産業医 小林 祐一 さん

HOYA株式会社HOYAグループ/環境・安全衛生・健康・ISO執行責任者、総括産業医 経済産業省/労働保健総括医

産業医のキャリアパスは自在。「社会貢献」を軸に人と国をいやす上医であれ。

小林 祐一さん

小林 祐一さん

 経済産業省と環境省原子力規制庁の労働保健統括医、慶應義塾大学医学部や早稲田大学理工学術院、産業医科大学産業保健経営学の非常勤講師、産業保健コンサルティング企業の取締役などを兼務しながら、現職では、HOYA(株)グローバル本社で、環境・安全衛生・健康分野に関する基準づくりやパフォーマンス監査、専門人材の採用・育成など、専門家としての知見を活かした統括業務を行っています。

 私が産業医になった頃は、産業医は白衣を着ているイメージでしたが、自らの専門領域を広げていく中で、気づいたことは、「経営感覚」の必要性でした。企業の中で、仕事を進めていくためには、組織を理解し、コスト意識を持って経営の観点からアプローチすることが必要です。HOYA(株)には、他に4名の産業医がおり、全員本学の出身者です。産業医本来の仕事は彼らに任せ、私は経営面から産業医が働きやすい環境づくりと、世界中の社員の安全と健康を守るプロジェクトを進めています。

 一方で、経済産業省では、職員の面談、健康診断、人事・労務管理や健康管理の仕組みづくりに加えて、予防医学などの国の政策にアドバイザーや委員として参画しています。「上医は国を医(いや)し、中医は人を医し、下医は病を医す」という概念があります。「医師である以上、社会性を意識し、社会に貢献するべき」が恩師の教えでした。医師を1人育てるために、国は莫大な税金を投入しています。若い頃は、自己研鑽に時間を費やしたとしても、一定の経験を積んだ後は、今まで培った知見を体系化し、世の中に発信していくことが重要です。人生100年時代、予防医学の重要性が増してきます。これからは、予防医学の専門家を目指す後身の育成を通じて、社会に貢献できればと思っています。

産業医科大学 大学案内2020から抜粋