産業医科大学 泌尿器科学

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外来のご案内

患者様へ:私ども産業医科大学泌尿器科では土日・祝日を除く月〜金曜日の毎日外来を行っております。一般泌尿器科では対応が難しい疾患を含め幅広い診療を行っております。他の医療機関におかかりの方を対象とした紹介予約制としていますので、受診の際は紹介状をご持参ください。またセカンドオピニオンもお受けしていますので、お気軽にご連絡下さい。
医療機関の皆様へ:急ぎの診察が必要な症例について、随時対応いたしますので、ご相談ください。
診察時間や担当医など外来診療に関する詳細についてはこちらをご覧ください。

当院での診療について

 当院では、泌尿器悪性腫瘍(がん)を中心に泌尿器疾患に対する幅広い検査、治療が可能です。治療の方針については、私どもが現在の最新の泌尿器科に関する知見をまとめ作成した診療指針に基づいて診療を行うようにしています。
 また入院による治療を要する症例や、診断・治療の難易度が高いような症例については、毎週行われるカンファレンスにおいて、患者さん個々に最適な治療を提供するべく泌尿器科全員で検討を行っています。

私どもの施設ではこのような治療を行っています。

  1. 腫瘍に対する診療
    ○副腎腫瘍
    2023年11月より、大きな腫瘍や難易度の高い症例に対してロボット支援手術を開始し、低侵襲化を図っています。副腎の良性腫瘍(アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫など)に対しては腹腔鏡手術、大きな腫瘍(褐色細胞腫)や副腎がんに対しては開腹手術も行っています。また、副腎癌や悪性褐色細胞腫に対する薬物療法も積極的に行っています。
    • 手術:ロボット支援副腎摘出術、腹腔鏡下副腎摘除術、開腹副腎摘除術
    • 薬物療法:副腎癌や悪性褐色細胞腫に対する抗がん剤療法
    ○前立腺がん
    前立腺がんの確定診断法である前立腺生検は通常1泊2日の入院で行っています。また、MRI検査にて所見のある症例に対して、最新技術であるMRI-超音波融合画像ガイド下前立腺生検を分院の若松病院で積極的に行っています。現在日本で保険診療として認められている以下の治療を当院で行うことが可能です。
    • 手術療法:ロボット支援前立腺全摘除術(RARP)
    • 放射線療法:密封小線源療法、放射線外照射(強度変調放射線治療:IMRTを含む)
    • 薬物療法:ホルモン療法、抗がん剤療法、PARP阻害薬(遺伝子検査に基づく)
      新規ホルモン療法+抗がん剤の複合薬物療法
    ○腎がん
    2023年4月より、大きな腫瘍や難易度の高い症例に対してロボット支援腎摘除術を開始しました。さらには一部の進行例に対しても適応を拡大し、低侵襲化を図っています。 血管外科や消化器外科、肝臓外科と合同で行うような拡大手術に対しては開腹手術を行っています。進行癌の詳細な病理組織学的評価を行い、再発高リスク症例に対して、免疫チェックポイント阻害薬の術後補助療法(ペムブロリズマブ療法)も取り入れております。
    比較的小さな腎がんに対しては腫瘍部分のみを取り除く、ロボット支援腎部分切除術(RAPN)を積極的に行っています。
    また、近年薬物療法として、免疫チェックポイント阻害薬が新たに選択肢として加わりました。現在本邦にて保険診療として認められている薬剤は当院でもすべて使用が可能で、新規治療として注目されている免疫チェックポイント阻害薬の2剤併用療法(イピリムマブ+ニボルマブ併用療法)や分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法(アキシチニブ+ペンブロリズマブ併用療法、アキシチニブ+アベルマブ併用療法、ニボルマブ+カボザンチニブ併用療法、レンバチニブ+ペンブロリズマブ併用療法)も積極的に行っています。
    • 手術療法
       ロボット支援腎摘除術(RARN)、腹腔鏡下腎摘除術、開腹腎摘除術
       ロボット支援腎部分切除術(RAPN)
    • 薬物療法
       免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬
    ○尿路上皮がん(腎盂がん、尿管がん、膀胱がん)
    膀胱がんについては、ロボット支援膀胱全摘除術(RARC)を行っています2020年7月より尿路変向においても、ロボット支援完全体腔内尿路変向術(ICUD)を積極的に行っています。また、抗がん剤治療と放射線療法を組み合わせた放射線併用動注化学療法も選択肢の一つとして用いています。
    腎盂がん、尿管がんについては従来腹腔鏡手術にて腎尿管全摘除術を行っていましたが、2022年11月よりロボット支援腎尿管全摘除術(RANU)を導入しました
    いずれの疾患に対しても、手術治療効果を高めるために、積極的に術前化学療法を行っています。さらには、摘出標本を用いて詳細な病理組織学的評価を行い、再発高リスク症例に対して、免疫チェックポイント阻害薬の術後補助療法(ニボルマブ療法)も取り入れております。
    近年、進行・転移症例に対して、免疫チェックポイント阻害薬(ペンブロリズマブ療法やアベルマブ維持療法)も薬物療法の選択肢に加わりました。次いで2021年12月からは新規治療薬である抗体-薬物複合体(エンホルツマブベドチン)も積極的に使用し西日本有数の診療実績を有しています。
    • 手術療法
       腎盂・尿管がん:ロボット支援腎尿管全摘除術、腹腔鏡下腎尿管全摘除術
       膀胱がん:
        経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)
        ロボット支援膀胱全摘除術
         +尿路変向(回腸導管造設術、新膀胱造設術、尿管皮膚瘻造設術)
    • 薬物療法:抗がん剤治療(GC療法、PG療法、dd-MVAC療法)
      免疫チェックポイント阻害薬、抗体-薬物複合体
    • 放射線療法
      動注化学療法併用放射線療法

    ※その他、精巣がん、陰茎がん、尿膜管癌、後腹膜腫瘍などの稀な疾患についても、手術や抗がん剤治療などを積極的に行っています。
    近年は、遺伝カウンセリング科と連携して、がん遺伝子パネル検査も積極的に行っています。

  2. 尿路結石に対する治療
    当院では尿路結石に対して、多彩な治療選択肢を有しています。近年ではより細い内視鏡(カメラ)を用いることにより、治療が体に与える負担を少なくすることが可能となっています。2023年3月には、最新の砕石レーザー機器を導入しました。
    • 体外衝撃波結石破砕術 (ESWL)
      衝撃波を用いて体内の結石を砕く治療で、主に外来日帰り手術として行っています。
    • 経尿道的腎砕石術(PNL)
      主に大きな腎結石に対して行います。通常より細い内視鏡(細径腎盂鏡)を用いた低侵襲なPNL(mini-PNL)も行っています
    • 経尿道的尿管砕石術(URS (TULともいいます))
      場所や大きさにより、複数の種類の尿管鏡とレーザーなどを用いて結石を破砕します。
    • さんご状結石を含む大きな結石に対しては、上記PNLとURSを併用する
      経皮・経尿道同時内視鏡手術(ECIRS/TUL assisted PNL)も行っています。
    • 経尿道的膀胱砕石術
      膀胱内の結石を内視鏡を用いて破砕し、取り除く手術です。
  3. 下部尿路症状を生じる疾患に対する治療
    ○前立腺肥大症に対する手術
    以前は経尿道的前立腺切除術(Transurethral Resection of the Prostate: TUR-P)や、経尿道的前立腺核出術(Transurethral Enucleation with Bipolar: TUEB)を中心に行ってきました。TUR-Pは前立腺の肥大した部分(腺腫)を内側(尿道側)から少しずつ切除するのに対して、TUEBでは先に腺腫をくり抜いた後に切除します。このことにより腺腫をより完全に取り除くことができるようになりました。さらに2022年からはレーザー前立腺蒸散術を導入しました。レーザーを肥大腺腫に照射することで、血液を蒸発させ組織を気化・除去する新しい治療法です。従来の内視鏡手術では難しかったような大きな前立腺肥大症やリスクの高い症例に対して安全性との両立を図りながら治療に取り組んでいます。
    ○間質性膀胱炎に対する治療
    膀胱の拡張により症状を軽減することを目的として、膀胱水圧拡張術を行っています。また膀胱内にハンナ病変(潰瘍)を認める場合には、内視鏡を用いて病変部を電気焼灼します。ハンナ病変に対しては2021年から新規薬物治療であるジメチルスルホキシド(DMSO)膀胱内注入療法も行えるようになりました。
  4. 女性泌尿器疾患に対する治療
    • 女性腹圧性尿失禁に対する手術
      TOT/TVT手術:尿道を支持するメッシュのテープを挿入する手術を行っています。
    • 骨盤臓器脱に対する手術
      腹腔鏡下膀胱脱手術:お腹の中から膣壁に固定したメッシュを引き上げ、脱出臓器を固定する手術方法です。腹腔鏡を用いて行いますので小さな創で手術が可能です。
  5. 感染症に対する治療
    女性に最も多い膀胱炎、腎盂腎炎や性感染症まで幅広い尿路感染症の治療を行っています。また、近隣施設で対応が難しい重症(敗血症、播種性血管内凝固)、難治性尿路感染症の治療も多数行っています
  6. 小児疾患に対する治療
    • 先天性水腎症に対する腎盂形成術(腹腔鏡、開腹)
    • 交通性陰嚢水腫に対する根治手術
    • 真性包茎に対する手術
    • 停留精巣に対する精巣固定術
    • 膀胱尿管逆流症(VUR)に対する膀胱尿管新吻合術やDeflux注入療法(内視鏡的注入術)
  7. その他
    • 分院である、若松病院泌尿器科との密な診療連携を促進し、幅広く遅滞ない診療を目指しています。
    • 多臓器領域にわたる拡大手術に関して、血管外科・消化器外科・肝臓外科・産婦人科と協力して多数行っています。
    • 成人の腎盂尿管移行部狭窄症に対してロボット支援腎盂形成術を行っています。
    • 陰嚢水腫や精液瘤に対する根治術
    • 精索静脈瘤に対する顕微鏡下低位結紮術
    • 尿膜管遺残症に対する腹腔鏡下尿膜管摘除術
    • 緊急手術や処置を要する泌尿器科救急疾患や尿路性器外傷は随時対応いたします。

診療実績

2018年

年間外来患者数:
14137人
年間新入院患者数:
1012人
年間延べ入院患者数:
10114人
平均在院日数:
8.9日
病床稼働率:
106.6%

2019年

年間外来患者数:
14064人
年間新入院患者数:
1237人
年間延べ入院患者数:
11437人
平均在院日数:
7.7日
病床稼働率:
113.6%

2020年

年間外来患者数:
12650人
年間新入院患者数:
1014人
年間延べ入院患者数:
8283人
平均在院日数:
7.1日
病床稼働率:
87.0%

2021年

年間外来患者数:
14250人
年間新入院患者数:
1167人
年間延べ入院患者数:
10256人
平均在院日数:
7.8日
病床稼働率:
108.1%

2022年

年間外来患者数:
14964人
年間新入院患者数:
1242人
年間延べ入院患者数:
11373人
平均在院日数:
8.1日
病床稼働率:
119.8%

2023年

年間外来患者数:
14038人
年間新入院患者数:
1279人
年間延べ入院患者数:
11075人
平均在院日数:
7.7日
病床稼働率:
97.9% (5床増加)

2020年は診療制限や診療停止期間がありました。
現在は感染対策を厳重に行いながら通常診療体制を整えています。

新規入院患者の推移

新規入院患者の推移

年間手術件数の推移

年間手術件数の推移

2023年手術別実績

手術総件数の推移

ロボット(ダヴィンチ)支援手術は2018年から開始。
2018年63件 → 2019年74件 → 2020年94件 → 2021年95件→2022年103件→2023年118件

産業医科大学若松病院の診療について

 産業医科大学若松病院泌尿器科は2014年12月1日より入院・手術治療を開始しました。これまでは常勤医1名体制で診療を行って参りましたが、2020年4月から藤本直浩教授が若松病院院長へ就任し、診療内容の拡充を目的に、2020年8月から新たに2名体制で診療を行うこととなりました。
 新患の患者さんの外来診療に関して、2020年7月までは月曜日~金曜日の午前中までの受付とさせて頂いておりました。2020年8月以降は手術日である月曜と木曜の午後以外は、予約なしでも16時まで外来患者さんを診察致します。救急の場合には月曜午後、木曜午後であっても対応致します。
 入院診療に関して、2018年度までは膀胱がんに対する経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)、前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺切除術(TUR-P)のみを中心に手術を行ってきました。2019年度にホルミニウムレーザーを導入し、本格的に尿管結石に対する経尿道的尿路結石除去術(TUL)を開始致しました。そのため、2017年度、2018年度のTULは3例、4例のみでありましたが、2019年度は37例と症例数が増加致しました。今後は集約的に『尿路結石内視鏡センター』としての機能を目指します。さらに新規治療としては、難治性の過活動膀胱や神経因性膀胱による尿失禁に対して、『A型ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法』を施行できる体制も整えています。
 また、2名体制となることで、前立腺がんや腎尿尿管がん・膀胱がんに対する抗がん剤治療、進行腎細胞がんに対する免疫チェックポイント阻害薬などの悪性腫瘍に対する薬物療法も大学病院同様に積極的に行えるようになりました。

大学病院との連携をより強化して、北九州の泌尿器科医療に貢献します。

若松病院診療実績

2018年

年間外来患者数:
4088人
年間新入院患者数:
122人
年間延べ入院患者数:
1509人
平均在院日数:
12.1日
病床稼働率:
定床なし

2019年

年間外来患者数:
4276人
年間新入院患者数:
182人
年間延べ入院患者数:
1621人
平均在院日数:
8.2日
病床稼働率:
定床なし

2020年

年間外来患者数:
4445人
年間新入院患者数:
257人
年間延べ入院患者数:
2145人
平均在院日数:
8.3日
病床稼働率:
110%

2021年

年間外来患者数:
5363人
年間新入院患者数:
336人
年間延べ入院患者数:
3385人
平均在院日数:
8.6日
病床稼働率:
110%(2床増加)

2022年

年間外来患者数:
5293人
年間新入院患者数:
324人
年間延べ入院患者数:
3140人
平均在院日数:
8.3日
病床稼働率:
101%(1床増加)

2023年

年間外来患者数:
4681人
年間新入院患者数:
309人
年間延べ入院患者数:
3049人
平均在院日数:
8.7日
病床稼働率:
75.7%(1月〜5月 9床、
6月〜12月 10床に変更)

新規入院患者数の推移

新規入院患者数の推移

年間手術件数の推移

年間手術件数の推移

文責:産業医科大学泌尿器科学
更新日:2024/08/06

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