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研究内容

 産業医科大学麻酔科学教室での研究は、日本学術振興会科学研究費補助金のサポートを受けることで、継続的に行われています。研究結果は国内外の学会、学術誌で報告しています。

疼痛発生機序と鎮痛薬

堀下貴文

 侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛を成因とする慢性疼痛は、有効な治療薬が少なく難治性のため、新たな鎮痛薬・鎮痛法の開発が望まれています。慢性疼痛の発生メカニズムは複雑ですが、徐々に解明されつつあり、疼痛伝達経路に発現する多くのイオンチャネルや受容体が重要な役割を持つことが示されています。一方、臨床使用されていないものの、動物実験などで強い鎮痛作用を持つことが示され、新たな鎮痛薬として期待されている薬物も存在しますが、その鎮痛メカニズムについては解明されていないものが多く、また、現在臨床使用されているいくつかの鎮痛薬の用機序についても不明な点が多く存在します。従って、これらの薬物の鎮痛メカニズムを解明することによって、新たな鎮痛薬・鎮痛法の開発に貢献できる可能性があります。

 そこで我々は、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いた電気生理学的手法を用いて、疼痛発現に深い関与が示唆されているイオンチャネルや受容体に対する上記鎮痛薬の作用を解析し、鎮痛機序を明らかにするための研究を行っています。具体的には、電位依存性ナトリウムチャネルや、ATP受容体、TRP受容体などのリガンド依存性チャネルのcRNAを卵母細胞に注入し、細胞膜表面にチャネルや受容体を発現させ、脱分極性電あるいはリガンド誘発性電流に対する鎮痛薬の影響を解析しています。さらに、同実験系を用いてこれらの影響を発生させるメカニズムを探る研究を行っています。

新しい神経障害性疼痛治療薬の開発を目指した研究

原 幸治

 神経障害性疼痛は従来の治療薬の有効性が低く重大な副作用があるため治療が困難です。多くの人が日常生活や労務に支障を来し社会的損失を招いています。私達の研究室は従来の治療薬と異なる作用機序を持つ有効で副作用の少ない新規神経障害性疼痛治療薬の開発を目的とした研究に加え、未だ十分に理解されていない侵害受容(痛み)伝達の生理的調節機構を明らかにする研究を行っています。選択的に侵害受容伝達を調節する可能性のある蛋白質に注目し、その機能を変化させる物質が脳と脊髄で疼痛閾値にどのような影響を与えるか行動薬理学的手法で調べています。これまでに正常ラットのほか坐骨神経絞扼モデルと糖尿病性ニューロパチーモデルの二種類の神経障害性疼痛モデルを用いて様々な疼痛実験と副作用として重要な運動機能実験を行って研究成果を発表しています。現在は疼痛実験だけでなく慢性疼痛に随伴する抑うつ・不安症状に対する鎮痛薬の抑制作用についてもビデオ行動解析システムを用いて検討しています。現在研究室では以下のような行動実験を行っています。

 現在研究室では以下のような行動実験を行っています。
1.Formalin test, 2.Paw pressure test, 3.Hot/Cold plate test, 4.Tail flick test, 5.Plantar test, 6.electronic von Frey test, 7.Rotarod test, 8.Open field test, 9.Elevated plus maze test, 10.Forced swim test, 11.Y maze test

文責:産業医科大学 麻酔科学教室
更新日:2015年11月20日

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