健康経営のためのウイルス肝炎対策

このサイトは、厚生労働科学研究費補助金肝炎等克服政策研究事業「職域におけるウイルス性肝炎患者に対する望ましい配慮及び地域を包括した就労支援の在り方に関する研究」 (H26-肝政-一般-002)の成果として開設しました。

2.「健康経営」のパイロット的な取組みになり得るウイルス性肝炎対策

「健康経営」は、とりわけ、今後益々増える「高年齢労働者」(その中には、役員や上級管理職も含まれます。)の健康リスクを低減し、その活性を高めることが期待されています。この観点から、特に中高年世代に多いと想定される肝炎ウイルス感染者、ウイルス性肝炎患者について、会社による啓蒙、支援のもと、労働者が積極的に肝炎ウイルス検査、治療に取り組む意義は大きいと考えられます。

「健康経営」は、そもそも、健康な労働者だけで企業を運営するという考え方ではなく、障害や疾病を持つ労働者が就業を継続できるよう支援する「ダイバーシティ&インクルージョン」の考え方に立脚しています。この観点から、肝炎ウイルス感染者、ウイルス性肝炎患者が、仕事への支障や雇用・キャリアへの不安なく治療を受けられるよう、企業は、就業と治療を両立させるべく、適切な「就業上の配慮」を尽くすことが必要です。そのためには、企業自身が正しい知識を備え、ウイルス性肝炎に罹患した労働者の仕事を過度に制限したり、不当に職場から排除したりすることのないように留意するバランス感覚が求められます。

「健康経営」を効果的に推進するためには、会社による労働者の「健康情報の有効な利活用」と、労働者自身の「ヘルスリテラシー」(すなわち、自分の健康について必要な情報を取得し、理解し、行動する能力)の向上が鍵となります。そのためには、労働者の健康情報の「プライバシー保護」と労働者の健康に関する「自己決定」に十分配慮しながら会社への信頼と自発的なコミュニケーションを促し、風通しの良い職場風土を醸成することが重要です。誤解や偏見が残るウイルス性肝炎の検査やウイルス性肝炎治療と就業の両立支援にあたっては、特にこれらの点に留意することが重要です。

このように、ウイルス性肝炎対策には、企業が「健康経営」に取り組むときに気を付けなければならない様々なポイントが集約されています。したがって、企業としては、「健康経営」のパイロット的な課題としてウイルス性肝炎対策に本腰を入れて取り組むべきであり、また、そうすることによって、他の「健康経営」施策に応用することができる貴重な知見や経験を獲得することができるのです。

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このサイトは、厚生労働科学研究費補助金肝炎等克服政策研究事業「職域におけるウイルス性肝炎患者に対する望ましい配慮及び地域を包括した就労支援の在り方に関する研究」 (H26-肝政-一般-002)の成果として開設しました。