WFunの特徴
WFun (Work Functioning Impairment Scale) とは、産業医科大学で開発された、健康問題による労働機能障害の程度を測定するための調査票です。心理測定学理論およびRasch modelと呼ばれる数学理論にもとづいて開発されました。
7つの質問項目
調査票は、簡易な7つの質問のみです。
(例:「ていねいに仕事をすることができなかった」)。
疾患非特異的
特定の疾患や症状を対象としていません。どのような疾患や症状であれ、労働機能の障害を経験している状態を測定します。
医療情報を用いない
WFunの質問項目には、健康情報は用いられません。
そのため、必ずしも保健医療職でない職場の担当者でも、取り扱いやすい内容となっています。
なお、医療情報を用いていませんが、医学的な症状やその後の休職リスクと強く関連することが示されています。
一次元性と局所独立性
この調査票は、「労働機能障害の程度」という、一つだけの概念を測定します(一次元性と呼びます)。また、回答者の回答は、回答者の「労働機能障害の程度」のみによって規程されます。
総点のみの評価
WFunは総得点が全ての情報を保有しています。質問項目ごとの回答パターンを分析する必要はありません(統計的に、「総点がsufficient statistics」と呼ばれる特徴です)
したがって、評価方法は単純に、総得点のみです。
WFun得点の解釈(参考)
- WFunは、得点が高いほど、労働機能障害の程度が高いことを意味します。
- 外的基準(症状など)との明確なカットオフ値はありません。
- 大よその目安として、上のような分類を提案しています。
客観性
評価は、性、年齢、職種などに影響されません。(統計的に、specific objectivityと呼ばれる特徴です)。
この特徴があるため、年齢構成や職種に関係なく、部署間や、会社間のベンチマークが可能です。
[文責:産業医科大学公衆衛生学教室]
[更新日:2016年7月19日]