プログラム


日程表


プログラム

 8月8日(木)

9:50 〜 10:00 開会挨拶
10:00 〜 12:15 TEM SEM講義(基礎編1)
「透過電子顕微鏡の構造と基本操作」
 濱元 千絵子 先生(日本電子株式会社 EMアプリケーション部 Biologyグループ)

 生物試料の微細構造観察だけでなく各種材料評価のための分析装置としても透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope: TEM)は多用されている。以前はTEMの操作は敷居が高かったが、最近の装置はコンピュータ化が進み初心者でも簡単に扱えるようになったため、容易にデータを取得することができるようになった。しかし、より良いデータを取得するためには観察目的に応じた調整が必要であり、TEM本体の仕組みを理解することが大切である。本講義では、最新のTEMの構造や基本操作について丁寧に解説する。

「SEMの基礎」
 宮木 充史 先生(株式会社 日立ハイテクノロジーズ)

 走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)について、像形成の原理、電子銃や対物レンズの種類をはじめとした装置の構造、観察に用いる信号の発生メカニズムと得られる像情報の違いについて簡単に紹介します。また、実際の観察において設定するパラメータについても、各パラメータの設定変更が取得画像に対しどのように影響するかなど、生物/非生物に関わらず良好な画像を得るための参考となる情報を紹介します。
 
「生物試料作製の基礎」
 横山 満 先生(産業医科大学 共同利用研究センター)

 電子顕微鏡像の解釈には、試料作製の処理法を理解した上で解読する必要があります。さもなければ全く異なった解釈をする可能性もでてきます。今回は一般的な基本に沿った試料作製の紹介を行い、それに加えて一つの例を用いて各種法による像の違いを紹介したいと思います。 
12:15 〜 12:30 休憩
12:30 〜 13:00 ランチョンセミナー
13:00 〜 13:15 休憩
13:15 〜 14:50 TEM SEM講義(基礎編2)
「化学固定機序」
 朴 杓允 先生(神戸大学 研究基盤センター)

 電顕従事者の養成は難しいことが知られています。従事者は普通経験律を基に育成されてきました。経験律による技術習得は分かりやすくとも試料作製に失敗すると事態に対応することが出来ません。応用力の確保には、固定機序・脱水反応・樹脂重合反応、電子染色機序等の原理的な理解が必要になります。ここでは化学固定剤(グルタルアルデヒド・ホルムアルデヒド・四酸化オスミウム)と試料の間の固定機序についてお話します。

「微生物の電子顕微鏡観察」
 小川 みどり 先生(産業医科大学 医学部 微生物学)
 西村 伸一郎 先生(KMバイオロジクス株式会社)

・細菌やウイルスなどの微生物は非常に小さく、微細構造を観察するには電子顕微鏡が必要不可欠です。試料作製法は基本的には他の試料と同様ですが、浮遊するために遠心や寒天包埋などの工夫が必要です。また、感染性についても考慮しなくてはなりません。今回は、TEMSEMの電子顕微鏡写真を提示しながら、電子顕微鏡を用いた微生物の観察について紹介します。
・溶液中に浮遊しているウイルス・細胞分画・蛋白などをTEMSEMで簡便に観察できるネガティブ染色法について追加解説します。サンプルの取り扱い上の注意や事前準備(観察したい対象物の精製など)について簡単に紹介します。
14:50 〜 15:05 休憩
15:05 〜 17:20 TEM SEM講義(基礎編3)
「電子顕微鏡観察のための凍結技法〜生体高分子から組織まで」
 伊藤 喜子 先生(ライカ マイクロシステムズ株式会社)

 クライオ電子顕微鏡法で用いられる蛋白質やウイルスに向けた生体高分子のための急速凍結法の1種である氷包埋法から、細胞組織の観察のための高圧凍結技法まで、電子顕微鏡観察のための凍結技法は、その観察対象に合わせて多くの手法が細かく開発され応用されています。ここでは、電顕のための凍結とは?凍結したら次はどうするの?何が観察できるの?などを、人気の手法である氷包埋法と高圧凍結法の2種を中心に紹介します。

「エネルギー分散型X 線分光分析装置(EDS)について」
 菱山 慎太郎 先生(ブルカージャパン株式会社)

 走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)に搭載し、これらの装置より励起された電子線を試料に照射する事により、発生した特性X 線を用いることにより簡便に試料に含有されている元素を同定する事が可能な元素分析装置である、エネルギー分散型X 線分光分析装置(EDS)に関して、ご紹介をさせていただきます。

「蛋白等の物質局在を同定する免疫電子顕微鏡法」
 澤口 朗 先生(宮崎大学 医学部 解剖学講座 超微形態科学分野)

 組織や細胞内における物質の局在を電子顕微鏡レベルで可視化する代表的な方法には、DAB反応に基づく「包埋前染色法」と、直径が約10 nmの微細な金粒子と結合した特異抗体を用いて特定の物質を標識する「包埋後標識法」がある。包埋後標識法は、親水性樹脂の超薄切をはじめとする高度な技術を必要とするが、包埋前染色法と比べて分解能や定量性に優れる。本講義では代表的な2つの免疫電子顕微鏡法について、実例を挙げながら概説する。
17:20 〜 17:50 質問コーナー


 8月9日(金

9:30 〜 10:00 実習班分け等
10:00 〜 11:30 TEM SEM実習1(※)
11:30 〜 11:45 休憩
11:45 〜 12:15 ランチョンセミナー
12:15 〜 13:00 休憩
13:00 〜 14:30 TEM SEM実習2(※)
14:30 〜 15:00 休憩
15:00 〜 16:30 TEM SEM実習3(※)
17:00 〜 18:30 懇親会
(※) TEM SEM実習(1〜4)は、A〜Jの中から、4つを受講していただく予定です。
    第1〜4希望の実習と、希望者多数の場合に備え予備としてもう1つ、計5つを選択してください。
    ただし、Gを選んだ方はHとセットになります。Hは単独でも選択可能です。
A.灌流固定
  実験動物(マウスまたはラット)を用いて、麻酔から固定までを行う。
B.浮遊細胞の処理
  培養細胞や血液などの電顕用試料作製法を実習する。
C.ウイルス・細菌等の電顕観察
  細菌・ウイルスの固定から電顕観察までを行う。
D.TEM試料作製(固定〜包埋)
  組織の切り出しから脱水、樹脂包埋までの一連の流れを実習する。
E.ウルトラミクロトーム操作法
  ガラスナイフ作製と樹脂包埋されたTEM試料のトリミング、光顕切片作製を行う。
  ウルトラミクロトームを使用し、超薄切片作製から電子染色までを実習する。
F.透過電子顕微鏡の使い方
  良い写真を得るための実技を行う。電子顕微鏡の撮影条件など。
G.SEM試料作製(H.卓上SEM観察とセットになります)
  組織の切り出しから凍結割断、凍結乾燥、コーティング処理までを行う。
H.卓上SEM観察
  卓上型SEMで観察を行う。必要に応じて、X線元素分析を行う。
I.分析電顕
  透過電顕によるX線元素分析を行う。
J.免疫電顕
  免疫電顕の手技の一部を体験する。



 8月10日(土)

9:00 〜 10:30 TEM SEM実習4(※)
10:30 〜 10:50 休憩
10:50 〜 12:20 TEM SEM講義(応用編)
「透過型電子顕微鏡写真からの3次元構造の構築とその意味」
 ア 寛子 先生(九州工業大学 情報工学研究院 生命情報工学研究系)

 透過型電子顕微鏡写真は,投影像であるが故に,その2次元の画像は,生物のもつ立体構造の情報をも含む。今回は,2次元画像からその立体構造情報を再構築するための原理と手法の紹介を行うと共に,その再構成画像がもつ意味付けおよびその画像処理を例を挙げながら,概説する。この手法の現状の限界と可能性にも触れ,参加者と意見交換することでなにが望まれているかを議論したい。

「CLEMワークフロー」
 太田 啓介 先生(久留米大学 医学部 先端イメージングセンター)

 光学顕微鏡像と電子顕微鏡像で本当に同じ物を見ているのか否か、分解能や試料作成の違いから、その評価が難しい場合がある。光電子相関顕微鏡法CLEMは光顕・電顕で同じ試料を観察することにより、そのギャップを乗り越える技術である。しかし、同一試料の観察には、固定や試料作成など、どの様なワークフローを選ぶかが重要である。ここでは、一般的なワークフローと注意点・技術的なボトルネックと解決法などについて紹介する。
12:20 〜 質問・個別対応