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ストレス関連疾患予防センターについて

ストレス関連疾患予防センター
センター長 森本 泰夫

 平成28年に産業医科大学にストレス関連疾患予防センター(Center for Stress-related Disease Control and Prevention, CSDC)が設置されました。その目的は、平成26年11月に施行された過労死等防止対策推進法に基づく「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成27年7月閣議決定)の中で、産業医科大学は「働きやすくストレスの少ない職場環境の形成に資するために…産業医をはじめとする産業保健スタッフ等の人材育成等の充実・強化を図る」と記されたことを受けて、過労死等防止対策を効果的に推進する人材育成を行うことです。

 

 CSDCでは、過労死等予防に関する科学と政策に関するこれまでの知見をまとめるとともに新たな研究も進め(研究・教材開発)、産業医学の専門医に最新の知識を付与して人材育成の講師として養成します(特命講師養成)。そして、これらの講師が一般の産業医、産業看護職、人事担当者等を対象に過労死等防止対策に関する研修や情報発信(研修・人材育成)を行うための支援も行っています。

 

 近年、産業医学分野の国際誌には長時間労働や職場の心理的ストレスに関する大規模疫学研究の成果が公表されています。一方、わが国では労働安全衛生法が過重労働対策やストレスチェックといった産業医が中心となる政策を導入しましたが、労働時間については男性の8人に1人は週60時間を超えていて先進国の中でも長い状態が継続しており、労働時間法制そのものの改正も検討されています。

 

 今後、CSDCでは、このような社会動向もよく注視しながら、長時間労働や職場の心理的ストレス、職業性ストレスによる生理的影響、ストレス反応の個人差や評価、職場における循環器疾患と精神障害の診断と予防、働く人々の睡眠と休養、過重労働に関する企業の法的リスクといった多面的な課題に取り組み、学術と現場活動の両面において科学的探究と情報発信を推進します。そして、産業医科大学ならではの教材開発と人材育成を行うことによって国による過労死等防止対策に協力し支援していきます。

ストレス関連疾患予防センター
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