健康経営のためのウイルス肝炎対策

このサイトは、厚生労働科学研究費補助金肝炎等克服政策研究事業「職域におけるウイルス性肝炎患者に対する望ましい配慮及び地域を包括した就労支援の在り方に関する研究」 (H26-肝政-一般-002)の成果として開設しました。

4.就業上の配慮

 検査結果が陽性であった人は、受診して精密検査と必要な治療を受けることが大切です。本人が職場でそのことを申告した場合は、産業医をはじめ職場の健康管理を行う立場の人が、本人が肝臓専門医(https://www.jsh.or.jp/medical/specialists/specialists_list)を受診し、通院を継続しやすいように、職場の上司や人事担当者に相談して、勤務時間を調整しましょう。その際は、健康情報を不用意に提供しないように注意し、判断に迷う場面があれば本人の了解を得ましょう。
受診の結果、本人が主治医から日常生活や就業に関する注意事項を伝えられていないか、確認しましょう。そして、就業に際して作業内容や作業時間を軽減する等の措置(以下、就業上の措置)が必要と考えられる場合は、本人に了解を得て主治医に病状や治療状況を確認した上で、産業医にその情報を提供して、就業上の措置の要否やその内容についての意見を求めましょう。通常、肝機能検査の高度異常や肝不全と呼ばれる病状でなければ、軽作業への変更や有機溶剤への曝露の制限といった就業上の措置は不要です。
 なお、労働安全衛生法第68条に基づく労働安全衛生規則第61条(表)には病者の就業禁止に関する規定がありますが、この条項は軽作業でも容易に息切れを生じる等の安静が必要な重症者に限って適用されるべきものです。この条項はほとんど適用する必要がないものですので、過剰な適用をしないように注意しましょう。

表 「病者の就業禁止」に関する労働安全衛生法令の条文
労働安全衛生法第68条 事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない
労働安全衛生規則第61条 事業者は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止しなければならない。ただし、第一号に掲げる者について伝染予防の措置をした場合は、この限りではない。
病毒伝ぱのおそれのある伝染病の疾病にかかった者
心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかった者
前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった者

2 事業者は、前項の規定により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見をきかなければならない。

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