産業医科大学 医学部 皮膚科学教室

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皮膚科学を学ぶ魅力

皮膚はしなやかな鎧でかつ免疫臓器です。外界から攻撃する化学物質、微生物、紫外線などを塞き止めるバリアであるばかりでなく、そうした攻撃に対し免疫反応を起こして対応しようとします。そうしたせめぎ合いの最前線で皮膚疾患は発生します。また皮膚は肉眼で見えるという特殊性を持った臓器です。従って皮膚病の大半はすぐさま眼に飛び込んで来ます。

こうしたダイナミックな疾患の起こり立つ“現場”を目の当たりにするというのは、皮膚科という科の大きな特徴となっています。加えて、“皮膚は内臓の鏡”と表現されるように、皮膚病変は種々の全身性疾患を反映します。また皮膚疾患の理解は血液など全身的理解が必要になります。こうした病態は個々の病変について少しずつ解明されてきており、魅力ある研究テーマともなっています。

なぜ皮膚科を皆さんに勧めたいのか

皮膚科の多様性

皮膚科は、皮膚という臓器に専門性を特化しています。この点は循環器内科などの他の診療科と同じではありますが、皮膚科では、皮膚の病気であれば子供から老人の方まで、最初の診察から病理を含む診断、内科的・外科的治療まで行います。そのため、一人の患者さんを最初から最後まで責任をもって診ることができます。また、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹のような炎症性皮膚疾患から、白癬や蜂窩織炎という感染症、強皮症のような膠原病、水疱症のような自己免疫疾患、メラノーマやリンフォーマといった悪性腫瘍、さらには美容皮膚科といった多岐にわたる疾患を扱うことも特徴の一つです。

将来設計のフレキシビリティ

もう一つの大きな特徴として将来の選択肢の広さが挙げられます。今皆さんは医者になって、昼夜問わず臨床に打ち込みたい、バリバリ手術をしたい、研究もやって新たな治療法の解明を行いたい、出産して子育てもしてみたい、産業医として働きたい、開業したい、留学をしてみたい、などといろいろな夢や希望があると思います。その点、皮膚科はさまざまなライフスタイルを選ぶことが可能であると思います。

基本ポリシー

臨床科として

産業医大皮膚科は臨床科ですので、当然ながら皮膚科診療を中心に業務を行います。その内容は、皮膚科学全般ですが以下の特色を持ちます。とくに専門的な分野としては、皮膚免疫・アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎など)、皮膚悪性腫瘍(メラノーマ、リンフォーマ)、脱毛症、尋常性乾癬、皮膚真菌症、光線過敏症、職業性皮膚疾患、があります。また手術も盛んに行っています。高度な先進的医療を提供しつつ、かつ地域医療を担うという面も満たしています。病床は19床で、新患患者を受け付けている月水金の外来数は100〜190人、紹介率は60〜70%です。

研究施設として

産業医大皮膚科学教室は大学の講座ですので、研究を推進します。研究テーマは、皮膚免疫・アレルギー(接触皮膚炎、自然免疫、アトピー性皮膚炎)、リンフォーマ、メラノーマ、光生物学、再生医学、毛髪科学、かゆみ機構、職業性皮膚疾患が中心です。グローバル化された現在の臨床科学研究において、その研究成果を力強く世界に向けて発信することは必要不可欠であります。産業医大皮膚科学からの英文論文を積極的に発表するよう考えています。

教育施設として

新臨床研修とくに後期臨床研修における教育を行うことは言うまでもありません。それを充実させるために、カンファランス、皮膚病理勉強会、病棟回診を行っています。これらの教育を通じてその成果としての論文執筆、学会発表を推奨しています。そのために多くのサポートをスタッフ一丸となって行っています。

活き活きとした環境で延び延びと臨床、研究、教育を行うことは産業医科大学皮膚科学教室の目標とするところです。臨床的研究が深みを持って達成されることを目標としております。

臨床研修のコース

前期臨床研修

産業医大附属病院で前期臨床研修を行う場合、2年目に皮膚科を選択科の一つとして数カ月研修することができます。このシステムを利用して2年目の途中から皮膚科を学びはじめ、後期臨床研修に繋げることができます。

後期臨床研修(後期臨床修練・専門医養成プログラム)

後期臨床研修は産業医大の場合、専門修練医(卒業生)または専修医(他大学出身者)と呼んでいます。名称の用い方はともあれ、3〜6年目の医師が研修します。皮膚科医としての全てが身に付くことを目標とし、加えて専門医の取得、学位の取得を目指します。大学附属病院を中心に研修しますが、一時期(最長で2.5年)関連病院に出向することもあります。病棟と外来業務を同時に行います。とくに病棟では直接の主治医となり活躍します。

大学院

専門修練医あるいは専修医の換わりに大学院生となることもできます。大学院に進むのは大歓迎です。大学院進学は3年目以外でも可能です。基本的に皮膚科の診療をしながら研究を行います。そのため専門医を取ることに支障をきたすことはあまりなく、また、生活が苦しくなるということも基本的にありません。研究テーマは与えますし、論文指導も全て行いますので研究に抵抗が多少ある方でもスムーズに学位が取れるよう指導します。

産業医大卒業生の場合は、理想的には2年間でデータを出し、後半2年は社会人対象の昼夜間開講大学院に切り替え、専属産業医となって論文を作成するのが効率的です。このシステムは大学も推奨していますので制度上の障害はありません。

専門医

「日本皮膚科学会皮膚科専門医」があります。医局員全員を対象に取得するよう指導します。 先輩医師による専門医試験に向けた勉強会も適宜行っています。 また当教室は、専門医取得のために日本皮膚科学会の指定をうけた主研修施設の1つであり、研修基幹施設として、連携する各研修施設の特徴を生かした研修コースを設定しています。

詳しい研修の内容は「教育プログラム」をご確認ください。

学位

入局者全員を対象とし、是非とっていただくよう指導します。学位は大学院に入学して取得することも(甲)、働きながら取得することも(乙)できます。然るべきレベルの英語の雑誌に論文が掲載されるあるいは掲載予定であるならば学位の対象とみなします。

留学

希望あるいは勧めにより7年目以降に非常勤助教などとして留学します。留学先はスイス、米国、ドイツ等です。現在海外の複数の教室から有給ポジションの依頼を受けている状況です。留学は、広い視野や経験を持つためにも有益であり、積極的に勧めます。

女性皮膚科医をめざす

少子化問題がある一方で、女性医師の離職による医師不足が問題になっており、一体私はどうすればいいの?と自身の将来設計に不安をかかえている女性も多いと思います。女性医師が仕事を続けて行くためには、ライフステージによって、仕事のペースを調整することが不可欠です。

産業医大皮膚科では、様々なライフステージの女性医師が、それぞれのペースで臨床、研究、そして産業医として活躍しています。中には子育てをしながら、研究を続けている先輩女医たちもいて、お互いに苦労話をしながらも、生き生きと働いています。産業医大皮膚科には、それぞれの環境を理解し、困ったときには助け合いながら頑張っていける環境が既に整っているのです。皮膚科医としてのキャリアだけでなく、自身の女性としての幸せとの両立を応援します。

先輩からのメッセージ

先輩たちの声

本学出身3年目

私は産業医科大学出身で、ポリクリ、クリクラ、そして研修医2年間を経て、様々な科を回る中で、患者さんの症状を実際に目で“見る”ことで診断できる皮膚科は面白いと感じ、皮膚科に入局することを決めました。

また、女性医師にとっては、結婚や妊娠・出産などのライフイベントが仕事に大きく関わってくると思いますが、皮膚科の先生方はお子さんを産んで働かれている方も多く、仕事を続けていく上で、先輩女性医師に自分の将来について相談しやすい環境であるということも、入局を決めた一つの理由です。上の先生方も、優しくて気さくな先生方ばかりで、困ったことがあれば何でもすぐに誰かに聞ける環境であることも魅力です。

皮膚科の診療といえば内科的な面をイメージしがちですが、皮弁作成などの繊細で複雑な手術もあり、外科的な部分も多くあります。皮膚科に興味のある方はもちろん、どの科に入局したらいいか悩んでいる方も、ぜひ一度見学などに来られてくださいね。

出産を経た女性医師
〜女性医師の立場から〜

私は同大学を卒業し、出身地の病院で臨床研修を行い、その後、同大学病院、関連病院で勤務、その間産業医も2年半経験させていただきました。現在は同大学病院で外来・病棟業務を行う日々を過ごしております。

もともと皮膚には興味がありましたが、大学5年生の病院実習の際、皮膚を見て次々と診断・治療をしていく先生方をみて、まるで魔法使いにあったかのような衝撃を受け、私もそんな医師になりたいと思い入局を決めました。皮膚科を実際学び始めるとさまざまな専門分野があり、実際の診療のほか、研究などいろいろなことができ、飽きることはありません。
皮膚科専門医も必ずとれます。

また、プライベートでは、2児の母でありますが、医局のみなさんや家族、保育園などのご協力のもと、毎日楽しく忙しくやっています。仕事と子育ての両立とよく言いますが、そんなにたやすいものではありません。でも当科は相談しやすい環境もあり、ひとりで悩むことはないです。それに同じようなママさん医師や理解のあるパパさん医師も多くいるので、子育ての情報共有もできて、ママ友いらず(笑)です。
日々感謝の気持ちを忘れず、これからも魔法使いへの道を進んでいきたいと思います。

産業医経験を経て

産業医大を卒業し、皮膚外科医を志して皮膚科に入局しました。しかし後期研修期間中に、事情により遠方の家族との同居が必要な事態となりました。事情をご相談したところ、少し長い期間、某製造業企業の専属産業医として出向させていただけることになりました。産業医として勤務している間も教室から気にかけていただき、皮膚科の勉強が続けられるようにご配慮をいただきました。臨床への復帰後は皮膚科専門医取得に加え、手術担当者としてのスキルアップができるように支援をいただきました。少し遠回りをしましたが、現在では大学病院で手術症例も担当しながら、楽しく忙しく働くことが出来ています。産業医として多くの従業員の復職や就労環境調整に携われた経験は、現在の臨床医としての業務にも活かされているなと感じています。

当教室ではいろいろなバックグラウンドをもつ先生が、それぞれの経験を活かして日々の業務を行っています。風通しの良い環境だと思っています。この文章を読まれている先生と、一緒にはたらけることを楽しみにしています。

他大学出身3年目

私は他県出身で他大学を卒業し、産業医科大学皮膚科に入局しました。皮膚科の入局先に悩んでいた時に産業医大皮膚科の雰囲気の良さや症例の守備範囲の広さの噂を耳にし、見学を申し込んだのが入局のきっかけです。実際に入局して学会発表や論文執筆のチャンスの多さはもちろんのこと、医局の風通しの良さを実感しています。実臨床では医学書に書いていることでは対応できないような壁にぶつかることが多いですが、悩んだ時にどう考え対応し乗り越えていけば良いのか、それを経験豊富な上級医に相談しやすい環境にあることは当科の大きな強みであり、入局してよかったと心から感じる点でもあります。

医局員の大半が産業医大出身者ではありますが、他大学出身者への壁は全くなくすぐに馴染むことのできる大変雰囲気のいい医局です。入局先に悩んでいる方は是非一度見学にいらしてください。

臨床教育内容

病棟診療

主治医として直接入院患者の治療にあたる。受け持つ疾患は皮膚科全般を漏れなく担当する。当院は皮膚悪性腫瘍の入院患者が多く、特にメラノーマとリンフォーマは多い。これらに加えて炎症性皮膚疾患では、乾癬、アトピー性皮膚炎などを担当する。特殊なアレルギー疾患の検査入院もある。直接指導者を置き、通常よりきめ細かい指導ができるようにしている。週1回の病棟回診では、病状の説明を適確に行う。

外来診療

外来を担当する医師を介助し、また検査や皮膚科処置を行う。検査としては、皮膚生検、パッチテスト、光パッチテスト、光線テスト、プリックテストなどがある。処置には軟膏処置、外科処置がある。また光線治療外来では、ナローバンドUVB療法の担当医として治療に当たる。
また美容外来を設けており、ケミカルピーリングを行っている。とくに興味のある女性医師は担当する。

手術

皮膚悪性腫瘍と良性腫瘍の手術に介助する。また粉瘤など小腫瘍については執刀する。簡便な局所皮弁や植皮は執刀できるようにする。

カンファランス

週1回入院患者、外来患者のカンファランスを行っており、現在の状態、問題点、今後の治療などについて討論する。この際、臨床写真、検査所見、病理像など、リアルタイムに描出してディスカッションする。

皮膚病理勉強会

月1回の病理勉強会では地域の皮膚科医も出席して、問題症例を臨床像と病理所見から検討する。そのプリゼンターとして数症例を担当する。また、若手医師を中心とした皮膚病理の検討会を週に1回行っており、病理の基礎はそこで学べる。

産業医教育施設としての役割

産業医大はその卒業生を対象に産業医を育てる目的大学である。その中の臨床科であり、当然、皮膚科では産業皮膚科学あるいは職業性皮膚疾患を教え、また研究している。職業性・環境性皮膚疾患の中で最も頻度が高いものは接触皮膚炎であり、アレルギー性接触皮膚炎を始めとする種々の皮膚アレルギーについて免疫学的機序を解明している。光の生体に及ぼす影響や光線過敏症も産業皮膚科学の重要な分野であり、とくに化学物質によるアレルギー性光線過敏症についても研究を行っている。こうした最新の知識を提供するとともに、臨床研究を行えるようにする。

修得すべき事項

診断
  1. 視診
    皮疹の見方は最も重要なものであり、これ無くして皮膚科診断はできない。その修得のために、「アルゴリズム・パターン」と「引き出し・パターン」で皮疹を読み解く訓練をする。前者は系統立って皮疹をみていくことであり、後者は皮疹があるパターンを示している時、どんな鑑別診断を含めどんな疾患が考えられるかということである。
  2. 皮膚生検・皮膚病理
    病理学的診断は皮膚科にとって非常に重要なものであり、組織像についても皮疹と同様に読み解く能力を養わなければならない。また酵素抗体法、蛍光抗体法も修得する。
  3. 真菌の培養
    真菌感染症は皮膚科領域では非常に多く、これを培養し簡単なものは同定もできるようにする。
  4. パッチテスト
    接触皮膚炎や薬疹の診断技術をして学ぶ。
  5. 光照射試験
    UVAやUVBを照射し光感受性を調べる。また前者のパッチテストと組み合わせた光パッチテストも行う。
治療
  1. 薬物療法
    一般的な外用療法、内服療法について学ぶ。また悪性黒色腫や皮膚リンパ腫に対して化学療法を行えるようにする。
  2. 光線療法
    特にナローバンドUVB療法を実施できるようにする。
  3. 皮膚外科
    皮膚腫瘍の手術療法について学び、切除、簡単な皮弁、植皮はできるようにする。皮膚外科にとくに興味のあるものは、さらに高度な技術の修得を目指す。
専門修練医、専修医(3〜6年目)の日常
  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
午前 外来処置
または陪席
手術 外来処置
または陪席
手術 外来処置
または陪席
午後 病棟
2週1回
臨床実習学生割当
手術、病棟   手術、病棟  
14:00     教授回診    
17:00     カンファランス
(病棟患者、外来患者)
  4週1回抄読会
19:00       第3木曜
北九州市
皮膚科 医会
第4木曜日
研究会(不定期)
 

教育プログラム

産業医科大学医学部皮膚科研修プログラム(PDFデータ)

教室見学希望の方へ

教室見学はいつでも歓迎いたします。
ご希望の方は、皮膚科講座代表メール

にまでご連絡ください。

文責:皮膚科学教室
更新日:2023/4/12