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特色ある医療内容

専門外来

外来診療では週3回の初診外来、再診外来に加えて専門外来を設けております。
また手術などの入院診療も積極的に行っております。

中耳外来

慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、耳硬化症、中耳奇形・外傷などによる難聴の診断・治療を行っています。耳の手術において、より負担の少ない経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES)が注目を浴びております。通常行われる鼓室形成術は耳の後ろを大きく切開し、外耳道の皮膚を大きく剥がしてから顕微鏡下で手術を行います。TEESでは耳の穴から内視鏡を挿入して必要な手術操作を行います。耳の中の皮膚切開で行うため傷もまったく目立たず、術後の痛みや体の負担も少なく、入院期間の短縮も可能です。大人だけでなく、小さいお子さんやお子さんを持つご両親にも好評です。産業医科大学病院の診療圏も含めて九州で本格的に取り組む施設はこれまでありませんでしたが、当科はTEESの専門施設であり広く紹介を受けており積極的に取り組んでいます。さらに、鼓膜穿孔に対して薬剤を用いた鼓膜再生療法手術も行っております。この方法はTEESの中でも耳の中の皮膚も切らずにより負担が少なく手術することができ、かつ手術成績(鼓膜再生率)も良好です。また、学校検診等で発見されることが多い中耳奇形に対しては、中耳CTや聴覚機能検査を駆使した質的診断を行い、夏季、冬季、春季などの学業休暇期間中を利用した入院を設定して手術を施行しています。側頭骨骨折等の外傷による伝音難聴や顔面神経麻痺についても中耳CT、聴覚機能検査、顔面神経機能検査、平衡機能検査によって、保存的治療か手術治療(鼓室形成術、顔面神経減荷術など)かの適応を判定し治療を行っています。顔面神経麻痺では、ST(言語聴覚士)による急性期・回復期・生活期でのリハビリテーションや、病的共同運動を予防するためのバイオフィードバック療法も取り入れております。広範囲に進展した真珠腫性中耳炎、側頭骨腫瘍、顔面神経麻痺に対する手術などの内視鏡下ではできない手術は顕微鏡下で行います。患者さんごとに最良の手術法を検討いたします。

補聴器・耳鳴外来と聴覚外来

難聴はコミュニケーションにおける困難さの原因となるだけではなく、うつ病、認知症、社会的孤立、収入減少、転倒などさまざまな身体的・社会的問題の発生リスクを高めることが知られています。 本邦における検討では、認知症の発症に関与する修正可能な因子(全体の38.9%)の中で、中年期以降の難聴は6.7%を占め、最大の危険因子であると報告されています。 このように難聴と、難聴に伴う耳鳴に対する対応は極めて重要でありますが、北九州医療圏において、「聞こえ・耳鳴り」の専門的診療体制は十分とは言えません。皆様の「聞こえ・耳鳴り」に対応するべく補聴器・耳鳴外来を設置しております。
補聴器・耳鳴外来では、 補聴器適合判定医師のもと、認定補聴器技能者および言語聴覚士が連携し、適切な補聴指導とフィッティングを行います。難聴・耳鳴の診断には詳細な聴力評価が重要であり、当外来では各種聴力検査を用いて正確な診断を行い、個々の患者さんに応じた治療・補聴器適合を提供いたします。単なる機器の紹介にとどまらず、医学的視点に基づいた適応判断と継続的な調整・指導を行います。また耳鳴については 補聴器やノイズジェネレータを用いた音響療法を行い、耳鳴の軽減と生活の質の向上を目指します。機器を2-4週間無料貸し出し、日常生活での音の聞き取りの改善具合を確認していただいた後に、補聴器装用を検討いただくようにしています。
また、補聴器を用いても聞き取れないような高度・重度難聴の場合は人工内耳を含めた人工聴覚機器の使用、すなわち手術を考慮します。手術適応評価から手術、術後フォローアップまで一貫した医療を提供します。人工聴覚器診療は、手術ができる術者が必要なのはもちろんですが、術前・術後の聞き取りができるように言語聴覚士による聴覚訓練も必要です。当科では専門性の高い聴覚診療体制を整備し、2026年度中の聴覚外来の本格的開設を予定しております。加齢性難聴、突発性難聴、騒音性難聴などの各種難聴に加え、先天性難聴など小児難聴も含めて幅広い聴覚関連疾患に対応しています。また、耳管開放症に対しては、症状に応じて耳管ピン挿入術などの外科的治療も行っております。詳細な聴力検査および機能評価に基づき、患者さん一人ひとりに最適な治療方針をご提案いたします。地域の皆様が安心して日常生活を送れるよう、聴覚医療の拠点として貢献してまいります。
「聞こえにくい」「耳鳴が気になる」「自分に合った補聴器を知りたい」など、どのような症状でもお気軽にご相談ください。専門医が丁寧に診察し、最適な治療と支援をご提案いたします。

好酸球性副鼻腔炎・鼻副鼻腔手術外来

当外来では、慢性副鼻腔炎をはじめとする鼻・副鼻腔の病気に対して、診断から治療までを専門的に行っています。とくに近年増加している好酸球性副鼻腔炎の診療に力を入れています。
好酸球性副鼻腔炎は、鼻の中に粘り気の強い鼻茸(鼻ポリープ)が繰り返しできる慢性の病気で、嗅覚障害(においがわからなくなる)を伴うことが多く、喘息を合併しやすいのが特徴です。国の指定難病に認定されており、当科では診断後の難病医療費助成制度の申請手続きについてもサポートしています。治療としては、内視鏡を用いた鼻副鼻腔手術に加え、手術後の再発を抑えるための生物学的製剤(注射薬)による治療も積極的に導入しています。患者さんの症状や病状の経過に応じて、手術と薬物療法を組み合わせた長期的な治療計画をご提案します。
診察では、鼻副鼻腔内視鏡による鼻の中の観察、CTやMRIなどの画像検査、鼻の通りを数値で評価する鼻腔通気度検査、アレルギーの原因を調べる血液検査などを必要に応じて行い、これらの結果をもとに治療方針を決定します。副鼻腔は脳や眼球といった重要な臓器に接しているため、手術の際にはナビゲーションシステムと呼ばれる高度な医療機器を併用し、より安全に手術を進めています。
アレルギー性鼻炎に対しては、お薬による治療に加え、アレルギーの原因物質に体を少しずつ慣らしていく減感作療法(舌下免疫療法など)や、内視鏡を用いた後鼻神経切断術・粘膜下下甲介骨切除術といった手術治療も行っています。そのほか、眼窩骨折などの顔面外傷に対しても、できるだけ体への負担が少なく入院期間の短い内視鏡手術で対応しています。涙が止まらない・目やにが多いといった症状の原因となる鼻涙管閉塞などの涙道疾患についても、鼻の中からの内視鏡手術が可能です。

睡眠呼吸障害外来

眠っている間に、のどの奥(上気道)が狭くなったりふさがったりすることで、呼吸が止まる・浅くなるといった症状が繰り返し起こる病気を閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)といいます。当科では、この病気の診断から治療まで積極的に取り組んでいます。
睡眠中の呼吸の状態は、小型の検査機器をお貸しして行うご自宅での簡易検査や、病院に一泊していただき脳波や呼吸などを詳しく調べるポリソムノグラフィー(精密検査)で確認します。
検査の結果をもとに、重症度や原因に合わせた治療をご提案します。鼻にマスクを装着して空気を送り込み、眠っている間にのどがふさがるのを防ぐCPAP(シーパップ)療法や、歯科口腔外科と連携して作製するマウスピース(口腔内装具)の導入と管理を行っています。また、のどや鼻の構造に問題がある場合には、のどの奥の粘膜を整える軟口蓋形成術、扁桃を取り除く口蓋扁桃摘出術、鼻の通りを改善する鼻中隔矯正術などの外科的治療にも対応しています。
さらに、閉塞性睡眠時無呼吸に対する新しい治療法として「舌下神経電気刺激療法」を導入しています。これは、CPAP治療が合わない・続けられない中等症以上の患者さんを対象とした保険適用の治療法です。手術により小型のデバイス(舌下神経電気刺激装置)を体内に埋め込み、眠っている間に呼吸のリズムに合わせて舌の動きをつかさどる神経(舌下神経)にやさしい電気刺激を送ります。これにより舌の付け根が適度に持ち上がり、のどの空気の通り道が確保されることで、快適な睡眠が得られることが期待されます。当科では2025年1月に九州で初めてとなる手術を実施しました(全国で13施設目)。本手術を実施できる医師が2名在籍しており、他の医療機関からのご紹介も多くいただいています。

嗅覚味覚センター

当院の耳鼻咽喉科・頭頸部外科「嗅覚・味覚外来」は、九州管内の大学病院耳鼻咽喉科で唯一の専門外来として、県内・外から年間約100名の新患を受け入れてきました。COVID-19の流行で嗅覚・味覚障害への注目度が高まり、今後さらに患者数が増加することが予想されます。そこで令2024年7月、中央診療部門として「嗅覚・味覚センター」を本院2階に開設しました。関連する複数の診療部門(耳鼻咽喉科・頭頸部外科、脳神経外科、神経・精神科、神経内科、脳神経内科・心療内科、歯科・口腔外科、脳卒中血管内科、認知症センター)と連携体制をとり、多角的な視点で治療を行う全国初の施設です。

頭頸部腫瘍外来

北九州市内のみならず市外・県外からの紹介患者さんを多く受け入れています。当院は頭頸部がん研修認定施設でもあり、地域の頭頸部がん治療拠点病院としての機能を果たしており、ご紹介いただいた医療機関と連携をとりながら退院後の診療にあたっております。近年増加している頭頸部癌には口腔・咽喉頭癌、液腺癌、甲状腺癌、側頭骨悪性腫瘍、鼻副鼻腔悪性腫瘍などがあります。症例に応じて手術、放射線、抗癌剤を組み合わせた集学的治療を行っております。放射線治療科及び歯科・口腔外科と定期的に合同カンファレンスを行い、頭頸部腫瘍に対して最良の治療選択を協議し、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬をはじめとする最新の薬剤を含めた化学療法・化学放射線療法によって、可能な限り臓器を温存する治療を行うよう努めております。臓器温存の困難な症例は、他科(消化器・内分泌外科・形成外科)と合同で一期的に根治切除と再建手術を行っています。甲状腺腫瘍については、良性、悪性ともに女性に多く、皮膚切開が小さい手術が望まれます。この要望に対応するため、内視鏡下甲状腺手術を導入し、良好な治療成績を収めています。また、2021年1月に頭頸部がんに対してのみ保険適用になった最新の光免疫療法(アルミノックス治療)にも対応しております。正常な細胞に影響を与えずにがん細胞だけを狙い撃ちできるので、副作用が少なく、体力が低下した進行がんの患者さんにも適応があります。加えて、低侵襲手術として咽喉頭癌に対するロボット支援手術にも対応しています。外切開せずに口の中から行うda Vinciサージカルシステムを用いたロボット支援下経口的手術も導入しており、患者さんの生活の質(QOL)向上に寄与しています。

音声診療

声に関する症状として、声がかすれる、長時間話すと声が枯れる、声が震える・途切れる、高い声や大きな声が出しにくい、のどに詰まる感じや違和感がある、風邪の後から声が戻らない、手術後や加齢により声が弱くなった、などがあります。声は、仕事や日常生活におけるコミュニケーションに欠かせない大切な機能です。特に、教師、保育士、接客業、営業職、歌手、アナウンサーなど、声を使う機会が多い方では、声の不調が仕事や生活の質に大きく影響します。
当科では音声障害の原因を詳しく調べるため必要に応じて、喉頭内視鏡検査、喉頭ストロボスコピー検査、音響分析、最長発声持続時間検査、音域検査、発声機能検査、嚥下機能評価などを行っております。これらの検査により、声帯の形態や動き、振動の状態、声の出し方の特徴などを評価し、適切な治療方針を決定します。また、専門的な診察と検査に加え、言語聴覚士(ST)による音声治療を組み合わせ、患者さんの声の使い方や生活習慣、職業、発声時の癖などを確認しながら、より負担の少ない発声方法を身につけていただきます。音声治療は、声帯ポリープや結節などの手術前後のリハビリテーションとしても重要です。また、手術を行わずに改善が期待できるケースもあります。患者さんの声の悩みや生活背景に寄り添いながら、できるだけ自然で使いやすい声を取り戻せるよう支援いたします。声の不調は、早めに原因を調べることで改善につながることが少なくありません。「年齢のせい」「使いすぎだから仕方ない」と我慢せず、お気軽にご相談ください。

2024年度手術件数

耳科手術 283 嚥下機能改善、誤嚥防止、音声機能改善手術 20
鼓室・鼓膜形成術 95 喉頭形成術 7
鼓膜切開・鼓膜チューブ挿入術 126 その他の嚥下・音声機能改善手術 13
アブミ骨手術 4 頭頸部手術 234
先天性耳瘻管摘出術 5 頸部郭清術 97
乳突削開術・充填術 34 頭頸部腫瘍摘出術 129
側頭骨悪性腫瘍手術 4 顎下腺良性腫瘍摘出術 5
その他の耳科手術 15 顎下腺悪性腫瘍摘出術 0
鼻科手術 408 耳下腺良性腫瘍摘出術 20
内視鏡下鼻腔手術 209 耳下腺悪性腫瘍摘出術 8
内視鏡下副鼻腔手術 129 甲状腺良性腫瘍摘出術 11
経鼻腔的翼突管神経切除術 33 バセドウ病手術 1
顎・顔面骨折整復術、眼窩吹き抜け骨折手術 2 甲状腺悪性腫瘍摘出術 12
その他の鼻科手術 35 鼻・副鼻腔悪性腫瘍摘出術 6
口腔咽喉頭手術 271 喉頭悪性腫瘍摘出術 11
扁桃摘出術(口蓋扁桃、アデノイド含む) 179 リンパ節生検 37
舌・口腔良性腫瘍摘出術 10 頸部囊胞摘出術 6
舌・口腔悪性腫瘍摘出術 28 顎下腺摘出術 9
咽頭良性腫瘍摘出術 6 その他の頭頸部腫瘍摘出術 3
咽頭悪性腫瘍摘出術 21 その他の頭頸部手術 8
その他の口腔咽喉頭手術 27 気管切開術 45
喉頭微細手術 29 合計 1290

文責:産業医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
更新日:2026年06月01日

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