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ご挨拶

産業医科大学麻酔科学 教授 堀下 貴文

 2020年6月1日より、産業医科大学麻酔科学教室 教授を拝命しました、堀下貴文です。当教室は昭和53年に初代教授 重松昭生先生によって開講され、以降、第二代教授 佐多竹良先生、第三代教授 川ア貴士先生によって引き継がれてきました。産業医科大学病院の理念である、患者第一の医療を行い、科学的根拠に基づく安全かつ質の高い医療を提供し、人間愛に徹した優れた産業医と医療人を育てること、に基づき、歴代の教授、諸先輩方のお力添えにより、麻酔の分野において診療・教育・研究に貢献してきました。

診療について

 産業医科大学病院は、昭和54年の診療開始以降、北九州唯一の特定機能病院として高度医療を提供し続け、また、地域がん診療連携施設拠点病院としても北九州医療圏で最も多くのがん診療を行うまでに発展してきました。手術部門においてもがん患者の手術を中心に多くの手術が行われ、手術症例数は年間7,000件を超え、そのうち麻酔科管理症例は約5,000件にのぼります。高齢化と医療の進歩に伴い、多くの併存症を持つ高齢者などリスクの高い麻酔管理を行う機会も増加してきましたが、麻酔科学領域の医学の進歩によって、麻酔管理の安全性も向上してきました。今後も当院における地域の皆様方の診療に貢献すべく、より安全な麻酔管理を目指して教育と診療に邁進していきたいと思っています。また、麻酔科学の基本は手術中の麻酔管理及び周術期管理でありますが、そこで培われた知識・技術を持つ麻酔科医は、集中治療、救急医療や疼痛緩和医療などの分野でも活躍されています。当教室においても今後も幅広い領域で活躍できる医師の育成にも貢献したいと思っています。

研究について

 大学病院における診療に加え、大学では研究も重要な活動の一つですが、麻酔科学の基礎は全身管理でありますので、呼吸器系・循環器系・脳神経系をはじめ、その研究分野も多岐にわたります。当教室では麻酔薬や鎮痛薬の薬理作用、痛みに関する基礎研究を以前より行ってまいりました。基礎研究と臨床業務はつながりにくい部分はありますが、基礎研究を行うことによって、臨床的な問題の背景にある科学的な根拠の理解が深まり、基礎科学と臨床が一体となった科学的思考の形成につながります。今後も基礎研究を通じて、科学的な思考を持って診療を行える質の高い臨床医、麻酔科医の育成に励みたいと思っています。

産業医の養成について

 当大学は産業医を育成する役割を担っており、これまでにも当教室からも多くの産業医を輩出しております。麻酔科医は全身管理を通じて深い生理学の理解と幅広い疾患の知識が身についていますので、産業医として活躍する上でも多いに役立つ能力を持っています。今後も麻酔科医としての特徴を持つ産業医の養成に貢献したいと考えています。

 診療と教育の充実、基礎研究活動や産業医の養成など、当教室が果たすべく役割は多いと思いますが、諸先輩方の御協力をいただきながら、医局員とともにさらなる教室の発展と地域への貢献を目指して、今後も努力して参ります。

文責:産業医科大学 麻酔科学教室
更新日:2020年7月1日

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