当院における放射線部の部門としての役割は、X線を始めとした電磁放射線の他、多くのエネルギーを利用して画像診断を行い、診療各科に提供すること、また放射線による治療を行うことです。診療各科ならびに地域医療機関における画像診断の期待に、また、患者様のQOLを尊重した放射線治療に応えるべく日々の業務を行っています。


CT


CTとは、コンピューター断層撮影法(Computed Tomography)の略です

身体にエックス線を照射し、通過したエックス線量の差をデータとして集め、コンピューターで処理することによって身体の内部を画像化する検査です。
エックス線は、肺のように空気のたくさんあるところは通過しやすく、骨は通過しにくいという性質を有しています。
そのため、身体の組織や臓器によってエックス線の通過しやすさ(透過性)は異なり、この差を利用して画像を作りだすことができるのです。
CT検査によって病変が描出されるのは、エックス線の透過性が病変と正常部位とで異なるからです。
どのようにして検査するのですか?

検査時には、CT装置の寝台にあおむけに寝て検査を受けます。目的とする部位に正しくエックス線が照射されるように、CT装置のガントリーという大きな円筒状の穴の中に寝台ごと移動させて撮影を行います。ガントリーの中では、エックス線管球(エックス線を出すところ)と検出器が向き合った形で配置されており、これが身体の周りをぐるっと回りながら信号をとっていきます(これをスキャンといいます)。
検査時間はどのくらい?

ふつうのCT検査では、1つの断面(1スライス)をスキャンするのに1秒〜数秒かかります。通常、日的の部位を洩れなくスキャンするために少しずつ位置をずらし(寝台を少しずつ移動させます)、何回かスキャンをします。
検査時間は撮影部位によっても異なりますが、約5〜15分です。

大切な情報を与えてくれる検査です。
CT検査では、身体を輪切りした断面像が得られるため、身体の内部の構造を詳しく調べることができます。そのため、臨床症状や尿・血液検査だけでは分からなかった、あなたの身体にとって大切な情報を与えてくれます。

CT検査で使用される造影剤は、「ヨード造影剤」と呼ばれるもので、通常、腕の静脈から注入してスキャンを行います。最近では、さらにその効果を高めるため、自動注入器
を用いて急速に注入することもあります。
造影剤を静脈注射して撮影するCT検査のことを「造影CT検査」、造影剤を使わないCT検査のことを「単純CT検査」といいます。
副作用の心配はありませんか?

「ヨード造影剤」も改良が加えられ、副作用は減少してきました。現在、主に用いられている造影剤は、「非イオン性造影剤」と呼ばれるもので、副作用の発現率は約3%という結果が全国的な調査で発表されています。「造影CT検査」はCT検査を受けるすべての方に行われるわけではありません。
この検査によって重要な情報が得られ、早期での診断や今後の治療方針の決定に役立つと判断された場合に行われています。

副作用の症状

副作用として多い症状は、吐き気、嘔吐、かゆみ、じんましん、熱感(造影剤注入時に熱い感じがする)などです。これらの症状は、検査中〜検査後1時間の間に起こることが多く、特別な治療を必要としない軽度のものがほとんどです。

きわめて稀ですが(1万人中4人の割合)、咽頭の浮腫(むくみ)、血圧低下、呼吸因難などの重い副作用が起こることがあります。このような場合には、担当の医師が適切な処置を行ってくれますから、安心して検査を受けてください。

また、稀に検査終了数時間〜数日後にかゆみやじんましん、吐き気、めまいなどの症状があらわれることもありますので、その場合は、すぐに病院へ連絡してください。

こんな人は特に注意を!
副作用が起こりやすい要因として、アレルギー歴(特に気管支喘息)、造影剤による副作用歴(過去に造影剤を使用して気分が悪くなったり、じんましんがでたことがある)、腎機能障害などがあります。以上の頂日に該当するものがあれば、検査前に医師に伝えてください。
《検査前日から当日にかけての注意点》
●食事について

事前に検査のために食事を摂らないように説明を受けた方は、検査前の食事を摂らないでください(午前中の検査の方は朝食を、午後の検査の方は昼食を摂らないでください)。ただし、水やお茶などの水分は飲んでも構いません(牛乳などの乳製品は除きます)。
特に指示のない場合は、通常通りに食事を摂ります。

●お薬について

服用してはいけない場合がありますので、普段から服用しているお薬がある場合は、あらかじめ担当医師に確認しておきましょう。
特に指示のない場合は、通常通りに服用します。

●服装について

検査部位によっては、ネックレスなどの貴金属類が検査の妨げになることがあるため、検査当日は、なるべく装身具などは身につけず、楽な服装にします。
また、金具のついた下着や衣服を着用しているときには、検査着に着替えて検査を行うこともあります。

●あおむけに寝てリラックス

CT装置の寝台にあおむけに寝て検査を受けます。検査中は、身体の力を抜いてリラックスしてください。
頭部や頸部の検査では、両腕を腹部の上に置き、胸部や腹部、骨盤部の検査では、両腕を上に挙げてスキャンを行います。これは、腕が撮影部位に入って、画像が見えにくくなるのを避けるためです。

●息を止める

エックス線を照射するときに身体が動くと、画像が乱れてしまうので、じっとしている必要があります。特に胸部や腹部の検査では、指示にしたがって、数秒間、息を止めます(マイクで指示があります)。

●異常を感じたら、すぐに伝えましょう

CT装置にはマイクがついているので、検査中でも隣の操作室にいる放射線技師といつでも会話できるようになっています。もし、検査中に気分が悪くなったり、かゆみなどの症状があらわれたら、がまんしないで、すぐに伝えましょう。
《検査後の注意点》
●食事やお風呂について

検査後は、通常通りに食事を摂ったり、お風呂に入っても、差し支えありません。

 (造影剤を使用した検査の場合には)
●水分を多めに摂りましょう。

造影剤のほとんどは尿と一緒に排泄されますので、検査後は水分(水やお茶、ジュースなど)を多めに摂るようにします(1日で造影剤のほぼ全量が排泄されます)。
なお、水分制限をされている方は、医師に相談してください。

●不快な症状を感じたら、すぐに病院へ連絡を

検査が終わり、帰宅してから、じんましんや吐き気、身体のむくみ、のどがイガイガするなどの不快な症状を感じたときは、造影剤によるアレルギーの可能性が考えられますので、すぐに病院に連絡しましょう。
エックス線は、テレビや携帯電話の電波や暖房器具の赤外線、日焼けの原因となる紫外線などと同じ電磁波の一種で、紫外線よりもさらに波長の短いものです。医療の場では、エックス線撮影やCT検査に利用されていますが、このほかにも様々な分野で幅広く利用されています。


●エックス線を使った検査は安全ですか?

エックス線ときくと、なんとなくこわいと思われるかもしれません。エックス線の被曝により発がんの可能性があることは事実です。しかし、医療で使われるエックス線の量は通常少なく、発がんの可能性は十分小さいものとされています。エックス線以外にも日常生活の中にはタパコやお酒など、健康を害するものがたくさんあります。それらによるリスク(危険度)と比べてもエックス線検査によるリスクは決して高いものではありません。
検査の際には、日的とする部位以外に余分なエックス線が照射されないように放射線技師が工夫して撮影を行ないます。また、最近のCT装置は、さらに少ないエックス線量で撮影できるように改良されていますから、CT検査を受けるように言われた場合には、安心して検査を受けてください。

ただし、妊娠している女性の場合には、注意が必要です。妊娠8週日くらいまでは、放射線に対して赤ちゃんが非常に敏感な時期ですから、特に下腹部の検査については慎重に行わなければなりません.妊娠中でも下腹部以外の検査では、赤ちゃんへの影響はほとんどありませんが、妊娠している方やその可能性のある方は診察の時に必ずそのことを伝えてください。
 
 

最終更新日

2017年 10月 31日

文責:放射線部 陣内