ご挨拶

産業精神保健学研究室のホームページにアクセスいただきありがとうございます。2020年(令和2年)7月に当研究室に着任をしました江口尚です。どうぞよろしくお願いします。

当研究室は1992年(平成4年)4月に設置されました。初代教授の永田頌史先生(名誉教授)は、九州大学心療内科のご出身で、国立精神・神経センターから着任され、心療内科領域の研究に留まらず、メンタルヘルス改善意識調査票(MIRROR)の開発をされるなど産業ストレス研究に大きく貢献され、当研究室の礎を築かれました。2010年(平成22年)4月に永田先生の後任として、本学の3回生の卒業で、大手鉄鋼メーカーや外資系大手人材派遣企業で専属産業医経験をされながら産業精神保健研究やアルコール問題に関する研究をされた後、当研究室の准教授を務められていた廣尚典先生(名誉教授)が着任されました。廣先生は、専属産業医としての実務経験を活かされ、(一財)あんしん財団との共同研究や、歴史ある産業精神衛生研究会の代表世話人としての活動を通じて、さらに研究室を発展させられました。その結果、当研究室は、多くの産業医を育成し、産業精神保健に関して日本を代表する研究室となり現在に至っています。

教育

当研究室では、医学部、産業保健学部、大学院での教育に加えて、社会学系専門医、産業衛生専門医を目指す医師への教育も行っています。産業医科大学が提供する社会医学系専門医研修プログラムは、私はその内容は全国でもトップクラスと自負していますが、本学卒業生だけではなく、他学卒業生にも門戸を開いています。さらに、当研究所内には、研修プログラムに在籍する修練(専攻)医が主催する勉強会などもあり、同じ世代、志を持つ修練(専攻)医が、本学卒業生、他学卒業生の別なく切磋琢磨できる環境も大切な魅力の一つだと思います。
大学院教育は、医師だけではなく、医療職、非医療職に関係なく産業精神保健の学びを深めたい方々を幅広く受け入れています。研究テーマは、それぞれの希望に応じて対応したいと考えています。当研究室で実施している研究課題に関わっていただいても良いですし、まったくのオリジナルな内容でも、構いません。

研究

職場のメンタルヘルスは、産業医学、精神医学、心身医学といった医学的な領域にとどまらず、心理学、社会学、法律学、経営学、経済学など学際的な分野です。その中で、当研究室は、産業保健の現場に役立つ研究を常に意識し、職場の心理社会的要因、職場環境改善、精神障害者の就労支援、治療と仕事の両立支援、中小企業の産業保健、長時間労働とメンタルヘルス、WIN・MIRRORといった職場環境改善のツールの開発などを研究テーマとして、職場のメンタルヘルス研究における我が国トップクラスの水準を目標にしています。最近は、新型コロナウイルス感染症の産業精神保健への影響についても研究を開始しています。研究で得られた知見は、本学が提供する産業医学基本講座をはじめとする産業医向けの各種研修会で還元していきたいと考えています。

実務

私自身は、9年間の専属産業医としての経験を有していますが、産業医としての初期の段階の研修では、臨床と同様に、適切な指導医の下での修練が重要と考えています。当研究室では、産業医経験の豊富な指導医の資格をもつスタッフと、心理療法や職場環境改善等の職場のメンタルヘルスの経験が豊富な臨床心理士・公認心理師・精神保健福祉士の資格持つスタッフが在籍をしており、修練医に対して、事例検討の場や、個別の相談などを通じたフィードバックを得られる体制を整えています。
臨床医のトレーニングは、大学病院と市中病院をローテートしながら臨床と研究のハイブリッドで進められます。私は、産業医や産業看護職、産業保健で働く心理職などの産業保健専門職のトレーニングも同様と考えます。これからの産業保健専門職には、臨床と同じようにエビデンスを出すことが求められます。そのためには、早い段階から研究の素養を身に着ける必要があり、私は、そのことが我が国の産業保健のレベルを世界水準に引き上げることにつながると考えています。当研究室では、産業精神保健をテーマに、研究と実践のできる産業保健専門職の育成の場を提供したいと考えています。

新型コロナウイルス感染症は産業精神保健に留まらず、働き方そのものに100年に1度の大きな影響を与えています。現在、当研究室は、このような社会の変化に対応しつつ、産業精神保健に関する研究、教育、実務について、これまでの伝統を引き継ぎ、さらに発展させるべく、一緒に盛り上げてくれる方を求めています。当研究室に関心を持たれた方は是非、お問い合わせください!

産業医科大学産業生態科学研究所産業精神保健学研究室

ご挨拶

文 責:産業精神保健学
更新日:2020年12月10日

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