患者の皆様へ

下部消化管グループ

産業医科大学 消化器・内分泌外科
下部消化管グループ

平成27年5月より平田敬治新教授が着任され、第一外科教室は活気に満ちあふれています。下部消化管グループの面々も紹介患者様の増加、手術症例の増加を実感しています。下部消化管グループの対象疾患は大腸癌から急性虫垂炎や炎症性腸疾患まで多岐にわたり、平成27年の手術実績は231例でした。最近では平田教授が導入されたTAMIS(transanal minimally invasive surgery)も積極的に行っております。TAMISは下部直腸癌に対して従来は腹腔内操作で行われてきたTMEを鏡視下に会陰操作先行で逆行性に行う低侵襲手術です。従来法では視野展開・剥離展開に難渋する男性例、高度肥満例や巨大子宮筋腫合併例にも有用な術式です。

(大腸癌)

平成27年の大腸癌手術症例は118例であり、近年で最も多い症例数となりました。そのうち97例(82%)に腹腔鏡手術を施工いたしました。他臓器浸潤例などの高度局所進行癌でも他科との合同で腹腔鏡手術にて根治切除できた症例もありました。

(急性虫垂炎、炎症性腸疾患)

平成27年の急性虫垂炎手術症例は24例で、多くの症例に対してTANKOを導入できました。また平田教授の復学により、今後はクローン病や腫瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患症例も増加することが予想されます。

(化学療法)

近年、大腸癌に対する化学療法は分子標的薬の登場で大きく様変わりし、stage IV大腸癌の生存期間も大幅な延長を認めています。切除不能な転移性肝癌に対しても化学療法を導入し、奏功例は肝胆膵グループと共同で切除術(Conversion therapy)を行っています。新たなエビデンスの確立に寄与できればと考えております。

下部消化管グループでは患者様第一の医療を心がけ、笑顔で退院して頂けるように、より安全で低侵襲な手術を目指して日々精進しております。

文責 鳥越 貴行(2016年1月14日)

文責:第1外科学教室 更新日:2016年05月18日