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令和6年度産業医科大学入学式が挙行されました

令和6年度 入学式 が4月4日(木)10時から挙行されました。

学長式辞は、以下のとおりです。

令和6年4月4日

令和6年度入学式 式辞 

ご入学おめでとうございます
 ー オンリーワンの大学で皆さんの未来を輝かそう

学 長 上田 陽一

 産業医科大学医学部ならびに産業保健学部看護学科・産業衛生科学科に入学された新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。本学教職員を代表しまして心より歓迎の意を表します。保護者の皆様、関係者の皆様にお祝い申し上げます。新入生をこの日まで温かく見守り育てていただきましたことに厚く御礼申し上げます。

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 新入生の皆さんは医学部においては47回目、産業保健学部看護学科では4年制に改組後29回目、産業衛生科学科では5回目の入学生となります。

 皆さんはこれから始まる大学生活に大きな期待をもってワクワクしていることでしょう。そして不安な気持ちもあることでしょう。どうぞ安心してください。皆さんには同期の仲間がいます。頼りになる在学生や先輩がいます。本学は教職員と学生との距離がとても近くアットホームな大学です。

学生一人ひとりの指導教員が学習・生活などの指導・相談を行います。また、手厚い経済的な学生支援制度があります。いろいろな悩みについては学生相談室の相談員に気軽に相談できます。保護者の皆様からのご相談にも対応致します。ぜひ活用してください。

 皆さんの高校生活や大学受験生活では、2020年初頭から新型コロナウイルス感染症が流行し、緊急事態宣言などが何度も発出されて行動制限の多い日々を過ごされました。これから始まる大学生活への期待はより大きくなっていることと思います。

皆さんの先輩は、コロナ禍で大学生活の多くの時間を過ごしましたが、学びをとめることなく成長を遂げました。先月発表されました医師国家試験、看護師国家試験、保健師国家試験では、それぞれ99%ならびに100%の合格率を達成し、産業衛生科学科卒業生の就職状況もとても好調でした。

コロナ禍にあっても、産業界ならびに地域社会において本学卒業生が全国各地でコロナ感染対策の種々の場面において大いに活躍・貢献しました。このことを誇りに思い、是非、皆さんにお伝えしたいと思います。入学式2.JPG

 もう一つお伝えしたいことがあります。新年早々に令和6年能登半島地震が発生しました。犠牲になられました方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに被災されました方々に心より御見舞い申し上げます。そして、被災地で復旧支援にご尽力いただいています皆様に御礼申し上げます。本学は発災当初より復旧・復興に携わっています方々の健康を守るための支援を継続して行っていることをお伝えします。

 さて、皆さんはこれから医師、産業医、看護師、保健師、作業環境測定士、衛生管理者などの国家資格の取得を目指すことになります。それぞれの分野のプロフェッショナルとして産業社会からの熱い期待に答えて活躍してほしいと願っています。

 本学はアドミッションポリシー(入学者受け入れの方針)を明確に掲げています。本学医学部は、“産業医学の振興と優れた産業医の養成を目的として設置された我が国唯一の医学部であり、標準的な医学教育カリキュラムに加えて、独自の産業医学教育を行い、働く人々の病気の予防と健康の増進に貢献し、健やかに働き豊かに暮らせる社会の実現に寄与できる医師の育成”します。産業保健学部は、“働く人々の健康と安全を守るため、看護、作業環境管理、労働安全衛生マネジメントなどに関する教育と研究を行っています。医療および産業保健分野において、必要な知識、技術およびチームワーク精神を身につけ、豊かな人間的感性および科学的洞察力を備えた人材を育成”します。

 入学式3.JPGアドミッションポリシーに加えて教育プログラムの編成方針であるカリキュラム・ポリシー、卒業までに身につけるべき内容を定めたディプロマ・ポリシーがそれぞれの学科で定められています。さらに、卒業までに修得すべき能力(コンピテンス)と具体的な到達目標(コンピテンシー)をきめ細かに設定し、習得度を確認しながら学修を進めていきます。

 皆さんがこれから身につけるべき膨大な知識・技能がきちんと整理され、習得度は可視化され、そして3つのポリシーはIR推進センターの分析データを参考にしながらPDCAを回すことで改善されていきます。学習方法も受け身の座学から積極的なアクティブラーニングへと変えなければなりません。ぜひ、自ら学ぶ姿勢を身につけてください。

さて、皆さんに一つの提案があります。“10年後の私へ”というタイトルでメッセージを書いてみてください。 “私は、本日産業医科大学に入学しました…”から始まる文章です。今のこの気持ちを忘れないで高い志(こころざし)を持ち、そして持続していただきたいと思います。

大学での主役は皆さんです。大いに学び、友人、先輩・後輩との絆を深め、多くのことを経験し、高い倫理観を身につけ、心身ともに健全に大きく成長を遂げて社会に旅立つ日を迎えることを心より願っています。

初代学長の土屋健三郎先生は、医学部一期生の入学式から何度も建学の使命を述べられ、私たち卒業生の心に深く刻まれています。その使命をご紹介します。1.産業医科大学は人間愛に徹し生涯にわたって哲学する医師・医療人を養成し、2.産業環境を中心とする環境科学とライフサイエンスとの融合発展に努力を払い、3.経済学をも含む新しい生態学を発展せしめ、4.産業化社会における産業医学の確立のみでなく、地域医療との有機的な結合をはかり、もって二十一世紀の医学分野における先駆者として、人類のより良い生存をかちとるための新しい福祉社会を樹立することを建学の使命とする。 入学式5.JPG

特に“人間愛に徹し生涯にわたって哲学する”という言葉の意味は深く、新入生の皆さんにも考え続けていただきたいと思います。なお、初代学長のご功績を顕彰してラマツィーニホール前の広場が“土屋健三郎広場”と命名されました。

また、ラマツィーニホールと名付けられたこの講堂の名称の由来となった産業医学の父と呼ばれるイタリアの医師ラマツィーニは1700年に“働く人の病”を出版しました。その初版本がロビーに展示されています、ぜひ御覧ください。ホール前にはラマツィーニ像が設置されています。医師ラマツィーニが生きた時代からしばらくして始まったイギリス産業革命をSociety3.0と呼び、情報化社会のSociety 4.0を経て現在の新たな高度情報社会のSociety 5.0へと繋がります。昨年来、生成系AIの出現によりこの進化はさらに高度化・高速化したように思います。

このように激変する時代において、皆さんは、“働く人々の健康を守る、元気にする”ことで現代社会が人間性豊かに発展し、新たな価値を創造する原動力となるために貢献する覚悟が必要であり、社会から大きな期待が寄せられています。 

 現在、産業医科大学は「産業医大未来構想2040」を策定して働く人の健康を守るオンリーワンの大学として全学をあげて邁進しています。本学大学病院は北九州医療圏で唯一の特定機能病院であり、昨年8月には産業医学臨床センターならびに両立支援室を擁する急性期診療棟が開院・診療を開始し、地域の高度急性期医療・最先端医療の中核を担ってフル稼働しています。入学式6(切り抜き).jpg

 また、産業医科大学の国際的な認知度は非常に高く、産業生態科学研究所はWHO指定協力機関として、国際センターはアジア諸国との国際交流協定を数多く締結し、さらにはILOとの協力関係を築いています。皆さんの将来の活躍の場は国際的にも大きく広がっています。

 本来、大学とは学生の好奇心を大いに刺激するサイエンスとインテリジェンスと創造性に満ちたワクワクする場所、学生一人ひとりの夢を実現する場所なのです。本学には、いろいろな仲間がいます、在学生のサークル活動、同窓会や卒業生の集まりもとても活発です。オール産業医大を合言葉に先輩も後輩もいろいろな場面で密なつながりを持っているのが本学の特徴の一つです。

 新入生の皆さんは今日から産業医科大学の一員となります。ぜひ、産業医科大学で皆さんの夢を実現しましょう。そして、産業医科大学とともに輝かしい未来を創っていきましょう。

 本日はご入学おめでとうございました!