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令和5年度卒業式が3月6日に挙行されました

 令和5年度卒業式 が3月6日(水)10時から挙行されました。

 学長式辞は、以下のとおりです。


令和5年度 卒業式 式辞

 ご卒業おめでとうございます ―皆さんの輝かしい未来に―

 学長  上田 陽一

 本日、産業医科大学を巣立つ皆さん、ご卒業おめでとうございます。教職員を代表しまして心から皆さんのご卒業をお慶び申し上げます。そして、この日を待ち望んでおられた保護者の皆様、後援会の皆様、そして関係者の皆様に心よりお祝い申し上げます。

 この度、皆さんは医学部においては41回目、産業保健学部看護学科では4年制に改組後25回目、環境マネジメント学科から改称後の産業衛生科学科では初めての卒業生となります。それと同時に、医学部同窓会の龍ヶ池会、産業保健学部同窓会の欅風会の一員になります。

 皆さんの学生生活を振り返れば、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の流行のため、何度も緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などが発出され、とても不安な日々を過ごされました。昨年5月8日に2類相当から5類感染症に移行し、日常生活が徐々に落ち着きを取り戻しました。この4年余り、入学式・卒業式も制限された中で執り行われ、毎朝の検温・体調チェックを本学の大学院生等が開発したラインアプリAMAVICO(アマビコ)に入力し、学生講義・実習は一時Web対応となり、特に臨床実習や臨地実習では感染対策に細心の注意が払われました。サークル活動などの課外活動も制限され、西日本医学生総合体育大会(西医体)など多くの対外的な活動も中止や延期となりました。そのような中で辛抱強く、数々の制限に耐えつつ、仲間と励まし合いながら、卒業までの道のりを一歩一歩進められた皆さんへ心より敬意を表します。

 昨年11月には医生祭がフルスケールで開催されました。医生祭は、医学部と産業保健学部の皆さんが協働で一つの目標に向かい大学全体が一体となる貴重な機会です。昨年、皆さんは最上級生での参加になりましたがこの体験を共有できてよかったと思います。私が本学学生実行委員だった時の医生祭テーマは“真っ白なカンバスに何を描くか”でした。皆さんが入学したときの真っ白なカンバスはいま一人ひとり思い出でいっぱいのことでしょう。

 コロナ禍での本学卒業生の職場での活躍は目覚ましいものがありました。感染症対策マニュアルを迅速に作成し、ワクチン接種など職場や地域での感染防止に大きく貢献しました。卒業生の皆さんのこれらの活躍はとても頼もしく、誇らしく思います。

 新年早々に令和6年能登半島地震が発生しました。被災されました方々にお見舞い申し上げます。被災地で復旧支援にご尽力頂いています皆様に御礼申し上げますと共に、当初より、本学は復旧・復興に携わられている方々の健康支援を行っていることをお伝えします。

 さて、皆さんは、これから医師、産業医、看護師、保健師、作業環境測定士、衛生管理者などの国家資格を取得します。医師、看護師、保健師の国家試験合格率において好成績が続いているのは、教職員のきめ細かな指導・支援のもと何よりも皆さんの日々の努力の賜物です。産業衛生科学科の卒業生においては産業医大認定ハイジニスト制度が昨年認定され、職場での化学物質管理専門家としての活躍が期待されています。皆さんには、それぞれの分野のプロフェッショナルであることの自覚を持って産業社会からの熱い期待に答えて活躍してほしいと願っています。皆さんの未来には、これらのライセンスを持ったプロフェッショナルとして活躍できる未開拓の分野が広がっています。直近では、4月から実施されます医師の働き方改革、建築・運送業での2024年問題、化学物質の自律的管理など次々と難題がやってきます。コロナ禍という稀有のパンデミックを経験した皆さんはこれからいろいろな困難に遭遇しても必ず乗り越えられると確信します。

 初代学長の土屋 健三郎 先生は、 “産業医科大学は人間愛に徹し、生涯にわたって哲学する医師・医療従事者を養成する”と本学の建学の精神を凝集し、昨年3月に建てられました土屋健三郎広場の記念碑にもこの言葉が刻まれています。1992年3月の最終講義の結びに “我々は、機械に使われることのない自由な人間社会を形成し、すべての人々や生きとし生けるものを尊愛するヒューマニティーを育て、それによる人間性の回復を軸としてOccupational HealthEnvironmental HealthさらにCommunity Healthの有機的な結合を図り、我が国すべての労働者が健康を享受する環境を整備し、激変する産業構造や産業生態に適正に対応すると共に、国際的視野にたって全人類の福祉に全力をあげて奉仕すべきである。”と述べられました。現在、コロナ禍前以上に国際センターを中心に国際交流が盛んになり、WHO指定協力機関として、またILOとの関連での活動も活発になっています。

 産業医科大学は、開学60周年を超える2040年の本学の到達点として産業医大未来構想2040を策定し、“働く人々の命としあわせをまもるオンリーワンの大学”としてこれからも発展し続けることを目標に掲げています。昨年8月17日には産業医学臨床センター及び両立支援室を擁する急性期診療棟が完成し、北九州医療圏唯一の特定機能病院として高度急性期診療を開始しました。これを契機として“UOEH ReBORN 産業医科大学キャンパスマスタープラン2023〜さらなる飛躍を目指して〜”が策定され、本学は新たなステージへ向かって始動しています。

 産業医科大学で共に学び、出会った仲間たちは高い志(こころざし)を同じくする生涯の同志であり、そして母校はいつまでも皆さんの母校であり、皆さんを見守り全力で応援し続けます。皆さんは、医学部医学科、産業保健学部看護学科、産業衛生科学科という異なる学科を卒業するのではなく産業医科大学の卒業生となるのです。お互いに協働して産業医科大学の設立目的を成し遂げていただきたいと願います。皆さんが、卒業生として元気に活躍し、輝くことは産業医科大学を元気にします。産業医科大学が元気であれば卒業生もきっと元気になると信じて私たちも一生懸命に大学の発展に努力します。

 皆さんが輝かしい未来に旅立つという今日という日にこうしてお祝いすることができるのはこの上ない喜びです。在学中に培われた高い志(こころざし)と経験、人との絆は必ず将来の財産になることを添えて、皆さんへの餞(はなむけ)の言葉にしたいと思います。

ご卒業おめでとうございます!