産業医 松原 喜久子 さん

東京海上日動メディカルサービス株式会社/第五医療部 部長

深く豊かな見識を生かし社員と組織、社員と臨床医とを繋ぐ健康経営のスペシャリストへ。

産業医 松原 喜久子 さん

松原 喜久子さん

 子供を保育園に預け、5人のベビーシッターも手配しながら勤務した臨床医時代。日当直や緊急の呼び出しもある中で、育児と仕事の両立は難しいものでした。当時は長時間労働やメンタル不調者の増加が社会問題化し、産業保健に対するニーズが高まり始めており、現在の職場にご縁をいただいて産業医に転向し、今に至ります。

 医療・ 健康分野で種々のサービスを扱う弊社の社員は、約半数が医師や保健師、臨床心理士などの医療職。私は主に、弊社と業務委託契約を結んだ様々な中小企業に赴き、保健師と共に産業保健業務を行っています。社員との面談や健康相談、健康講演などを行うほか、人事担当者へヒアリングして独自の健康管理システムを考えたり、休職復職のプログラムを作ったり、といったコンサルタント業務も多く手がけます。産業保健を良い形で企業に定着させるため、コンサルティングをしながら実務も担うスタイルですね。

 フィジカル・メンタル両面の幅広い医学知識に加え、経営的な視点や企画提案力、コミュニケーション力なども必要ですが、臨床医と産業医の両方を経験して分かったのは、私自身が産業医に向いていたこと。試行錯誤しながらもより良いシステムを考える「縁の下の力持ち」の役割にやりがいを感じています。

 臨床医と患者との間には、病気の知識や向き合い方に深いギャップがあり、会社組織と社員も対立せざるを得ない面が時にあります。立場によって正解は違うものですが、法的にも中立な産業医とは、それら相互の溝を埋める、通訳者の役割があると思うのです。ですから本学を目指す皆さんには、医学以外のいろいろなことにもチャレンジし、様々な経験を重ねて多面的に物事を見る深い人間性を養って欲しい。そして、他者の立場を理解しようと努める、真摯な姿勢を持ち続けて欲しいと願っています。

産業医科大学 大学案内2020から抜粋