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ご挨拶

教授挨拶

医療、医学へ貢献できる麻酔科学教室を目指して
産業医科大学医学部麻酔科学
川ア 貴士

 平成27年6月1日付で麻酔科学教授を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。当教室は昭和53年に重松昭生先生を初代教授として開講し、平成15年に第二代 佐多竹良先生に引き継がれました。私が三代目の教授となります。産業医科大学病院では、現在、年間6000件以上の手術が行われています。

 毎年増加していますので、安全で効率のよい手術室運営を心掛けています。患者さんにとっては、麻酔を受けることが目的ではなく、手術を受けることが目的ですから、麻酔には、確実性・安全性が求められます。産業医科大学病院の麻酔偶発症発生率は全国平均に比べかなり低いものとなっていますが、今後も、このような確実・安全な臨床麻酔を心掛けていきたいと思います。事故のない安全な医療を実現するために、卒後教育では安全管理と危機管理を徹底します。水準以上の臨床能力を習得するために、On-the-Job trainingだけでなく、Off-the-Job trainingにも力を入れたいと思います。そして、シミュレーション教育の充実を卒後教育でも重視したいと考えています。

 全国の麻酔科専門医は毎年増加していますが、手術件数の増加が専門医の増加を上回っており麻酔科医はまだ不足しています。大学病院麻酔科においても、麻酔科医不足が問題となっています。産業医科大学麻酔科学教室では、麻酔の楽しさを共有できる教え学びあえる環境の醸成、過重労働の軽減・定着率上昇など麻酔科医不足の解消に積極的に取り組むこと、そして、最近は入局者の半数近くが女性であることもあり、育児中の女性麻酔科医のスキルアップ支援をはかるなど、女性麻酔科医の職場環境を整えることに力を注いで参りました。今後もこの姿勢を維持し、マンパワーの確保に努力したいと考えています。

 地域医療への貢献では、関連医療機関との診療連携を強化したいと思います。平成27年度から産業医科大学病院を責任基幹施設とした麻酔科専門医研修プログラムを開始しました。これにより、専門医研修プログラムに属している各病院の後期研修医を相互に受入可能になりました。これは、各病院の麻酔科医確保にもつながると考えています。北九州の地で麻酔研修、専門医取得を目指す若い先生方にぜひプログラムに参加して欲しいと願っています。

 大学は診療、研究、教育を三本柱としています。最近、日本の臨床医学研究の低迷が問題となっています。初期臨床研修制度による大学の人員不足、医学博士号よりも専門医取得に重点を置く医師の増加、研究の複雑化・高度化などが原因とされています。麻酔科は診療科ですので診療を重視するのは当然です。研究に診療の経験が生きるのはもちろんですが、研究を経ることで診療に対する見方も大きくかわります。診療の場で疑問に感じたことを研究で明らかにする、また、研究で得られた結果を診療にfeedbackするbench-to-bed side, bed side-to-bench というループをつくりだし、研究と診療をリンクさせることが、大切だと思います。この姿勢を若い先生に伝えていきたいと考えています。診療、研究を行う上で大切なのは人と人との関係です。人と人との関係がうまくいかなければ診療も研究もうまくいきません。教育により人間性・人格あふれる人材を育成し、自ら学ぶ姿勢、コミュニケーション能力を身につけることが必要です。個々の能力、ネットワークを拡大できる教育の場を提供したいと考えています。

 産業医科大学麻酔科学教室が目指すべき医師像は、ヒューマニティ、サイエンス、アートを生涯にわたって研鑚する医師だと思います。これは、人間愛に徹し、生涯にわたって哲学する医師、という産業医科大学の建学の使命にも一致するものと考えます。われわれは、より高度な教育(ヒューマニティ)、研究(サイエンス)、診療(アート)を目指さなければいけません。しかし、教育はより時間を要し、医学研究もより複雑化・専門的なものが求められ、競争も激化しています。さらに診療は高度に専門化してきています。麻酔科学教室単独で、これらすべてを完遂することは非常に難しくなってきています。コラボレーション、ネットワークを拡げることが必要です。個々のレベルからさまざまなネットワークを拡大することで、斬新かつ有用な成果を生み出す集団を創ることが可能になると思います。ぜひ、様々な分野の方々と一緒に仕事ができるチャンスを作り出したいと思います。 微力ではありますが、医療・医学の発展のため尽力して参ります。今後とも何卒よろしくご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

文責:産業医科大学 麻酔科学教室
更新日:2015年11月20日

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