建学の使命と医学概論

本学医学概論のルーツ

産業医科大学建学の使命(要約)

産業医科大学初代学長 土屋健三郎

  1. 産業医科大学は人間愛に徹し、生涯にわたって哲学する医師を養成し、
  2. 産業環境を中心とする環境科学とライフサイエンスとの融合発展に努力を払い、
  3. 経済学をも含む新しい生態学を発展せしめ、
  4. 産業化社会における産業医学の確立のみでなく、地域医療との有機的な結合をはかり、
    もって 21世紀の医学分野における先駆者として、人類のより良い生存をかちとるための新しい福祉社会を樹立することを建学の使命とする。

上記の中でも特に、「人間愛に徹し、生涯にわたって哲学する医師の養成」が本学における医学概論教室誕生の母胎です。これは本学の校章にもなっています。このことを踏まえて、開学以来、医学概論は6年まで必修科目となっています。

「概論」に関する誤解と本来の意味

医学概論は、医学関係者の間においてさえ、よく医学総論や医学概説、あるいは医学入門と勘違いされることがしばしばあります。これは、「概論」という言葉の意味をよく知らないために生じる誤解だといえます。それでは、医学概論の「概論」は一体何を意味するのでしょうか? 

  1. 医学概論は医学入門ではありません。概論は単に概略(アウトライン)を意味するものではないということです。
  2. 概論には「物事の本質を見極める」という意味があります。つまり、医学概論は医学の本質を見極める「医学の根源を問い直す学問(Essential Medicine)」であるといえます。 
  3. 言い換えると、医学概論は、「人間学としての医学」を探究する学問であるといえるでしょう。

校章

校章

(昭和54年4月制定)

建学の使命である「人間愛に徹し生涯に亘って哲学する医師を養成」を表現するにあたり人間の「人」を医学の「M」がおゝらかに囲み。更に大地を踏みしめた人文字は哲学する医師を志す力強さであり、天を仰ぎ真直に伸びる上半身は、Mの飛躍を示す両翼の心臓部となり大学の大を表わす。

(製作者 芹田騎郎氏)