産業医科大学 医学部 皮膚科学教室

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専門外来(詳細)

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皮膚腫瘍・皮膚外科

皮膚には様々な腫瘍ができます。皮膚科領域ではホクロやイボなどの良性腫瘍、基底細胞がんや有棘細胞がん、ほくろのがんと言われる悪性黒色腫(メラノーマ)などの皮膚悪性腫瘍、皮膚T細胞リンパ腫をはじめとした血液のがんなど、非常に多くの腫瘍を扱います。多くの皮膚腫瘍は直接見たり触ったりすることができるため、患者さん自身が気付いて受診されることが多く、早期発見が可能な腫瘍といえます。
皮膚の腫瘍をみた時、その腫瘍が良性であるか悪性であるかの判断が必要となります。視診・触診などの基本的な診察に加え、黒色調を呈する腫瘍の場合にはダーモスコピー検査という特殊な拡大鏡を使った検査が有用です。最終的な診断のためには組織診断が必要となるため、確定診断目的に皮膚生検を行っています。
当科では多くの皮膚悪性腫瘍の患者さんを診療しています。皮膚悪性腫瘍は手術ですべて取り除くことが最も重要で、特に基底細胞がんや有棘細胞がんは手術で根治が可能な場合がほとんどです。一方、悪性黒色腫(メラノーマ)は他の皮膚悪性腫瘍とは異なり、皮膚の深部や周囲組織に浸潤し、リンパ節転移や他臓器転移をきたしやすい悪性腫瘍です。
手術療法に加えて化学療法や放射線療法などを組み合わせて治療することも多いです。近年、悪性黒色腫に対する新しい薬物治療が登場し、免疫療法や分子標的薬による治療が可能となりました。

アレルギー

アレルギーとは、通常ひとには無害な抗原に対する免疫反応が過剰・異常に起こって有害な結果をきたす状態のことをいいます。蕁麻疹、接触皮膚炎(かぶれ)などわりと身近なものから、光アレルギー、薬剤アレルギー、金属アレルギー、食物アレルギー、汗アレルギーなど、様々なアレルギーに対する診断・治療を行います。また、当科では、パッチテストや光線過敏を調べるテスト、薬剤アレルギーのテストなどさまざまな検査を外来あるいは入院で積極的に行っております。

アトピー性皮膚炎

とても強いかゆみ、湿疹に苦しんでおられる患者様は少なくないと思います。アトピー性皮膚炎のために日常生活や精神・心理面への影響が強く現れる患者様もいらっしゃいます。症状がない状態、あっても日常生活に支障のない状態、また急に悪化することがなく、悪化してもそれが続かない状態を目標として、当科では保湿剤やステロイド、タクロリムスによる外用療法を基本として、シクロスポリン内服や紫外線療法、生物学的製剤(デュピクセントR注射)など、それぞれの患者様の症状やライフスタイルにあわせて治療を行ってまいります。

職業性皮膚疾患

皮膚は外界と接しているために、周囲の環境からさまざまな影響を受けます。温熱や光などの物理的な刺激やさまざま化学物質などが皮膚に作用することで、皮膚障害を起こすことがあります。これらが特に職業にかかわっている場合を、職業性皮膚疾患と呼んでいます。
職業性皮膚疾患には、接触皮膚炎・紫外線障害・ざ瘡・放射線皮膚炎・化学熱傷・虫刺症・皮膚循環障害などさまざま疾患が含まれます。これらを正しく判断するためには、皮膚科の専門知識に加えて、作業環境や作業内容についての理解が必要と考えます。
当教室には、産業医経験のある皮膚科医が在籍しています。就労と関連した皮膚障害が疑われる際には当教室にご相談ください。

薬疹

薬によるアレルギーには様々な種類があります。服用してから15分程度で出現するアナフィラキシー反応から、服用開始から2-3週間後、あるいはそれ以上の期間で出現することもあります。
たくさんの薬剤を内服している場合には、原因となる薬を判定することが難しい場合もあります。

原因薬を決める検査

パッチテスト

薬剤を10%と20%の濃度でワセリンと混合して、背部などに貼付し、48時間後に判定する検査です。一度にたくさんの薬剤を検査できます。

DLST(リンパ球刺激試験)
DLST(リンパ球刺激試験)

患者さんの血液を試験管の中で薬剤で刺激して、リンパ球の増殖反応を測定する検査です。

プリックテスト・皮内テスト

アナフィラキシーを起こしたかもしれない薬剤を少量皮膚に滴下し、ちいさな針で刺激する(プリックテスト)もしくは微量を皮膚に注入する(皮内テスト)を行います。
※ 入院の上検査をします。

内服テスト

アスピリン不耐症などでは、体内で吸収される過程で生み出された代謝産物によるアレルギーとなる可能性あり、実際に内服して症状が誘発されるかを見ます。
※ 入院の上検査をします。

重症薬疹

スティーブンジョンソン症候群や中毒性皮膚壊死症、薬剤過敏症症候群など、入院や修学的な治療を要する躍進についても加療を行います。
当院は、厚生労働科学研究費補助金「難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業): 重症多形滲出性紅斑に関する調査研究」班によって、重症薬疹診療拠点病院認定も受けています。
夜間・休日にも皮膚科医が常駐しており、即時に対応が必要と考えられる重症薬疹の患者の受け入れを24時間体制で行っております。

水疱症

脱毛症の多くはからだテロイド外用薬、かぶれ療法、エキシマライト照射、ステロイド点滴療法など、さまざまな治療法を提案しています。

脱毛症

脱毛症の多くはからだの機能には大きな障害にはならない反面、外見に大きな影響を与えるために患者さんにとって、大きな心の負担となることがあります。また、ひとくちに脱毛症といっても、円形脱毛症・男性型脱毛症・瘢痕性脱毛症・休止期脱毛症などさまざまな疾患が存在します。
当科の脱毛症外来では、血液検査、皮膚生検(皮膚の一部を切り取って顕微鏡で確認)、トリコスコピー(専用の器具を使って毛孔や毛の様子を診察)などを用いて、できる限り正確な診断を行い、患者さんの症状に応じた治療法を提案できるように心がけています。
特に、当科においてもっとも患者数の多い円形脱毛症では、ステロイド外用薬、かぶれ療法、エキシマライト照射、ステロイド点滴療法など、さまざまな治療法を提案しています。

乾癬・掌蹠膿疱症

乾癬(かんせん)は赤い発疹が散在性に出現する慢性の皮膚病で、時にかゆみを伴います。
昨今、メタボリック症候群と関連のある慢性皮膚疾患として捉えられており、内科との連携を要することがあります。
乾癬の約9割は皮膚のみに症状の出現する「尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)」ですが、そのほかに全身が赤くなる「乾癬性紅皮症」、皮膚に膿を形成する「膿疱性乾癬」、関節症状を伴う「乾癬性関節炎」などのタイプもあります。
「乾癬性関節炎」は、初期症状として足の裏の腱やアキレス腱が腫れて痛み、その後、手関節や腰痛などが出現することがあります。
進行すると、関節変形をきたすことがあり当科では早期から積極的に治療介入し、生物学的製剤の治療も考慮します。
「膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)」は、非常に稀ではありますが、急速に発症して心不全や呼吸不全をきたし全身管理が必要となることもあり、慎重な薬物調整が必須です。
当外来では各患者様の病状にあわせて外用療法、紫外線療法、内服療法、生物学的製剤を組み合わせて治療を行っています。

掌蹠膿疱症

「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」は、「膿疱性乾癬」の一部と捉えられることもあり、当院の乾癬外来でも積極的な治療を行っています。
この病気は、手のひらや足のうらに、水ぶくれやうみ(膿疱)が繰り返しできますが、膿疱の中には細菌やウイルスなどの病原体は入っていない(無菌性膿疱)ため、直接触れても人に感染することはありません。
喫煙は悪化因子のひとつと考えられており、禁煙することも大切です。
また、約10〜35%に骨関節炎を合併することが報告されています。最も多くみられるのは胸骨と鎖骨をつなぐ関節(胸肋鎖関節)です。
痛みを伴う場合は、皮膚症状に対する治療とは別の治療が必要となることもあります。
近年、掌蹠膿疱症に対する新しい生物学的製剤が登場し、これまでの治療法で難渋するようなケースでも治療ができるようになりました。

文責:皮膚科学教室
更新日:2023/4/12