健康経営のためのウイルス肝炎対策

このサイトは、厚生労働科学研究費補助金肝炎等克服政策研究事業「職域におけるウイルス性肝炎患者に対する望ましい配慮及び地域を包括した就労支援の在り方に関する研究」 (H26-肝政-一般-002)の成果として開設しました。

3.定期健康診断の精密検査

2008年以降、企業が実施する定期健康診断の有所見率は連続して50%を超えています。検査項目ごとにみると、肝機能検査の有所見者は約15%程度となっています。肝機能検査が異常値となる理由は、本来、精密検査によって確認し、必要な対策を講じることが勧められます。有所見の健康診断結果には産業医や産業保健職が保健指導を行って精密検査の受診を勧奨する法制度になっていますが、中小規模の事業場では徹底されておらず、有所見率の数値は大きく変わっていないのが現状です。その背景には、肝機能が異常値でも症状がないと受診する人が少ないうえに、高血圧や糖尿病と異なり疾病に関する知識が普及していないことがあると考えられます。その結果、もし、ウイルス性肝炎が原因であったとしても、職場で検査をしていなければわからないままになります。

現在、ウイルス性肝炎は、早期に対応すれば、高い確率で治すことができるようになっています。特に、C型肝炎は、直接作用型抗ウイルス剤によりインターフェロンの注射ではなく経口薬でほぼ完治できます。定期健康診断の結果が有所見であったにもかかわらず、精密検査を受けるように指導されなかったためにウイルス性肝炎の発見が遅れて完治できる機会を逸した場合には、会社の健康管理体制を批判される可能性が生じます。働く人々が、定期健康診断を通じて、自分で肝炎ウイルスに感染しているかどうかについて知ることができる機会を職場で積極的に提供することが重要です。

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このサイトは、厚生労働科学研究費補助金肝炎等克服政策研究事業「職域におけるウイルス性肝炎患者に対する望ましい配慮及び地域を包括した就労支援の在り方に関する研究」 (H26-肝政-一般-002)の成果として開設しました。