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ご挨拶

堀 龍介

産業医科大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科 

堀 龍介 Ryusuke Hori

 産業医科大学は1978年4月に開設され、同時に耳鼻咽喉科学教室も設置されました。診療科・講座の名称は2013年に「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」に改定され、これまでの間に100名近い先生方が在籍し、数々の業績を積み上げ、多くの優れた人材を輩出してきました。私は2023年6月に教授として着任いたしました。当教室の伝統をかみしめ、その重責を担うこととなり身が引き締まる思いであります。

 我々の診療科は一般に「耳鼻科」と称されており、耳鼻科は「みみ・はな・のど」というイメージが強いかと思われます。しかし、実際の耳鼻咽喉科・頭頸部外科の対象範囲は非常に多岐に渡ります。耳科では難聴/中耳炎/顔面神経麻痺/平衡障害(めまい)、鼻科では鼻腔/副鼻腔/嗅覚/アレルギー性鼻炎、咽喉頭科では扁桃咽頭炎//睡眠時無呼吸/味覚/音声言語/嚥下、頭頸部外科では上記領域の良性腫瘍及び悪性腫瘍(聴器癌/鼻副鼻腔癌/頭蓋底進展/上中下咽頭癌/口腔癌/喉頭癌/唾液腺癌/甲状腺癌/原発不明癌)が含まれます。これらの疾患区分けの見方を変えますと、癌を含めた腫瘍外科、人間らしく生活していくに必要な感覚器機能外科、そして感染症内分泌(外)科を総合的に網羅している診療科といえます。対象となる年齢層は赤ちゃんから高齢者まで、外科も内科も担当している診療科といえます。

 このように事実上すべての方に関わりが深い診療科であり、北九州から福岡・九州にわたり地域医療を担当しているとともに、大学としての最先端医療を担当するという責務を担っております。耳科では先天性難聴児の聴覚診療に関わり、そして2023年4月に保険適応となった経外耳道的内視鏡下耳科手術の九州の中心的施設であると自負しております。顔面神経麻痺診療においても最先端の評価法を取り入れて診療にあたっております。鼻科・咽喉頭科では睡眠時無呼吸診療は全国随一のレベルで最先端の診療を行っております。また、嗅覚・味覚においては、九州管内の大学病院耳鼻咽喉科で唯一の嗅覚・味覚外来を設置います。労災後遺症認定や交通事故の後遺症認定の依頼が多くあり、近年はCOVID-19の後遺症として嗅覚・味覚障害に注目が集まっております。頭頸部外科では遊離空腸や遊離筋皮弁移植を伴う再建外科、咽喉頭癌に対するロボット支援下手術、頭頸部癌の第5の治療法として期待されている頭頸部アルミノックス治療にも対応しております。また、甲状腺/副甲状腺外科として、その手術適応の元となる細胞診による診断に力を入れて確実な診療を心がけております。

 大学病院の臨床診療科としての責務は、耳鼻咽喉・頭頸部外科の高度な先進医療だけではなく地域医療に従事するとともに、これら発展的な研究を遂行することです。さらに、次世代を担う医療人の育成と、及び産業医学を含めた医学部教育に力を入れています。そのためには、医局員一同の臨床診療や研究を洗練してこうという姿勢を何より重視しております。

 また、我々の医局では労働環境の最適化も重視しております。働きやすい職場環境は重要であり、特に女性医師、男性医師ともに専門医の取得だけではなく、結婚、妊娠、出産、育児、介護などのライフイベントは働く医局員にとって非常に重要なものであります。彼ら/彼女らのキャリア形成をサポートし、それが社会に貢献できるようになると信じております。

 これらの活動を通じて地域に皆様に信頼していただけるよう、医局員一同より精進してまいります。

2023年10月吉日 産業医科大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 教授
堀 龍介

文責:産業医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
更新日:2023年12月27日

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