回神経を同定・温存するため、表面電極付挿管チューブを用いたNerve Integrity Monitor (NIM)を導入し、麻酔科の協力のもと同神経損傷の回避に努めています。また副甲状腺機能亢進症の手術の際には、異常腺の遺残による機能亢進症の持続や再発を防ぐため、半減期が約4分の副甲状腺ホルモン(intact-PTH)を術中に迅速測定して、異常腺の摘出がより確実になるようにしています。

今後も地域の期待に応えるべく、さらに努力して参りたいと思います。

文責 勝木 健文(2016年1月14日)

文責:第1外科学教室 更新日:2016年05月18日