産業医科大学 臨床検査・輸血部

臨床研究

患者様へ

 本院は大学病院であり、良質な医療の提供、学生の教育以外に、実地に即した臨床研究(観察研究)を行っています。このため患者様から得られた検査データを後日、研究解析のために使用させていただく場合がございます。
 また、正確で信頼性の高い検査結果を患者様ヘ提供するにあたり、検査を行うためにご提供いただいた検体の残余血液を有効に利用させていただくことがあります。
 この場合、患者様のお名前などの個人情報を公にすることはー切ありません。研究の妥当性を倫理委員会で承認していただきますので、ご安心、ご了承ください。
 本邦独自の研究成果は、今後の診療の上で皆様のお役に立てるものであり、ご理解いただければ幸いです。
 この件に関して、こ不明な点がありましたら、臨床検査・輸血部ヘお問い合わせください。
 皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

当院職員の皆様へ

BNT162b2ワクチン接種後のスパイク蛋白抗体価上昇の推移に関する検討

 この度、検査部では” BNT162b2ワクチン接種後のスパイク蛋白抗体価の推移に関する検討”という前向き臨床研究に参加してくださる方を募集しています。以下の内容に興味がある方は奮って、参加をご検討ください。
 私たちは、ワクチン接種後の副反応の程度がひどい人ほどその後のスパイク蛋白に対する抗体上昇価が高いという仮説を立て、“COVID-19ワクチン接種後の抗体価上昇の程度、抗体価と副反応の関係についての検討”(UOEHCRB21-023)を行いました。対象は主に検査部に従事する技師、看護師計67名でした。BNT162b2ワクチンの副反応は2回目の接種時により強く現れました。また、1回目のワクチン接種から3週後のスパイク蛋白に対する抗体価(Spike-IgG)の幾何学的平均値は1,047 AU/mLであったものが、2回目のワクチン接種から2週後17,378 AU/mLに上昇しましたが、その上昇の程度は個人個人で大きく異なり、2回目のワクチン接種後のSpike-IgG値は2,826 AU/mLから70,727 AU/mLの範囲に広く分布していました。2回目のワクチン接種後の副反応は他の因子で補正するともはや有意な抗体価上昇の予測因子ではありませんでした。
 これらの結果よりワクチン接種後のSpike-IgG値は個人差が大きく、また抗体価が今後どのように推移していくかを検討することは次回ワクチンを接種する上でも重要な情報になると考えました。

 本研究の目的は、本年3月、4月に産業医科大学の医療従事者に摂取されたファイザー社製COVID-19ワクチンであるBNT162b2ワクチン接種後のスパイク蛋白に対する抗体価(Spike-IgG)を経時的に測定し、その推移を検討することです。
 対象は本学で2回のファイザー社製COVID-19ワクチン接種を行った方です。研究に同意された方から2回目のワクチン接種3ヶ月、6ヶ月、1年後に5-10mL程度の採血を行い、この検体を用いてSpike-IgGを測定します。検討項目は各時点におけるSpike-IgG値です。結果は各参加者に個別でご報告いたします。

 ご興味のある方は以下のリンクより説明文書、同意書をダウンロードし、説明文書を読んでください。その後、参加を希望される方は参加申込書に必要事項を入力の上、検査部の江浮ヨご送付ください。ご不明な点はお電話ください。担当者が具体的にお話をさせていただきます。

 なお3ヶ月後の採血は7月中を予定しています。医師と看護師の方は、原則としてご所属の病棟または外来で採血し、検体と同意書を検査部にお持ちいただくことにします。一方、検査技師や薬剤師、放射線科技師の方は、検査部の採血室で採血を行います。患者さまとの混乱を避けるため、なるべく採血は午後の時間帯にお願いします。参加希望者の人数を考慮したのち、それぞれの方に採血日時を個別に連絡させていただきます。

 どうぞよろしくお願い致します。

お問い合わせ先:臨床検査・輸血部 比嘉(PHS 7273)または 免疫検査室(3064)
参加申込書送付先:臨床検査・輸血部 江普@e-mail aaa-ki-ma@clnc.uoeh-u.ac.jp

文書のリンク@:説明文書
文書のリンクA:参加申込書
文書のリンクB:同意書
文書のリンクC:同意撤回書

現在の申し込み状況 243/300人 (2021.7.8 現在)   申込み締切日は 2021.7.16(金) までです。

臨床研究のご紹介

 臨床検査・輸血部では現在以下の臨床研究を進めています。研究に参加するかどうかはあくまで患者様ご本人の意志にゆだねられており、研究に参加されなくとも何ら不利益を被ることはありません。研究により個人情報が流出するようなことは決してありません。また患者様に負担のかからない検査(心エコー図検査、心臓MRI検査)による検討ですのでご安心ください。

1. 心臓MRIフィーチャートラッキング法によるストレイン値を用いた心不全患者の予後予測の検討

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 J Magn Reson Imaging. 2017;45;1034-45.

2.心不全患者の予後予測因子としてBNP、NT-proBNPのどちらが有用か?

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
  J UOEH. 2020;42;1-12.

3.3次元心エコーにより求めた左室心筋重量は無症候性重症大動脈弁狭窄症患者の予後予測因子となり得るか?:後ろ向き研究

 ※症例数が充分集まらず、統計学的検出力が不足しているため、論文化は断念し、研究を終了しました。ご協力ありがとうございました。

 

4. 心不全入院患者の予後予測における至適な心エコー図検査のタイミングは?:多施設共同研究

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました
 
ESC Heart Failure. 2020;7;4213-21.

5. 本邦の心不全患者でビタミンD不足は存在するか?

6. ビタミンDは心不全患者の新たな予後予測因子となりうるか?

 ※研究は終了し、結果は5・6をまとめ投稿し、学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
  J Card Fail. 2018;24;803-5.

7.骨髄異形成症候群(MDS)の画像判定サポートシステム開発のための試料提供協力

 ※予定どおり、MDS症例の保存済み末梢血塗抹標本について、熊本大学医学部付属病院中央検査部に試料提供を行い、本研究は終了いたしました。またこの結果をまとめた論文が学術誌に掲載されました。
ご協力、誠にありがとうございました。
 Leukemia research 2018;69:54-9.

8. 心エコー画像の心内膜をトレースすることにより得られる、左室容量・左室駆出率は異なる技師でどの程度ばらつくのか?:介入前後での検討

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 
Cardiovasc Ultrasound. 2019;17;23.
 

9. 異なる技師による左室容量・左室駆出率の計測に心エコーの画質や疾患の違いは影響するか?

 ※解析結果から新規の結論が出ず、論文化は断念し、研究を終了しました。ご協力ありがとうございました。
 

10. 全自動左室機能解析ソフトの有用性に関する検討

 ※研究を終了しました。解析結果から有意な結論を導くことができず、論文化は断念しました。ご協力ありがとうございました。
 

11. 心臓3次元自動解析ソフトによる左房容量計測の有用性に関する検討

 ※研究を終了しました。解析結果から有意な結論を導くことができず、論文化は断念しました。ご協力ありがとうございました。

12. 重症大動脈弁逆流患者におけるglobal longitudinal strainの予後予測能に関する検討

 ※研究は終了しました。論文を作成し、現在投稿中です。

13. 心エコー図法を用いた軽度および中等度大動脈弁狭窄症患者における予後予測因子の検討

 ※解析結果から新規の結論が出ず、論文化は断念し、研究を終了しました。ご協力ありがとうございました。

14. 2次元心エコー図法、3次元心エコー図法およびドプラー法による計測値の違いが大動脈弁狭窄症の重症度評価に及ぼす影響についての検討

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 
J Am Soc Echocardiogr. 2018;31;1080-90.e3

15. 全自動左室機能解析ソフトの予後予測能に関する検討

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 PLoS One. 2020;15;e0234294.

16. 大動脈弁狭窄症患者における進行度と左室機能の経時的な変化:3次元スペックルトラッキング図法による検討

 大動脈弁狭窄症の重症度の評価は、大動脈弁を通過する血流速度や大動脈弁口面積により行われますが、大動脈弁狭窄症の進行に伴う左室機能への影響は個々の患者さんで異なる可能性があります。しかし、疾患進行に伴う左室機能の変化については明らかにされていません。本研究では、大動脈弁狭窄症の進行に伴う左室機能の変化とその関係を明らかにすることを目的にし、研究結果により個々の症例における左室機能を含めた重症度評価や適切なフォローアップのタイミングを判断することが可能となり、より正確な治療につながると考えています。

 平成24年1月から平成29年7月の間に大動脈弁狭窄症を指摘され、複数回心エコー図検査を受けられた患者さんへのお知らせ

17. 検体の保存条件による25(OH)ビタミンD安定性の検討

  ※研究を終了しました。解析結果から有意な結論を導くことができず、論文化は断念しました。ご協力ありがとうございました。
 

18. 心房細動患者の左室・左房容量計測に必要な平均心拍数の検討

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 J Am Soc Echocardiogr. 2019;32;495-502.e3.

19.自動3次元右室容量・駆出率解析ソフトの比較および有用性の検討

 ※研究を終了しました。比較数が少なく、論文化は断念しました。ご協力ありがとうございました。

20.右室駆出率の至適カットオフ値に関する検討

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 J Am Soc Echocardiogr. 2020;33;995-1005.e1.
 

21. World Alliance Societies of Echocardiography (WASE) Normal Values Study(世界心エコー図学会連合による心エコー図検査計測値の正常値についての研究)

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 J Am Soc Echocardiogr. 2019;32;1396-1406.e2.
 J Am Soc Echocardiogr. 2020;33;1223-33.
 J Am Soc Echocardiogr. 2021;34;286-303.

22.大動脈弁狭窄症の重症度評価の検討にコアラボ(拠点施設)は必要か?

 ※研究を終了しました。解析結果から有意な結論を導くことができず、論文化は断念し ました。ご協力ありがとうございました。

23. 圧力回復現象による重症度評価は本邦の大動脈弁狭窄症患者の予後予測に有用か?

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 J Am Soc Echocardiogr. 2019;32;351-8.e3.
  

24. 3次元心エコーによりもとめた右室駆出率の予後予測能は拡張型心筋症患者と虚血性心筋症患者で異なるか?:単施設後ろ向き研究

 ※研究を終了しました。現在解析中です。ご協力ありがとうございました。

25. 新しい心エコー図指標による心臓再同期療法への治療反応予測に関する検討

 ※研究を終了しました。解析結果から有意な結論を導くことができず、論文化は断念しました。ご協力ありがとうございました。

26.全自動左室容量・駆出率解析ソフト(Heart Model)の至適境界設定値の決定 

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 
PLoS One. 2019;14;e0211154.

27. MALDIバイオタイパー導入による医療効果・経済効果の検討

 ※研究を終了しました。研究結果を学内にて発表しました。ご協力ありがとうございました。

28.トロンビン・アンチトロンビン複合体検査試薬「ナノピアRTAT」の基礎的検討

 ※研究は終了し、結果は第53回日臨技九州支部医学検査学会に発表されました。ご協力誠にありがとうございました。

29. 3次元心エコー図画像を用いた左室・左房容積比(LV/LA volume ratio)の正常値と予後予測能に関する検討


 ※正常値に関する研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 Physiol Rep. 2019;7;e14300.
 ※予後予測能に関する研究は終了し、論文を作成し、現在投稿中です。

 

30. 2次元心エコー検査による心アミロイドーシスの診断におけるapical sparingの有用性に関する検討

 ※研究を終了しました。解析結果から有意な結論を導くことができず、論文化は断念しました。ご協力ありがとうございました。

31. 2次元スペクルトラッキング心エコー図法による大動脈弁狭窄症例における心臓アミロイドーシス合併の検討

 ※研究は終了しました。解析結果から有意な結論を導くことができましたが、同様の研究結果が学術誌に掲載され、新規性がなくなったため、投稿を断念しました。ご協力ありがとうございました。
 

32. 心エコー図検査及び心臓MRI検査による心機能指標の予後予測能に関する検討

 ※研究を終了しました。解析結果から有意な結論を導くことができず、論文化は断念しました。ご協力ありがとうございました。

33.2次元心エコー及び3次元心エコーによる左房長軸方向ストレイン値の比較と、その相違の要因に関する検討

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 PLoS One. 2021;16;e0250089.

34. 心エコーにおける次世代解析ソフトウェアの正確性に関する調査研究

 ※研究は終了し、ソフトウェア開発元にフィードバックしました。ご協力ありがとうございました。

35. 2次元心エコー図画像を用いた新しい左室機能自動解析ソフトウェアの正確性及び再現性に関する検討:後向き研究

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 PLoS One. 2019;14;e0221204.

36. 無症候性大動脈弁狭窄症患者における全自動2次元心エコー図ストレイン解析ソフトウェアでの左室、左房、右室ストレイン値の予後予測能に関する検討

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 Heart. 2020;142;1-12

37. 全自動2次元心エコー図ストレイン解析値、BNP値および心不全リスクスコアによる心不全患者の予後予測に関する検討

 私たちは、心不全のマーカーであるBNP値と心エコー図法による全自動2次元ストレイン値の2つを用いて、心不全患者さんの後予測における有用性を示すことが出来ました(PLoS One. 2020;15;e0234294.)。一方で、心不全患者さんの様々な臨床情報を元に計算したリスクスコアが知られています。このリスクスコアはこれまで多数の研究により有用性は検証されておりますが、私たちが以前に用いたBNP値と全自動2次元ストレイン値は、このリスクスコアに含まれていません。そのため、このリスクスコアにBNP値や全自動2次元ストレイン値を組み合わせることで、より強固な予後予測モデルができると考えました。この研究の有用性が証明されたならば、心不全患者さんの心臓病管理をより詳細かつ適切にでき、患者さんにとって有益となることが期待できます。

 2015年1月1日から2018年12月31日までの間に当院で心エコー図検査を受けられた患者さん及びご家族の方へのお知らせ

38. 3次元右室機能解析ソフトウェアを用いた3方向右室駆出率、ストレイン値の予後予測能に関する検討

 私たちは、ハンガリーのセンメルヴェイス大学との2施設共同研究で、右室機能解析ソフトウェアでの右室機能(右室駆出率・右室ストレイン値)の正常値に関する検討(J Am Soc Echocardiogr. 2020;33;995-1005.e1.)を報告しました。同研究では、健常な方の3次元心エコー画像を用いて、右室機能を3方向(長軸方向、重心方向、前後方向)の運動成分に分解して解析を行いました。その結果、従来注目されてきた右室の長軸方向の運動成分だけでなく、右室重心方向や前後方向の運動成分も同等の重要性がある可能性が示されました。しかし、心臓病患者さんでどの運動成分が重要であるかについては不明です。そこで私たちは、心臓病患者さんで同様の右室機能解析を行うことで、心臓イベントと関連性の高い右室機能指標を明らかにする研究を立案しました。この研究の有用性が証明されたならば、心臓病患者さんの管理がより詳細かつ適切にすることができ、患者さんにとって有益となることが期待できます。

 2014年1月から2019年12月までの間に当院で心エコー図検査を受けられた患者さん及びご家族の方へのお知らせ

39.3次元心エコー画像を用いた右室ストレイン解析の正常値に関する2施設共同研究

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 J Am Soc Echocardiogr. 2020;33;995-1005.

40.本邦の症候性大動脈弁狭窄症患者に対する治療の現況:多施設共同研究

 ※研究を終了しました。解析結果から有意な結論を導くことができず、論文化は断念し ました。ご協力ありがとうございました。

41.心房細動患者における平均左室1回拍出量の推定に必要な連続心拍数の検討

 心房細動は不規則な心拍を呈する不整脈であり、平均的な心拍出量を推定するためには、心エコー図検査ドップラー法を用いて、連続した13心拍以上の左室流出路血流速度波形を平均する必要があると報告されています。しかし、従来の方法(血流速度波形の外縁を徒手的にトレースする手動解析)で13心拍の平均を求めることは非常に時間を要する作業で、さらに計測者間の誤差も懸念されます。新しい心エコー図ドップラー波形の自動解析ソフトウェアが市販されました。このソフトウェアは20心拍程度の血流速度波形を瞬時に自動解析することが可能です。このソフトウェアの正確性、信頼性が確認されたならば、画像解析時間の短縮につながり、計測者間による誤差もなくなることが期待されます。また、平均左室1回拍出量の推定に必要な連続心拍数も併せて検討します。

 2019年3月から2019年7月までに心エコー検査を受けられた方及びご家族の方へのお知らせ

42.左室駆出率の保たれた心不全患者の三尖弁閉鎖不全症と予後との関連についての検討

 ※症例数が集まらず、研究を終了しました。ご協力ありがとうございました。

43.無症候性大動脈弁狭窄症患者に対し、二次元心エコー、三次元心エコー指標を用いたクラスター分析による予後予測の有用性についての比較検討

 ※研究を終了しました。結果に臨床的有用性が認められず、論文化は断念しました。ご協力ありがとうございました。

44.次世代心エコー解析ソフトウェアを用いた全自動3次元右室機能解析の予後予測における有用性の検討

 ※研究は終了し、結果は学術誌に掲載されました。ご協力誠にありがとうございました。
 J Am Soc Echocardiogr. 2021;34;117-26.

45.3次元心エコーによる左室、左房、右室駆出率の心予後予測能に関する検討

 ※研究を終了しました。使用予定の解析ソフトウェアが開発中断となり、論文化は断念しました。ご協力ありがとうございました。

46.生化学測定装置による新しいBNP測定法の予後予測能に関する検討

 脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide: BNP)は、心不全患者の管理指標や予後予測因子です。従来、BNPの測定は免疫検査法で行われてきましたが、免疫検査装置を設置していない病院も少なくなく、その様な施設では外部検査機関へ外注する必要があります。近年、一般的な生化学自動分析装置でBNPの測定を可能とする試薬が市販されました。検査時間の短縮が見込めるほか、免疫検査装置を設置しない病院でもBNPが測定可能となります。本研究の目的は、生化学自動分析装置用試薬によるBNP値を従来の免疫学的検査によるBNP値と比較することです。

 西暦2019年12月から西暦2020年7月の間に当院で血液検査を受けられた方及びご家族の方へのお知らせ

47.全自動左室、左房、右室ストレイン解析とBNPによる心不全患者の予後予測に関する検討

 新しい左室新機能指標である左室長軸方向ストレイン(left ventricular global longitudinal strain: LVGLS)や、左房長軸方向ストレイン(left atrial longitudinal strain: LALS)や右室自由壁長軸方向ストレイン(right ventricular free-wall longitudinal strain: RVfwLS)などが、心不全患者さんの予後予測に有用とする報告が相次いでいます。しかし、各ストレイン値を手動で算出する際には、検者ごとに生じる測定誤差が重要な問題となります。また、全てのストレイン値を手動で算出することは、解析に要する時間から困難です。これらの問題を解決する方法の一つに全自動解析があります。新しい全自動2次元ストレイン解析ソフトウェアを用いると、LVGLSやLALS、RVfwLSを短時間で算出可能で、検者間の誤差も消失します。本研究の目的は、心不全患者さんの予後予測における、全自動解析で得られるパラメータ(BNPやLVGLS、LALS、RVfwLS)の有用性を検証することです。

 西暦2015年1月から西暦2018年12月の間に当院で心エコー図検査を受けられた方及びご家族の方へのお知らせ

48.POT(PCR-based ORF Typing)法によるClostridioides difficileの分子疫学解析

 C. difficileは偏性嫌気性グラム陽性桿菌で、腸管内や環境中に広く生息しており、1978年に抗菌薬関連腸炎である偽膜性大腸炎の原因菌として報告されました。
 C. difficileを保菌しても必ず病原性が発揮される訳ではなく、抗菌薬暴露や抗がん剤・免疫抑制薬・副腎皮質ステロイドなどのリスク因子が加わることでC. difficile 関連下痢症や偽膜性大腸炎などの感染症を発症します。C. difficileは、芽胞を形成することで消毒剤や抗菌薬にも抵抗性を示すため、院内感染や抗菌薬関連腸炎の原因菌として重要です。そこで、C. difficileの遺伝子型の解析を行い、病院内でのヒトや環境を介した病原菌の伝搬が過去に発生していないか、検出された毒素と臨床症状の関係性を調査し、今後のより良い院内感染症対策に役立てます。


 2018年1月から2020年12月に偽膜性大腸炎、Clostridioides difficile(クロストリジオイデス・ディフィシル)関連下痢症と診断、また、C. difficileが便検体から検出された患者さんへのお知らせ


  
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