健康経営のためのウイルス肝炎対策

このサイトは、厚生労働科学研究費補助金肝炎等克服政策研究事業「職域におけるウイルス性肝炎患者に対する望ましい配慮及び地域を包括した就労支援の在り方に関する研究」 (H26-肝政-一般-002)の成果として開設しました。

7.職場における感染リスク

B型やC型の肝炎ウイルスは血液によって感染しますが、尿、涙、汗などによって感染することはまず考えられません。したがって、医療職等の血液に触れることがある職場以外では、ほとんど感染するリスクはありません(表1)。

B型肝炎ウイルスは精液によって感染することがあり、C型肝炎ウイルスよりも感染力が高いです。特に、HBe抗原が陽性の人は強い感染力があります。また、B型肝炎ウイルスは、出血などで体外に出た血液が乾燥した後でも、すぐに感染性を失うわけではなく、体外で少なくとも1週間は感染性を保つとされているため注意が必要です。医療職による針刺し事故の感染リスクは、B型肝炎で6%〜30%、C型肝炎で1.8%と報告されています。家庭での生活において感染リスクを避けるために必要な生活行動には、次のようなことがあります(表2)。

職場における肝炎ウイルス等の血液を介する感染症のリスク低減対策については、英国安全衛生庁(HSE)の「職場における血液媒介性感染を防止するための危険病原体防護に関する諮問委員会」による詳細な報告書「HIVおよび肝炎」(英文:http://www.hse.gov.uk/biosafety/diseases/bbv.pdf)が公表されています。わが国とは法令や制度が異なりますが、その和訳(pdfファイル「170208_HSE_HIV and Hepatitis和訳」)を作成しましたので、医療機関等では参考になると思います。

表1 感染リスクを無視できる生活行動
会話
握手
会食(大皿料理によるものを含む)
食器・筆記用具等の共用
清潔な便座の使用
表2 感染リスクを避けるために必要な生活行動
歯ブラシ、カミソリ、タオルなど血液がつく可能性のあるものを共用しない。
血液や分泌物の付着したものは、しっかり包んで捨てるか流水でよく洗い流す。
B型肝炎にかかっている人の血液が付着したものは希釈した塩素系漂白剤で消毒する。
けが、鼻血、月経血、皮膚の出血はできるだけ本人以外が素手で触らない。
献血、入れ墨は行わない。
性行為にはコンドームを使用する。
出産の際には適切な母子感染予防措置を受ける。
B型肝炎にかかっている人の家族等は、ワクチン接種を行う
【参考資料】
国立研究開発法人国立国際医療研究センターの肝炎情報センターの「日常生活の場でウイルス肝炎の伝搬を防止するためのガイドライン」
http://infect.umin.jp/library/ippan.pdf
World Health Organization, Department of Communicable Disease Surveillance and Response. Hepatitis B (WHO/CDS/CSR/LYO/2015) .
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs204/en/(英文)
Centers for Disease Control and Prevention, Frequently Asked Questions - Bloodborne Pathogens - Occupational Exposure, October 25, 2013.
http://www.cdc.gov/oralhealth/infectioncontrol/faq/bloodborne_exposures.htm(英文)

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