大腿骨近位部骨折地域連携パスについて

公開に至る背景

 高齢者に多発する大腿骨近位部骨折は運動能力の低下に、認知症などの合併症の増悪が加わり、寝たきりの原因ともなり、また生命予後をも左右する疾患でもある。受傷前の日常生活への復帰を目指すためには、受傷直後からの専門的医療が必須であり、その治療は急性期病院,回復期リハビリテーション病院,診療所,介護療養型病床など多くの医療機関の参加を必要とし、整形外科医,リハビリテーション科医,看護師,理学療法士,作業療法士,医療ソーシャルワーカーなどの様々な職種が関与します。
 そこで大腿骨近位部骨折を発症した際に求められることは、

  • ①早期離床のための手術を含めた急性期治療
  • ②急性期から回復期、維持期にわたる質の高い包括的リハビリテーション

 このような状況のもと、済生会八幡総合病院の原口和史先生が中心となり、八幡運動器リハビリテーション懇話会を母体に、2006年4月大腿骨頚部骨折地域連携パス委員会を設置し、6月より連携パスの運用が開始されました。その後、参加施設や対象患者の増加等により事務的作業が煩雑となったため、脳卒中の地域連携パス北九州標準モデルの事務局として地域連携パスの実績のある産業医科大学リハ医学講座へ2010年9月に協力依頼がありました。産業医科大学の蜂須賀研二教授と原口和史先生が協議し九州労災病院の糸満盛憲院長に打診の上、北九州市内で共通に使用できる大腿骨近位部骨折地域連携パスを作成することが決まりました。2011年4月に北九州大腿骨近位部骨折地域連携パス検討部会(委員長:糸満盛憲)を開催しました。大腿骨近位部骨折地域連携パス検討部会で協議の上、「大腿骨近位部骨折地域連携パス北九州標準モデル(試案)」を作成しました。6月9日に「第1回北九州大腿骨近位部骨折地域連携パス協議会」を開催し、その後意見を募り修正を加え、今回の公開に至りました。